<昭和の終わりごろまでは雑魚扱い かまぼこの材料でしかなかったんだって>
3、4年前に初めて食べたんです。
福島県の定食屋さん。というか県道沿いのパーキングみたいな場所でした。
シルバウィークの時期。高速が大渋滞だったんで下の道に降りてみたんですが、こういう時にはね、下もやっぱり混んでいるんでありました。
そりゃそうなんですけれどね。
うんざりしながらノロノロしか進まない車の中から「定食」という看板を見つけたのでした。
特に空腹、というわけでもなかったんですが、他に車を停めて休めそうなところもありませんので、寄ってみたんですね。
昼時を過ぎていたこともあって、広い駐車場は空いていました。
駐車場に車を停めて、ここどこだろ? ってな感じでした。福島県に土地勘ないですからね。
トラックドライバー御用達の定食屋さん、という見た目の店舗。建付けの悪いアルミサッシ引き戸の入り口です。
ま、入りましたですよ。特に期待もせずに、ですね。
カレーライス、焼肉定食、ラーメンといったよくあるメニューの中に“メピカリから揚げ”というのが目につきました。
メピカリ? 何語? ってな感じではありましたが、初めての土地で初めての食材って、そりゃもうチャレンジですよね。
で、注文すると、
「定食にしますか?」
あ、なるほど、これ、単品だったのね。
酒のアテってことなのかな? ドライブインみたいな店なんだけど。駐車場付きの居酒屋さん? まだあるの? それともあれか、定食のもう一品ってやつかな。
ま、定食にしてもらいました。メピカリとは何か? って聞きもせず。
なんか6時間ぐらい渋滞に巻き込まれていたので、グッタリ気味だったですねえ。
で、出てきたのを見たら、ん? ワカサギ? の大きいヤツ? でした。5匹。
魚かどうかすら判らずに注文したのでありましたが、見た目的にはアタリ! という雰囲気。
でも、周りの風景は“山の中”でしたので、川魚なのかな? とも思ったんですが、ま、今の世の中、物品流通に海も山もないんでしょうけれど。
さて、メピカリです。
かぶりついてみると、サクッサクッという食感。
表面はカリカリなんですが、中の身はジューシーというよりは、ホクホクとしているのにオイリーなのでした。
ワカサギじゃないっす。でも白身。しっかりした食べ応え。味わいに大きな満足感。
魚だな、とは感じるんですが、口の中の満足感は馬刺しのタテガミっぽいです。
マグロの大トロなんかとはまた違った脂身の味わい。しつこい脂ではないです。クセのないンまさ。
小皿に岩塩、付けてくれています。
最初の一匹は塩でいって、その後、しょう油、いってみました。ウスターソースいってみました。でまた、塩。
塩が一番ンまいのでした。骨ごとむしゃむしゃ食べられます。い~んでないの、めひかり。
帰ってから今さらながらに調べてみますと、メピカリって深海魚らしいです。
福島県の店ではメピカリという名前で出されていましたが、一般的には「めひかり」というみたい。
山間の定食屋さんで深海魚だったわけあります。
別名というか正式名称? は「アオメエソ」
はあ? という馴染のない名前なんですが、写真をネットで探してみると、深海魚っぽいとは思えない姿なんですが、目は大きいですね。
しかもみどり色。大きな目がみどり色に輝いています。
みどり色だけどアオメ。青い目ってことなんでしょうね。
昔の言い方って、みどりでも水色でも青って言いますからね。みどり色の青信号の類。
茶色も紅色も赤って言うしね。
青い目のエソ、っていう魚、深海魚。エソって知らないけど。
その特徴的な目が光っているからメピカリ。めひかりって言うよりメピカリって言った方が光り方が強いような印象ですが、ま、そんな差はなくて、単なる呼び方の地域性ってもんなんでしょう。
静岡県の沼津市辺りでは「トロボッチ」なんて呼ばれているということです。
もしかするとですが、トロボッチのトロって、大トロのトロなんじゃないでしょうか。脂のノリが凄いですからね。トロです。タテガミです。
東北から九州にかけての太平洋で獲れる魚で、底引き網漁なんだそうです。
ほぼどこでも獲れる魚って感じですが、知りませんでしたねえ。初お目見え、初耳。
エビの網に入って来てしまうんだけれども、奇妙な姿なので市場には水揚げせず、漁師たちが自分で食べていた、というメピカリ。
そういう歴史が長い魚だということです。
で、食べていた漁師たちは、ンまいンまいと大満足だったようです。
そりゃそうでしょねえ。ンまかったですねえ。
たくさん獲れるようになると、漁師さんたちが自分で食べるだけでは消費しきれなくなって、かまぼこに利用されたということです。
雑魚扱いですね。
とはいうものの、各地で猟師さんが認めていた味だったわけです。
大きな目が光っている深海魚、という奇妙な姿ではあっても、各地で料理の工夫があって、徐々に一般家庭の食卓にのぼるようになったという経緯があるそうです。
食べたらンまい。ってことですね。
大きいものだと20センチぐらいになるというめひかりですが、から揚げ、天ぷら、フライの他に、塩焼きも人気だそうですし、昆布締めなんかにもするらしいです。
鮮度と型がよければ、もちろん刺身。
く~。食べたことないですが、間違いないでしょうね。
さらには、沼津市で盛んに作られるのがトロボッチの一夜干し。この一夜干しはなかなかに高級品なんです。
ンまさが凝縮すると言われていますね。
ん~。めひかり一夜干し。食べたことないです。あの脂身のンまさがぎゅっと凝縮されるというんですから、そりゃあもう、高級品、なんでしょうね。
しかしまあ、知らない魚ってまだまだあるんだろうなあ、と思います。
めひかり。これからまだまだ高級魚になっていくのかもしれません。
東京近辺の居酒屋メニューでは見かけませんが、そのうち出てくるでしょうか。
見かけたら、ぜひ、いってみてください。
から揚げ、天ぷら、フライの揚げ物もイイでしょうし、一夜干しなんか出ていたら外しちゃいけません。
ましてや刺身にめひかりとか出してくれるとなれば、なにはさておき、一口目にいってみたいですねえ。
生態なんかは全然分かっていない魚で、情報も調べた範疇では確定されたものはなかったです。まだまだ未知の深海魚。
でも、深海魚って感じ、全然しないですけれどねえ。
一頃のホッケみたいに、居酒屋メニューのイチオシになったりしちゃうかもです。ンまい食べ方も色々あるみたいですしねえ。
<めひかりの身体に旨い満足度>
揚げ物の場合、アタマは落としてあったり、付いたままだったりするらしいんですが、ま、大きさに合わせてってことなんでしょう。
なんにしても骨ごと食べられるので、カルシウムがしっかり摂れます。
刺身にしたあとは、骨だけ別に揚げて、骨せんべいとかもあるそうです。
骨は噛み応えバツグンですので、間違いなくンまいでしょう。
カルシウム、大事ですよ。
テレワークで満員電車から解放されて、ストレスから解放されたという感覚。これがですねえ、みんな、長続きしていませんね。
コロナがさっぱり収まってくれないので、世の中全体として先行き不透明。
さらにはこれまで憩いの場であったはずのわが家、自分の部屋が仕事場になってしまったことによって、新たなストレスを感じているという話をよく聞くようになってきました。
家庭内不和、コロナ離婚というニュースもありますしね。
豊富に、ンまくカルシウムを摂って、イライラしない身体にしておきたいものです。
カルシウムばかりではなく、ビタミンAが豊富な魚だということです。
めひかり。ンまい魚です。
<めひかりの心に旨い満足度>
丸ごと食べる魚ですからね。ストレスフルな日常では常に意識しておきたい食べものです。
<めひかりの酒のアテ満足度>
から揚げしか食べたことないんですが、酒のアテのためにあるような一品だと思います。
でもねえ、出してくれる店をそもそも東京辺りでは見かけませんねえ。
スーパーには置いてるんでしょうかねえ。
見つけたら迷わず買いですよ。
ウロコを落とすのが最大の作業、ぐらいな感じがします。やったことないですけれど。売ってませんし。
揚げ物にしても、炭酸系の酒じゃなくたってバッチリ合うと思いますよ。
焼酎の霧島酒造さんがレシピ書いていたりします。
<めひかりの酒の〆満足度>
私個人は、ごはんのおかずとして出会いましたからね、とってもンまいおかずです。
でも、おかずとしてめひかりを口に入れたら、また呑みたくなるんだろうなあ、と思いますです。
<めひかりを食べてますよって方 どんな食べ方ですか?>
なんかね、ホントにバリエーションいっぱいあるみたいですよね。
福島県とか、宮崎県とか、一夜干しの静岡県とか。
めひかりは、なんたってコレ! っていうメニュー、知っている方、食べている方、ぜひ教えてくださ~い。