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古典落語【芝浜を変える】ってことらしいんですけど 立川談春さん 頑張ってね

< だいじょうぶか オレ とか言ってますけど だいじょうぶっしょ >

そんなに落語に詳しくない人でも「芝浜」っていう噺は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。


いいえ、聞いたことないですよって言ってもですね、噺の内容を知れば、ああってことになって、聞いたことあるかも、になると思います。
そう言ってもイイんじゃないかってぐらい、知られた落語。


落語なんて一回も聞いたことないよ、っていうんであれば別ですけどね。


昔から人気の演題だったみたいで、たくさんの噺家が演ってます。
例えば独演会だとかで、あらかじめ客から高座にかけてほしい演題を募ることもあるのかもですが、たいていの場合、「え~、本日は〇〇を聞いてただきます」だとかいうことで噺が始まりますから、統計的なデータなんてないでしょうけれど、「芝浜」っていう演題は落語ファンに人気っていうより、噺家、演者側に選ばれてきたってことになるのかもしれません。


三遊亭圓朝新作落語として明治初期ごろに出来たんじゃないかって言われている噺なんですよね。


名人の中の名人っていわれる噺家ですからね圓朝って人は。
「芝浜」の他にも、いっぱい当時の新作落語っていうのを創作しています。


「死神」なんていうのは時代を超える傑作ですね。


怪談噺もチョー有名です。「牡丹燈籠(ぼたん どうろう)」「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」「怪談乳房榎(かいだんちぶさえのき)」


牡丹灯籠なんて、圓朝25歳の時の作だそうです。
どえりゃあストーリーテラーです。


客席からお題をもらって即席でこしらえる「三題噺」っていうのもたくさん傑作を残していて、今じゃあどれも立派な古典ですからね。とにもかくにも才能あふれる噺家だったんですね。


「小室山の御封」「玉子酒」「熊の膏薬」っていう三題をもらってこしらえたのが「鰍沢(かじかざわ)」
この噺も、今じゃ古典落語として人気です。

 

 

 


「芝浜」は「酔っぱらい」「芝浜」「革財布」っていう三題からこしらえたらしいです。


ま、こういう伝説めいた話には、異説っていうのが必ずあるもんでして、その話はだいぶ前に似たような話があるんだって言われてもいるみたいです。
ま、似たような話があったとしても、そういうのを自分のネタの中に持っていたわけですから、圓朝の仕事として認めてイイんじゃないでしょうかね。とにかく凄い人なんだから、ってことで、はい。


「死神」っていう噺は、モーパッサンの「親殺し」っていのを翻案したものだっていうこともあってですね、やたらに名作ばっかりこしらえちゃうもんですから、ヤッカミ半分で、どこかに原案みたいなもんがあるはずだっていうことを主張したいのかもしれませんですよ。


圓朝って人は江戸、東京の人ですからね、噺の舞台はだいたい東京ってことになりますけれども、「芝浜」の舞台になっている、芝の雑魚市場っていうのが、現在の港区芝4丁目、「本芝公園」の辺りなんだそうです。
山手線の田町駅、線路に沿った細長い公園ですね。


芝浦です。今でもそういう地名で残っている土地で、江戸時代は海岸だったんでしょうね。
東京芝浦電気、現在の東芝が東京電機と芝浦電機の合弁なわけでして、その芝浦電気っていう会社もこの辺にあったんでしょう。


今じゃあ海岸線はだいぶ東寄りに移動していますね。埋め立てでね。東京はどんぢん太平洋側に膨らんでいるんです。江戸時代からね。


でもこの辺は今でも、気候によって海の香りを感じることのあるような土地ではあります。


しばらく田町の駅からほど近い仕事場にいたことがありましてね、縦横にめぐらされている水路には、もやってある屋形船なんかが見える通勤路でありました。
芝公園の方とは反対側のオフィスビルでしたんで、公園の中に入ったことはないんですけどね。
東京には、この他にもね、方々に落語の舞台があります。


でもまあ、へええ、この辺がねえ、って感じすら全然しないように変わってしまってますけどね。どこもかしこもコンクリートだらけですから。


そうやってどんどん変わっていく世の中で、江戸時代からの古典落語を守っていくっていうのは、並大抵のことじゃないんでしょうね。


芝浜を高座にかける噺家は多いんですけれども、どうなんでしょうね、この江戸時代の芝浜当たりを歩いてみて、昔を偲んでみるなんてことをやるんでしょうかね。


「品川心中」なんかもそうですけど、江戸の町人の生活感なんてどこにも感じられないでしょうけれどもねえ。
東京はどんどん変化し続けている街。


そうじゃなくたって生活様式がすっかり変わっているわけですからね、古典落語を続けていくには、そのままの噺をしていたんじゃロクに通じない、なんてことも当たり前にあって、いちいち説明しながら演っている噺家もいますもんね。難しい、やりにくいもんなんでしょう。


なんども言いますけれども「芝浜」って噺はたくさんの人が演っています。名人芸って噺家もいますけれども、へたっぴも少なくないんですね。

 

 

 


三題噺から出たっていっても、しっかりした人情噺ですからね、噺が客の感情に伝わってこなくっちゃいけません。
で、そのへんの、人間の感情ってものがね、どうも昔とは決定的に違ってしまっているんじゃないか。ってことは噺の方も変わるべきなんじゃないかって考えた噺家がいるっていうことなんでしてね。


立川談春っていう噺家さん、人気ですよね。あれですよ「赤メダカ」の人。


その談春さんが2022年12月、有楽町朝日ホールで独演会「いままでの芝浜、これからの芝浜」を演るんだそうです。

12月6日、7日が「これまでの芝浜」でもって12月13日、14日が「これからの芝浜」ってことなんだそうです。


立川談志っていう噺家の「芝浜」っていうのは、まさに名人芸だったんですよねえ。


その弟子の、談春さんもね、これまで何回も演っている噺なわけです「芝浜」
どんなアレンジを演ってくれるんでしょうかね。「これからの芝浜」


「芝浜」っていう噺は、夫婦のやりとりですからね、そこを現代風にっていうか、価値観を違えた落としどころ、みたいなものをこしらえたんでしょうかね。
「酔っぱらい」「芝浜」「革財布」の三題は残すんでしょうかね。


「芝浜」の主人公の名前は定まってないんですよね。あれですよ、これまでの「芝浜」ではですよ。


演る噺家によって主人公の名前はいろいろなんです。ただ共通しているのはお題にある「酔っ払い」酒好きだっていうことですね。


あとは「芝浜」っていうお題がありますから、海です。海が出てきますね。で、主人公の酔っ払いは、たいてい魚売りの仕事をしています。
江戸時代のことで、棒手振り、棒手売りってやつです。

 

 

棒手売りって書いて、ぼてふりって読むみたいですけど、今はもう、そういう商売形態は通じませんよね。


元々は腕のイイ魚売り。市場で仕入れた魚をてんびん棒にぶら下げたたらいに入れて売り歩きます。呼ばれたその場で捌いて商売をしているんですね。


でも、酒好きが災いして、呑み過ぎて、早朝、雑魚市場、ここが「芝浜」なんですが、行かなくなっちゃう。かみさんに起こされても起きない。仕事に行かない、っていうシチュエーションから噺が始まります。
この辺りの処理の仕方がさすが圓朝ってことなんでしょうね。


まだ何も噺らしいことが起きてないんだけれども、「酔っ払い」「芝浜」っていうお題を2つもこなしちゃってます。


仕事をしないことには生活していけんせんからね、かみさんがやいやい言って市場へ行かせます。
この、働かない酒好きの夫を送り出すまでのやりとりで、夫婦の情愛ってもんがね、伝わってくるようじゃないと、この噺はいけませんですよ。ここまでで噺家のレベルってもんが知れちゃいます。


ただパアパア言ってね、まくしたてるだけのかみさんじゃ全然ダメです。


で、なんとか出かけて行った魚売りが、かみさんが刻を間違えたってことにしているのが多いんですけど、芝浜の雑魚市場に早く着き過ぎちゃって、浜で顔を洗って海から出てきたら、足に引っかかるものがあって、ひょいと拾い上げてみると、それがずっしり重い「革財布」
これで、三題噺のお題は3つともクリア、ってことになるわけです。


初めて聞いたときにですね、ええ~? 江戸時代の浜辺で革の財布? って思ったもんですが、お題ですからね、無理矢理にでも「革財布」なわけだったんですね。


まあ、ここで、重たい財布を拾って来ちゃったっていう、噺の動きはあるんですけどね。お題を3つともクリアしちゃった時点でそれだけなんです。


はい、お題をクリアしましたよって段階で、だったらどしたい! ってなもんなわけです。


ここから人情噺に持っていくんですからね。ドエライもんです。


あとね、何回か聞いて思っているのは、芝浜ね、雑魚市場ってところですね。雑魚です。
日本橋に大きな市場があって、そっちでは高価な魚を扱っていたんでしょうね。
で、芝浜では雑魚。安い魚を扱っている市場なんですね。そういう生活環境を、巧く演ってくれる噺家って、いないんです。


「これまでの芝浜」ですね。


あれこれ世話をして夫を送り出すってことはね、もちろん今の奥さん方だってやっておられますでしょうけれど、今はね、専業主婦っていうんじゃなくって夫婦共働きが多いですよ。
その辺りのやり取りを今風に変えちゃうんでしょうか。

 

 

 


こんなような予想は長くなりますし、みなさんご存じの噺でしょうから、これ以上のあーだこーだは止めにしておきましょう。


「芝浜」っていうのは「いや、やめておこう。また夢になるといけねえ」ってね、ちゃんと落ちる人情噺なんですよね。


それをね、夫婦のやりとり、互いを思いやるっていう心情をね、どう変えて「これからの芝浜」にしてくれるんでしょうかねえ。日本人の夫婦愛ですよ。


楽しみですよ、立川談春さん。
でもねえ、どうしましょうかねえ。第8波だっていうしねえ。


っていうか、もうチケット取れないでしょねえ、っていう現時点で半月前の思いなんであります。
「これからの芝浜」ナイスチャレンジだなあって思ってね。気になっているでありますよ。


ま、今回は行けないにしても、うまく演ってくれれば、評判になって、そのうち、他の席で、ね。