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【星座の不思議】恒星同士をつないだって その星座の名前の形になんて全然見えないっしょ

< 星表(せいひょう)っていうのがあって 一応の決め事があるみたいなんですけどね >

日本の都市部には街の灯りに邪魔されない、夜空の観察に適した場所っていうのがほぼありませんよね。


プラネタリウムっていう文明の利器があって、広い部屋の中に寝転んで、照明を消された丸天井に映し出される恒星群、っていうのを一度経験しました。
キュレーターが実に丁寧に、恒星の説明をしてくれますよ。


「部屋の真ん中、一番高いところにひときわ大きく黄色い星が見えていると思います。この星は……」


代表的な星をゆっくりとではありますが、次々と説明してくれるんですよね。
星の位置と名前なんて、さっぱり分かっていないんですけど、説明されれば、ふううん、そですか、そういう場所にあるんですねえ、って思います。


思うんですけれど、ちっとも覚えられないんですよね。
そういう気がないからなのかもですけど、納得いかないのは「星座」なんですよ。


「この赤い星はアンタレスというアルファ星です。さそり座の真ん中にありますね」


ほほう、そですか。って、どのへんが「さそり」なんですか!?


宮沢賢治は、あかい、めだまと表現していますが、実はさそりのお腹にあるんです。尻尾の先にしてある絵もありますね」


だからさ、どのへんが、さそりのお腹なのか、さそり自体の形を認識できないんですけどお~。
って感じです。


さそりだけのことじゃないです。他にもいっぱいありますよね、星座って。
そのどれもが、星座の名前の形の認識が出来ません。
説明されても、ちっとも納得出来ないんですねえ。

 

 

 


星図、とかでは、星座の名前に合わせ込んだ絵が描いてあって、へええ、おひつじ座ですかあ。てんびん座ですかあ、ってなふうには思いますけど、恒星同士をつないだ線を見ても、どうしてもその名前の形には見えません。


なんか、形の認識、理解の仕方が違うんじゃないのかっていう気にさえなってきます。


ところで、星座っていくつあるんでしょう。


5千年ぐらい前、メソポタミア地方の羊飼いたちが羊を放牧に連れ出した夜。夜空を見上げながら、光る恒星たちをつなげて名前を付けていったのが星座の始まりだって言いますよね。


まあ、遊びの延長みたいなもんだったんでしょうから、いろんな名前が付けられたんでしょうね。


やがて、そうした夜空の観察の仕方が伝わっていったものか、夜空の星が見えるのはなにもメソポタミアに限られることじゃありませんから同時発生的になのか、ギリシア地域では星座に対して、神話に登場してくる人や動物の名前が付けられて、現在ではほぼそういう名前になっているような印象があります。


地域チイキで、星座の呼びかた、あるいは恒星のつなぎ方が違っていても良さそうなもののようにも思いますけど、権威的って言いますか、人類の歴史は分類と画一化っていう部分もありますからね、世界でバラバラに星座を呼んでいるのはヨロシクナイってことになったんだそうです。


で、1903年に世界の天文学者たちが集まって、あーだこーだ話し合って「88星座」っていうのを決定したんだそうですよ。


ですので、21世紀現在、学術的に正式な星座の数は88っていうことになるんですね。
知ってました?


星座に詳しい人って、けっこういますからね。そういう人たちにとっては常識っていうことなのかもです。


でもまあ、たいていの人にとっての星座っていうのは、占いだったりするわけで、12星座、ですよね。
星座の数は12。


あ、でも、へびつかい座っていうのが出てきて13なのかな。っていうぐらい。


でも、88らしいです。


今ではこうして確定しているらしい星座ですが、羊飼いたちが自由気ままに名付けていったのが最初だとして、どうやって統一されていったんでしょう。


書き遺されたものが確認できているのが、ギリシア、ソロイの医師「アラトス」の「ファイノメナ」っていう韻文。
紀元前3世紀末頃の書で、48の星座の名前が記してあるんだそうです。


この時代にすでに知られていた、昔からある天文学書の内容をまとめたものだそうで、アラトス自身は特に天文学に通じていたわけではなさそうだっていう説もあります。


しかしまあ、紀元前3世紀にして、昔から伝わっている天文学書があったっていうことの方に驚きます。

 

 

 


紀元前2世紀になると、トルコ人の「ヒッパルコス」が登場してきます。


現代天文学の父って言われている偉大な観測天文学者
その当時、世界的に文化レベルの高かったギリシア地方の「ロドス島」で、天文観察を長く続けたそうです。


趣味とかいうレベルじゃなくって、天文学者


目に見える夜空の星の全てを、その位置、光度、を精確に観測して、「星表(せいひょう)」っていうのを世界で最初に作ったんだそうです。


1000以上の星を確定して、49の星座が記録されているヒッパルコスの星表。
らしい、ってことだったんですよね。


何故「らしい」かっていうと、ヒッパルコスの星表は、どこにも遺っていなくて、その存在を疑っている人もいるっていうことだったんです。


そのものが遺っていないのに、なんでピッパルコスの星表っていう存在が後世にまで知られているのか。


それはですね、この辺が天文学の父って呼ばれる由縁なんでしょうけれども、ヒッパルコスが星表を書いたってされている時から、およそ300年後、2世紀頃のギリシア天文学、数学、地理学、あらゆる学問に通じた「プトレマイオス」が登場するんですね。


そのプトレマイオスが書いた「アルマゲスト天文学大全)」の中で、盛んにヒッパルコスの星表について書いていたからなんですね。


で、あのプトレマイオスが書いているんだから、あるでしょ、ヒッパルコスの星表。
どこに?
どこでしょねえ、っていう時代が続いていくわけです。


ちなみにですね、古代ギリシア文明のレベルの高さを証明するものって言われている「アンティキティラの機械」っていうのがありますよね。

 

 

アンティキティラ島海域の沈没船から1901年に引き揚げられた「機械」は、今のところ一部しか見つかっていないんだそうですが、天体の運行を計算する歯車式機械だろうって言われています。


紀元前3世紀から紀元前1世紀頃に製作されたものだそうですけど、日本で考えますと、卑弥呼の時代より500年も前に、こんな機械を作っていて、その機械を必要とする理論があったっていうことは、驚異ですね。


アンティキティラ島はロドス島から西へ、何に遮られることもなく真っすぐに400キロメートル余り。


「アンティキティラの機械」を作ったのは、あるいは作らせたのはヒッパルコスじゃないかって言われているんですよね。
時代的にも合っていますからね。


とにもかくにも、天文学って言えばヒッパルコス


さすがのプトレマイオス天文学に関しては兜を脱がざるを得ないみたいです。


そんなヒッパルコスが書いたはずの星表。
どこかにあるはず、あったはずっていう状態のまま2000年以上経っているわけです。


やっぱり存在していないんじゃないの、っていう声が大きくなりつつあった2021年、イギリス、ケンブリッジにある「ティンダルハウス聖書学研究所」のウィリアムズさんが、発見しちゃうんですね。


でもね、ちょっとややこしいんです。


ヒッパルコスの星表、そのものじゃなくって、5世紀から6世紀に書かれた「写本」らしいんです。


しかしまあ、よく見つかりましたね。どこにあったんですか。


それはですね、ここからがややこしいところなんですけど「クリマチ・リスクリプトゥス写本」の中にあったんです。


写本って言ってもですね、本っていう形が今とは全然違いますよね。


1947年から度々新しい発見が続いた「死海文書」もそうですけど、「羊皮紙」です。
巻きものみたいな感じですよね。


エジプトの聖カタリナ修道院で発見された「クリマチ・リスクリプトゥス写本」は、10世紀から11世紀頃に書かれた聖書についての文献。
それを研究していたイギリスの「ティンダルハウス聖書学研究所」


聖書学研究所ですからね、いろいろな文献を調べているんでしょうね。


羊皮紙は貴重品ですから、不要になったって判断された古い文献は表面を削り取られて、再生紙として活用されるんだそうです。


「クリマチ・リスクリプトゥス写本」は、9世紀から10世紀頃に再生紙として利用されたことが判明しているものなんだそうです。


そういう羊皮紙を「パリンプセスト」って呼ぶらしいです。初耳です。
羊皮紙の再生紙「パリンプセスト」


「パリンプセスト」の消された方の文献を読む、つまり消された羊皮紙の文字を判別する方法が、実は開発されていて「マルチスペクトルイメージング」っていうんだそうです。


そんなことが出来ちゃうんですね。
人類、なかなかやるじゃんね。


っていうことで「クリマチ・リスクリプトゥス写本」の消された文献が、ヒッパルコスの星表の「写本」だったっていうことなんですね。


発見されたのは5世紀から6世紀頃に古代ギリシア語で書かれた「写本」
それが、なんでヒッパルコスの星表の写本だっていうことが判るのか。


星の見え方っていうのは75年に1度ずつズレていくんだそうですが、逆算していけば観測された年代を特定できる。


発見された「写本」は5世紀から6世紀頃に書かれたものですが、星の座標が示しているのは紀元前129年のものっていうことが判った。


ってことで、ヒッパルコスがロドス島で活躍していた時期にあたるんですね。


なので、ドンピシャ、ヒッパルコスの星表でしょ! ってことで一件落着なんでありますよ。


しかもこの「ヒッパルコスの星表」って、プトレマイオスの「アルマゲスト」よりも精度が高いんだそうです。

 

 

 


これから先、その全体が発見されるかもしれない「ヒッパルコスの星表」


星座の定義だとか、そんなのも書いてある? と面白いですけれど、数式ばっかりなのかも。


それにしても羊皮紙って、なかなか、歴史を包含しているものだったんですねえ。


20世紀末に打ち上げられた天文衛星「ヒッパルコス」の観測によって、今現在の星表には、118,218の星が収録されているんだそうです。


宇宙の神秘を閉じ込めている紀元前の羊皮紙。
ロマンのある話じゃございませんか、ね。

 

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