< 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約 >
ラムサールって名前だけで判断しようとすると、なにか昔からあるスイーツなのかって気がしないでもない感じなんですが、イランの観光地の名前なんだそうです。
カスピ海に面したイラン、マーザンダラーン州の都市で、カタカナ表記でイラン語に近い発音に従えば「ラームサル」っていう方が正しいって言えそうです。
なので、ラームサルで1971年に制定されたのがラムサール条約、ってことになるんですね。
ラームサルって響きの方がイランっぽいでしょ。知らんけど。
湿地の保存に関しての国際条約、で、「特に」水鳥を食物連鎖の頂点と捉えて、湿地の生態系を守ろうっていう条約なんですね。
正式名が上にもあげた「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」
なんでまた、こんなシマラナイ、長々とした名前で決着したんでしょうね。
それにしても、1971年っていうタイミングで、すでに自然保護っていうことを考えないといけないっていう意識があったんだなあってことは、気付いていた人はちゃんといたんだってことですね。
SDGsのさきがけって捉えることができそうです。
地球環境の保全っていうことと、生物多様性の確保ってことになるんでしょうね。
世界的に湿地っていうのは干拓、埋め立ての対象になってどんどん失われていって、このままでは地球の自然な姿が消えてしまうっていう危機感から策定された条約。
でも、名前を冠しているラームサルに湿地はないんだそうです。
ふううん、です。
なんでそういう場所で湿地に対する保護条約の話し合いが行われたんでしょう?
2018年現在で、締約国数が170か国。登録されている世界の湿地数は2,334か所。
「湿地の保全と再生」「湿地のワイズユース」「湿地の保全とワイズユースを促進する世界交流と学習」
っていうのを3つの柱としているのがラムサール条約。
1980年からは3年か4年おきに定期的に締約国会議が、場所を変えながら開催されているようです。
日本では1993年に釧路でラムサール条約の締約国会議が開催されています。
湿地っていえば、長崎県の諫早でのあーだこーだを思い浮かべてしまいますが、2015年までに49カ所の湿地を登録しているようです。
諫早の干拓計画が1971年以前だったとか、そういう理由があるのかもしれませんが、人間至上主義っていうのはホントに改めて考え直す必要があるんだろうって思います。
ラムサール条約っていう名前は知っている人がほとんどでしょうけど、さて、その内容は? っていいますと、知っている人って意外に少ないんじゃないでしょうかね。
統計立てて示しているページも見つかりませんでしたので、時系列で日本の登録地を調べてみました。
自宅から近いところがあれば足を延ばしてみるのも一興かと思います。
1980年、昭和55年に日本初登録された湿地は1カ所。北海道釧路市釧路町、標茶町鶴居村地域の「釧路湿原」
有名ですよね。訪れたことはなくとも、名前は知っているって人も多いんじゃないでしょうか。
日本第1号ってことでニュースに取り上げられて名前を知っているのかもです。
続いて1985年、昭和60年にも1カ所。宮城県栗原市、登米市地域の「伊豆沼、内沼」
1989年、平成元年にも1カ所。北海道浜頓別町の「クッチャロ湖」
1991年、平成3年にもまた1カ所。北海道苫小牧市の「ウトナイ湖」
1993年、平成5年には5カ所登録されています。
北海道浜中町の「霧多布湿原(きりたっぷしつげん)」
北海道厚岸町の「厚岸湖(あっけしこ)、別寒辺牛湿原(べかんべうししつげん)」
石川県加賀市の「片野鴨池」
滋賀県の「琵琶湖」
琵琶湖もラムサール条約に登録されているんですね。
1996年、平成8年には1カ所。新潟県新潟市の「佐潟(さかた)」
1999年、平成11年も1カ所。沖縄県那覇市、豊見城市地域の「漫湖」
2005年、平成17年には、なんと20か所登録されています。
北海道網走市小清水の「濤沸湖(とうふつこ)」
北海道釧路市の「阿寒湖」
栃木県日光市の「奥日光湿原」
鹿児島県薩摩川内市の「藺牟田池(いむたいけ)」
2008年、平成20年には4カ所。
宮城県大崎市の「化女沼(けじょぬま)」
茨城県古河市、栃木県栃木市、小山市野木町、群馬県板倉町、埼玉県加須市地域の「渡良瀬遊水地」
2015年、平成27年には4カ所。
茨城県鉾田市茨城町、大洗町地域の「涸沼(ひぬま)」
四方を海に囲まれた日本列島とはいえ、これまでに登録されているだけでもこんなにあるんですね。
まだまだ候補として重要な湿地もあるんだろうと思います。
にしても、ほとんどの場所を知りませんね。読めない名前もけっこうあります。
でも考えてみますと、あんまり人に知られない方が保全はうまくいくような気もしますね。
せいぜい日本野鳥の会に人たちが知っていれば充分なのかも。
そういうことじゃない、かしらん???
東京、神奈川には1カ所も登録地がないんですね。
本来は江戸前の干潟が有ったんだっていうことを考えますと、国全体が工業化していって、確かに得るものは大きかったし、このところ落ち込み気味だとはいえ、今のこの生活レベルはそのおかげだっていうことは重々理解したうえで、やっぱり失ったものも小さくないんだろうなあって思いますね。
こうしたことを考え始めますと、無い物ねだりになってしまいがちだと思うんですが、もうこれからは、自然を犠牲にしながらの発展っていうのはあり得ないんでしょうね。やっちゃいけない。
ラムサール条約があって、ふっと、深い想いにとらわれてしまいます。
聞いたことあるなあってレベルじゃなくって、少しは知っておいた方がヨサゲ、な感じ。ですかね。