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【現存在分析】人間の在り方を考える精神病理学の手法

< 原因不明の病気って いろいろ いっぱいあるんですよねえ >

「ここは私の居場所じゃない 境界性人格障害からの回復」っていう700ページちょっとの単行本があって、著者のイギリス人女性、レイチェル・レイランドの体験談なんですが、まあ、人間ってホントにいろいろあるんだよなあって思いました。

 

 

 

 

イギリス、アメリカでは精神科の治療を受けるっていうのが日本よりずいぶんオープンな感じがするのは、映画なんかの影響で実はそうでもないのかもですけど、生まれながらの病気っていうんじゃなくって、後天的に精神の病気ですよって判断されちゃうのってかなりショックでしょうね。


この境界性人格障害っていう病気の場合だと、どうしようもなく強迫観念にとらわれている自分っていうのには、本人もなんとなく気づいてはいるんだけれど、病名を告げられると、どっしり落ち込んでしまうみたいなんですね。


カウンセリングっていう言葉、概念は、ここ十数年で日本社会の中でもそんなに珍しいものではなくなってきていると思いますけど、休職していた人が復職して、何事も無く仕事場で活躍出来ているっていう例は少ないかもしれないですね。


カウンセリングを受けた当人の問題じゃなくって、その人に直接かかわる周りの人間が、実はどう接していいのか分からないっていうのが実情なんじゃないでしょうか。


もちろん悪意があるんじゃなくって、対処の方法が分からない。
気にしていませんよ、っていう接し方って、正しいのかどうかアヤシイ感じですしね。
そういう病気を理解できていないです。


ストレス社会の中で誰にでも起こり得ることなんだっていうレベルの情報は持っているんですけど、何も気にせず、以前通りに接するなんて、やっぱり出来ないんですよね。
難しいです。
インフルエンザで休んでいた人が復職してきた場合とは全然違いますよね。


これは、どう判断したらいいのか分からないんですけど、治療が必要な状態になった人には専門家が対処して回復させてくれるわけですけれど、その当人が職場復帰するにあたって、その回復して戻ってきた人にどう接すればイイのかについて、何も知識、知見がありませんよね。


家族であれば、ドクターからいろいろ教えてもらったりしているのかもしれないですけど、どうなんでしょうか。
もしかすると、家族にしても、職場の同僚と同じ程度しか知識がないのかもしれませんね。
ホント、どう接したらいいのか聞いたことない、知らない、分からない。


オフィスビルのワンフロアに数百人いて、全員が一日中モニターに向かって仕事をこなしているような職場ですと、かなりの確率でカウンセリングを受けている人は居ます。実際に居るんです。


統合失調症」っていう病名はよく耳にしますが、日本では100人に1人の割合で「統合失調症」って診断されるんだそうです。


統合失調症」以外にも精神疾患はたくさんあって、アメリカの統計では成人の5人に1人が精神疾患を経験しているっていうデータもあります。


ワンフロアに数百人いて、そのオフィスビルが20階建てだとすると、相当数の患者がいるっていう計算になりますよね。日本でもね。


15人のチームで7人が通院中っていうプロジェクトを経験したことがあるんですが、その時は、素人判断ですけど、明らかにそのまとめ役の上司が病んでいましたね。
自覚症状のない強度のパワハラってやつでした。
そのせいで、真面目な人ほどウツっぽくなっちゃったんだと思いました。


プロパーじゃない私は、すぐにぶつかって、そのプロジェクトから抜けましたけど、社員さんはそんな簡単に上司とはぶつかれませんもんね。


そういう、精神疾患を製造しちゃうタイプの精神疾患っていうのもあるように思いますね。
「性格が悪い」とか、そんなんで済ませちゃいけないレベル。のような気がします。

 

 

 


精神疾患って、ほとんどの場合、明確な原因が分かっていないみたいなんですよね。


同じ病名でくくられても、個人こじんによって、その原因が違っているっていうような精神疾患って、治療方法もそうですけど、その病名の判断自体、まだ全然あやふやな段階なのかもしれませんよね。
もっと細かく、別の病気として区分けするか、もっと大きくくくってしまって対応は個々にするとか。


境界性人格障害」っていう病名がどうやって判断されているのか、知りようもありませんけれど、なんだか凄そうな名前で、実際かなり深刻な行動を伴うみたいですけど、完治しないっていう意見もある中、著者は回復したっていうことなんですよ。


再発、っていうことだってないではないのかもですけど、自分は回復したんだっていう気持ちに成れたってことは間違いのない事実です。


この本を読んで感じたのは、著者の旦那さん、エライなってことなんです。


3人の子どもさんも居てってことなんですけど、自分の伴侶に対する「愛」っていう、ホンモノの精神力みたいなものを持ち合わせている男の人なんだろうなって思いました。


で、著者の経験談の貴重さは凄く大きなものですけど、妻がカウンセリングを受けるに至った経緯、カウンセリング途中の妻の病状との向き合い方、回復後の妻への接し方とか、そっちの「物語」も知りたいなあって思うですね。


人類の精神疾患との向き合い方として、有名なフロイト(1856~1939)やユング(1875~1961)っていうセンセたちの他にもたくさんの精神科医っていうのが居るんですけど、「ルートヴィヒ・ビンスワンガー(1881~1966)」っていう人がいるんですね。
スイスの精神科医です。


こうして並べてみますとフロイトオーストリア精神科医ユングはスイスの精神科医ですから、東ヨーロッパが精神病治療の本場なんでしょうかね。

 

ビンスワンガーは「現存在分析」っていう精神分析法を創った人です。
1930年代に始められた精神病患者を理解するための有力な方法。


やっぱりねって思うんですけど、患者の状態を理解する方法が100年前に、やっと有力っていえるレベルになったっていうことなんですね。
精神病っていう病は、人間の中のどこがどうなって起きてしまうのかっていうこと自体が、いまだに暗中模索だってことになるんだと思います。


どうしましたか? っていう質問を患者にしたとして、その患者の精神内容がどういうものなのかを説明するのは本人なわけですから、説明された内容は信頼性が薄いってことになっちゃいます。
患者は真剣に話をしても、その内容は妄想だったりするわけですから、聞く力っていうか、医師自身のキャパシティが求められるんでしょうね。


その患者の体験が、どうやってその患者の意識を形作っていくのか。


何を言っているのか理解できないっていう態度じゃなくって、患者の体験そのものが、どういうような構成で体験されたのかっていうふうに、さかのぼって考える、っていうのが「現存在分析」


ビンスワンガーは、このアイディアをハイデッガー(1889~1976)の理論から導き出したんだそうです。


「人間という存在は、他者との関係において初めて成り立つ」っていう「世界内存在」っていう概念ですね。
存在と時間」の著者、ドイツの哲学者ハイデッガーです。


この「存在と時間」は、あれですよね、高校生、大学生ぐらいの時に読んでいる人は少なくないんじゃないでしょうか。
けっこう面白い内容ですよね。


でもあれなんです、「存在と時間」って未完なんですよね。


人間存在についての長い、回りくどい言い方で、考え方を提示しているのが面白いんですけど、人間っていう存在は時間経過の中にしか存在できないんですよっていいながら、じゃあ、時間っていうのはね、っていう、この理論の後ろ半分が書かれて、っていうか話されていないんですよね。


偏屈なオヤジだったらしいんですけどね、ハイデッガーって。


影響を受けているエライ人たちが、ビックリするほど多いことも知られています。
存在と時間について」っていうような解説本もたくさん出ていますもんね。

 

 

 


いろんな国で国内格差が広がっていて、ワーキングプアとかいう実態も知られてきて、なんとなく沈み加減の世界をコロナ禍が襲ってきて、ロシアの民主主義に対する否定みたいな戦争があって、どうにも閉塞感がぬぐえない21世紀の地球。


まもなく21世紀も四半世紀を過ぎようとしています。


個々の人間存在を大事に捉えて、多様性の尊重社会っていうのを実現するために、医療のジャンルだけじゃなくって、21世紀のハイデッガー、ビンスワンガー、フロイトユング、みたいな巨人の登場が待たれますね。


今現在の世界の指導者たちって、なんかね、どうもね、って感じです。
他力本願ってやつなんですけどねえ。
未来に希望を持ちたいわけでございますよ。


なにかイイことないかい、仔猫ちゃん。です。