< 全宇宙的「今」っていう時間的把握は アインシュタインも諦めた物理学では説明できない経験 >
ぱっぱらあ~!
宇宙の話です。
♪光の国からぼくらのために
♪来たぞ われらのウルトラマン
え~っとですね、っていうことでですね、ウルトラマンが地球にやって来たのは1966年です。
半世紀以上前。ん!? そんな前でしたか! って感じちゃいますねえ。
まあね、リバイバルっていうのが何回かありましたからね、当時の少年少女たちだけじゃなくって、もっとずっと幅広い年代に、しっかりインパクトを持って認識されている「初代」ウルトラマンではあるでしょう。
セブンやらタロウやらシリーズになってずっと、ぼくらのヒーローであり続けていらっしゃいます。
ウルトラマンが、そこからやって来たっていう「光の国」、幼稚園の名前だとか宗教団体の名前とかにもありそうなネーミングなんですけど、どこだか知ってます?
「M78星雲」ですよね。
地球からの距離、1600光年。オリオン座のM78反射星雲のことだよねえ、っておっしゃるアナタ。めっちゃ宇宙に詳しいですねえ。
でも、ちゃうんです。
ウルトラマンの故郷はそんな近いところにあるM78星雲じゃありません。
地球からじゃなくって、太陽系が含まれている天の川銀河から300万光年っていう途方もなく遠いと~い宇宙の彼方にあるんだそうですよ。
でも、そんなM78星雲は、福島県須賀川市の姉妹都市なんですよね。
なんでって、須賀川市は円谷英二さんの故郷だから。
宇宙の果てにまで姉妹都市を持っている地球。特に日本は全宇宙と馴染みの深い国だって言えるのかもしれませんよ。
ところで、2022年10月19日にNASA(アメリカ航空宇宙局)がジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した1枚の写真を公開しました。
BBC NEWS JAPANでも写真紹介している「創造の柱」です。
これが宇宙ですって感じがする「創造の柱」
こうした衝撃的ともいえる宇宙の姿は、一眼レフでパシャって撮るような写真とは違って、宇宙望遠鏡のデータを解析して画像を組み立てるっていう作業を経て公開されているみたいなんですけど、宇宙っていうのは、やっぱり、なんだか途方もないものなんだなあって感じさせられます。
なんでこうなの? っていう想像の外。
地球から6500光年ほどの距離にある「ヘビ座 わし星雲」の中の、地球から7000光年の距離にあるっていうことらしい「創造の柱」は、その高さは一番高いもので約4光年。
太陽系の直径が約3.2光年だそうですから、写真を見て直感的に受け取れるスケールをはるかに越えているもんなんですね。
太陽系がすっぽり入っちゃう星雲「創造の柱」
ガス雲の奇妙な姿や、きらめいて見える星の光は、背景の宇宙の暗闇と相まって、実に神秘的。
「なにごとの おわしますかは知らねども かたじけなさに 涙こぼるる」
日本の景観に、西行さんが詠んだってされているこの歌の、言葉にならない感動と共通するものがありますよね。
日本の景観と7000光年の彼方とを比較したってしょうがないでしょ、っていうご意見もあるでしょうけれど、7000光年って、あっさりと人間の理解を越えている距離でもありますよね。
21世紀現在では、それより速いものは存在しないってされている光の速さで7000年もかかる距離。
7000年ですよ。7千。
ま、300万光年の彼方からやってきたウルトラマンは、光より速く移動できる手段を持っているんだろうって思いますけどね。シュワッチ!
なんにしても、7000光年っていう、そんな距離の先の画像を、今の宇宙の姿をパソコンであれなんであれ、こうして見られるっていうのは凄いことですよね。
でもですね、「今の宇宙の姿」って、たった今言ったばかりなんですけど、NASAが見せてくれた「創造の柱」は「今」の宇宙には存在しない可能性が高いんですよね。
太陽系よりデッカイ星雲が、そんな簡単に無くなるの? って思うのが直感的な感想ですよね。
でも、改めて考えてみましょう。
NASAの「創造の柱」の写真は7000年前の光をとらえたものなんですよね。
7000年前ですよ。地球では紀元前5000年ってことになるわけです。
「創造の柱」の中に輝いて見えるのは、超新星爆発を起こす前である可能性の高い20個ほどの星らしいんですね。
重量の大きい、重い星が、その一生を閉じるときに起こす大爆発。それが超新星爆発です。
「創造の柱」を形作っているのは宇宙の磁場の影響によって集まっているガスらしいですから、超新星爆発が複数繰り返されたとすると、ことごとく吹き飛ばされているだろうっていうことなんですね。
完全に消え去ってはいなくとも、少なくとも、今、目で確認している「創造の柱」の形は維持していない。
そりゃそうでしょうねえ。
こうして理屈では理解出来ても、やっぱりね直感的には納得出来ない感じもあります。
「今」っていう瞬間を、どこでも誰でも共有している感覚で生活しているのが普通だと思いますけど、思い起こしてみれば日付変更線があったりして、地球の上だけでも「今」は共有できていないんですもんね。
7000光年とかいう想像を超えた距離になっちゃうと、それはもう全然違う状態になっていても何の不思議もないってことなんですね。むしろ変化していないっていうことは考えにくいってぐらいのことなのかもしれないです。
専門家でもない一般人の我々は、科学っていうものをどの程度理解しているんでしょう。
アイザック・ニュートン(1643~1727)の物理学は、とっても直感的で理解しやすいものでした。
もちろん「プリンキピア」の内容とかを全て理解しているっていう意味じゃないですけどね。
絶対空間、絶対時間っていうのは、直感的で理解しやすいものですよね。
ところがアルベルト・アインシュタイン(1879~1955)が、現実の宇宙はそういうもんじゃないってことで、特殊相対性理論、一般想定性理論を発表しました。
ムッツカシイ理論なんですが、有名な説明として、時計を合わせたうえで、宇宙に飛び立った1人と、地球に残った1人がいて、ぐるりと宇宙を廻って帰って来たとき、その2人の時計は同じ時間経過をしていないっていうものでした。
宇宙を廻って来た方の時計の方が遅れている。つまり宇宙を高速移動すると時間は縮みますってことですね。
ん~。そなんですか、って感じでなんとなく納得させられるんですが、直感的じゃないですよね。
時計が不良品でしたっていうのが正解なんじゃないの、とかね。
ところがそこからさらに、相対性理論では充分に宇宙を説明できませんよっていう、量子理論なんていうのが出てきました。
月は見上げる観察者がいるから存在しているんであって、見ていなければ存在しているかどうかは分からない、なんていう不確定性理論だとかになってきますと、唖然茫然、口あんぐりで、さっぱり分かりません。
で、今はさらに超ひも理論だとかになってきていて、ニュートン理論もおぼつかない科学理解力では、なかなかねえってことになってきていますね。
AIシンギュラリティだとかも言われていますし、なんだか全然違う世の中になってしまっているのかもしれない21世紀の地球です。
アインシュタインは「時空」っていう概念を示してくれていますが、空間、時間、っていう日常で当たり前に使っている言葉。その言葉が表している概念。
これが実は、明確なものじゃないんですよっていうのが、どうやら、現実らしいんですね。
少なくとも直感的に理解しているようなものじゃないってこと。
地球上の、宇宙全体としての「今」っていうのは、ほぼ何も解っていない、定義できていない。不思議なモノだっていうことなんであります。
ルドルフ・カルナップ(1891~1970)っていうドイツの哲学者がいて、「今」っていう概念についてアインシュタインと会話した時のことを書き遺しています。
「アインシュタインは、今という概念を巡る問題は彼をひどく悩ませると言った。そして彼は、人間にとって今という経験は特別なものであり、過去と未来とは本質的に異なるが、この重要な差異は物理学からは出てこないし、出てくることはあり得ないと説明した。彼にとって、科学が今という経験を捉えられないことは、辛いけれども諦めなければならないことであるらしかった」
ん~。
アインシュタインがよく分らんって言っているようなことが、我々一般人がよく分らんっていうのは、ま、しょうがないんじゃんね。
あっさり諦めますよ。
っていうことで、もう一度NASAの「創造の柱」の写真を見て、ため息です。
「なにごとの おわしますかは知らねども かたじけなさに 涙こぼるる」
超ひも理論とかより、西行さんの方が友達になれそうな気がしますです。
「創造の柱」は「天地創造の柱」っていう呼び方もされていて、聖書に基づいたネーミングなんでしょうね。