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【星めぐりの歌】あかいめだまのさそり あをいめだまの小いぬ

< 岩手県花巻市出身 宮沢賢治の作詞作曲 曲も作ってたんですねえ >

都市圏の夜。空を見上げても星は、ほんの少し、ほんの数個しか見えません。
晴れていてもそんなですので、肉眼で星座を確認するなんてことは無理な相談ですよ。


宇宙から地球の夜を映した画像を見ると、日本列島は全体的に明るいですね。
大都市近辺はかなりの明かりが集まっています。
地上の明るさが、夜空を見上げる視線から星を消してしまっているっていうのが実感できます。


東京のビル街から見上げる夜空は、晴天であってもポツン、ポツンとした星の明かりしか見えませんし、ずっと見上げていると、飛行機の点滅する明かりがすう~っと流れていくぐらいがせいぜいですね。


7、8年前に友人と2人、茨城県の知人の家に車で出かけたことがありまして、その帰り道。
田園地帯のその辺りの道には街灯も家の明かりも無くって、車のヘッドライトだけが頼り、みたいな区画があったんですね。
けっこう、危険を感じるレベル。


だったんですが、深夜だったこともあって路肩に車を停めてライトを消して、外に出てしばらく夜空を見上げていたことがあります。


「ホントの真っ暗だねえ」


「凄い星だねえ。星ってこんなにいっぱい見えるんだねえ」


目線を水平方向に向ければ、遠く街の明かりが見えていましたが、周りは漆黒の闇。
なかなか体験できないような夜の暗さ。夜って暗いんです。


「ところでさ、どれがどの星なんだろ」


「さっぱり分らんね。星座っていろいろあるんだろうけど、おうし座とか、さそり座とか、そんな形って全然見えないよね」


っていう経験をしたことがありました。


夜空には満天の星。でも、ガスっていうのか星雲っていうのか、そういうのが見えるほどには明るくなかったです。
さそりの形とか、かにの輪郭とか、なんにも感じられません。


まあね、2人ともアストロノミーとか天体とか、ちっとも詳しくは無いんで、誰か詳しい人に、ほら、あそこに見えるのが、とか説明してもらえれば、もしかするとおうし座の形状とかが見えたのかもしれません。

 

 

 


自宅の物干し場に天体観測ドームを手作りして、火星観測を続けているっていうツワモノにも出会ったことはありますけれど、その人でさえ、東京じゃあ星座の観測は難しいですねって言ってましたです。


今の我々が馴染んでいる星座っていえば、星占いに登場してくる「12星座」ですよね。


天空、空に太陽が通っていく道を想定して、それを「黄道」っていうんだそうですが、その黄道には13星座が設定されているみたいです。
1つ多いですね。その1つっていうのは「へびつかい座


これは星占いの種類によるみたいで、大きく「12星座占い」と「13星座占い」の2つがあって、その違いによって黄道上にあるとされている「へびつかい座」が入っていたり、いなかったりってことみたいです。


「13星座占い」は黄道上に太陽が占めている期間が等間隔じゃない配置で、「12星座占い」は12等分されたエリアを太陽が巡っていくっていう考え方なんだそうですね。
ま、占いにもちっとも詳しくはないんですけど。


夜空を見上げて、そこに星座っていうのを見出したのは、メソポタミア文明の中の羊飼いたちだっていう話を、いつだったか、どこでだったか、聞いたような気がするんですよね。


今のように地上が明るくなくって、星の明かりだけじゃなくって、その周りの星雲っていうのか、宇宙のガスなんかも見えていて、ああ、あれは羊に見える。あっちはさそりに見える、だとか、そんな感じで星座っていう認識が出来て、12星座、あるいは13星座になっていった。
っていうことですよね。ところがですね、そう思っているのは日本だけらしいんですよ。


なんかね、そう聞いたような気がするんですけどねえ。世界的には、アホか! ってことみたいです。


メソポタミア文明っていうのは新石器時代で、紀元前60世紀とかの時代です。60世紀!
ん~。その頃の地球、夜の暗さとか、どんなだったか見当もつきませんが、羊飼いとか、そもそもまだ、ってことだったりするのかもですよねえ。


資料なんかから、星座が決められたのは紀元前5世紀ごろだろうっていうのが、ヨーロッパでは常識的に理解されているんだそうです。


それでもやっぱり、最初に星座を決めたのはメソポタミア地方のシュメール人たち。


そしてバビロニアアッシリア、ペルシア、ギリシアって伝わっていくうちに、その星座の呼び方も変化していって今に伝わっているだろうっていうのが定説らしいです。


「おひつじ座」「おうし座」「ふたご座」「かに座」「しし座」「おとめ座」「てんびん座」「さそり座」「いて座」「やぎ座」「みずがめ座」「うお座」が黄道12星座ですが、星座の説明図とかを見ますと、それらしく見えるように描かれていますよね。


「みずがめ」っていう形を夜空に認めるっていうのは、かなり古い時代でもありそうですけど、「てんびん」っていう形を認識するのって、けっこう時代が進んでからでないと、そもそも「てんびん」自体がないんじゃないかって気もします。


「みずがめ」と「てんびん」の2つだけが人間の道具で、あとは生物ですね。


「へびつかい」っていうのも、へび自体じゃなくって、へびつかいっていうんですから、人間ですよね。

 

 

 


でも、どうでしょう。まじまじと夜空を見上げること自体、そんなにあることじゃありませんけれど、1つもそういう形に見えた経験はないです。


星座を見た経験は1度もないですよ。
見える人には、今でも見えているもんなんでしょうか。
もしかすると想像力の問題?


確かにね、少し前、っていいますか、100年ぐらい前の日本に、夜空を見上げて、星座に思いを馳せていたロマンチストがいましたよね。
宮沢賢治(1896~1933)です。


1918年、盛岡高等農林学校を卒業した年の8月、賢治は「双子の星」っていう小品を書き遺しています。

 

「天の川の西の岸にすぎなの胞子ほどの小さな二つの星が見えます」
といって始まる童話。


空の王様に仕える主人公の双子の星は、夜になると下の世界の子どもたちが歌い始める「星めぐりの歌」に合わせて一晩中銀の笛を吹くんですね。
それが双子の星の仕事。


この話の前半に、西の野原の泉を訪れていた双子の前に「大烏の星」が、のっしのっしとやって来ます。
大烏が泉の水を飲んでいるところへ、今度は赤い目をした「サソリの星」が、やっぱり泉の水を飲みにやって来ます。


どうしたものか、この大烏とサソリは仲が悪くって、双子の星の目の前で殺し合いを始めてしまうんですね。


サソリは大烏のくちばしで頭に深い傷を受け、大烏は胸をサソリの毒カギでさされて、両方とも気絶してしまいます。


やがて夜がやってくる前に、サソリも大烏も、そして双子の星も、ちゃんと自分の居場所に戻って自分の役割を果たさないといけません。


双子の星は、まず大烏を介抱して暗くなる前に帰らせます。


次にサソリを介抱し始めたんですが、サソリは自力で歩くことが出来なくって、双子の星が自分たち2人を合わせたよりとても大きなサソリを抱えるようにして家路を急ぎますが、サソリの家に近づいた頃には日が暮れかかってしまいます。

 

 

早く自分たちの家に戻らないと、仕事を果たせなくなってしまいます。
そんな不安にかられる双子の星の耳に、下の世界から星の出を待ち望む子どもたちの声が聞こえ始めます。


もう双子の星が暗くなる前に自分たちの家に帰るには時間が経ち過ぎてしまいました。
と、そこへ王様からの使いで、稲妻がやって来るんですね。


双子の星が大烏とサソリの2つの星座を救ったことを王様が見ていて褒美をもらうとともに、稲妻によって自分たちの家に、あっという間に送り届けてもらって、銀の笛を吹く仕事に間に合います。


下の世界から、子どもたちの歌う「星めぐりの歌」が聞こえてきます。


♪あかいめだまの さそり


♪ひろげた鷲の つばさ


♪あおいめだまの 小いぬ


♪ひかりのへびの とぐろ

 

 

♪オリオンは高く うたい


♪つゆとしもとを おとす


アンドロメダの くもは


♪さかなのくちの かたち

 

 

♪大ぐまのあしを きたに


♪五つのばした ところ


♪小熊のひたいの うえは


♪そらのめぐりの めあて


双子の星に出てきた大烏っていうのは、鷲のことなんでしょうね。
黄道の12星座には入っていませんが、鷲座っていうのもあります。


さそり座の赤い星はアンタレス


おおいぬ座の青い星はシリウス


歌の最後の「そらのめぐりの めあて」っていうのは「小熊のひたいのうえ」っていうことで、北極星のことらしいです。

 

 

 


大正時代の宮沢賢治さんには、ちゃんと星座の形が見えていたんですかねえ。
詩人の想像力ってやつなんでしょうかねえ。


この宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」は2020東京オリンピックの閉会式、聖火台の火が消えるシーンで歌われていましたね。
坂本美雨高畑充希元ちとせのカバーも知られています。


じっくりと夜空を見上げるBGMとして、イイ感じの曲調の歌。


ま、現実としては、歌詞の中に歌われている夜空の星座の形を、想像しながら都会の空を見上げるんじゃなくって、パソコンの星座表を見たりとかしちゃっているんですけどね。


だって、見えないんだもん!

 

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