< ♪コラ 秋田音頭です いずれこれより ご免こうむり 音頭の無駄を言う >
秋田県にこだわってみます。
佐々木希、壇蜜、生駒里奈、加藤夏希、藤あや子、宮本茉由、鳥居みゆき、桜田淳子。
ほほう、なるほどですねえ。
♪秋田の女ごは 何してキレだと きくだけヤボだんす
♪小野小町の生まれ在所を おめはん知らねのげ
♪キタカサッサー コイサッサー
小野小町さんは見たことありませんけどねえ、美人さんだったんでしょねえ。
「秋田音頭」って言えば、この歌い出しですよね。
♪秋田名物 八森ハタハタ 男鹿で男鹿ブリコ アーソレソレ
ハタハタっていう魚はスズキ目だそうで、体長20cmぐらいまで育って寿命が5年ぐらいの深海魚。
ええっ? 深海魚! って感じではありますが、昭和の中頃までは秋田県、鳥取県で大量に水揚げされていた魚だそうです。
普通の家庭でも箱買いするような安さで、箱代の方が高いとか言われていたそうなんですが、平成に入って漁獲量が激減して、資源保護の全面禁漁になったんですね。
そんでもって、2000年以降は徐々に増えてきているらしいです。
ブリコっていうのハタハタの卵。
その歯ごたえがブリブリしているってところからブリコって言うみたいですね。
八森町(はちもりまち)は能代市の北にあった町なんですが、2006年に峰浜村と合併して今は「八峰町(はっぽうちょう)」っていうんだそうです。マチからチョウに変わったんですね。
男鹿半島は能代市を挟んで南側になりますが、魚体が八森の名物で、その卵が男鹿の名物に分けられて歌詞になっているのはなんでなのか、ちと分かりませんね。けっこう離れた土地ですけれどもね。
食べ方の工夫として、特徴があったのかもしれません。
秋田音頭の成立は江戸初期、1663年ごろっていわれてますからね、漁獲量だけじゃなくって、いろいろ変わってしまっているんでしょう。
♪秋田名物 コの字づくしをつまんで言うならば
♪坊ッコにガッコ 笠ッコに小皿コ 酢コに醤油ッコ
「コの字づくし」って、どういうのか、言葉の最後に「ッコ」を付ける風習があるってことなんですね、秋田県。
たぶんおそらく秋田県に限ったことじゃなくって、東北の広い地域でそうなんだろうと思いますけどね。
「いぶりがっこ」っていうのが「ガッコ」なんでしょう。学校じゃないです。
ガッコって漬物のことらしいですよ。
秋田名物の食べものってけっこうありますよね。
「いぶりがっこ」「きりたんぽ」「比内地鶏」「あきたこまち」「稲庭うどん」「ババヘラアイス」「とんぶり」「じゅんさい」
特に調べなくとも、こうしてすらすら出てくる県って珍しいかもです。
旨いものがたくさんあります。
で、「だまこ汁」「だまこ鍋」っていう秋田名物があるんですけどね、これ、そんなに知られていないんじゃないでしょうかね。
食べ方っていうか料理そのものとしては「きりたんぽ鍋」に似ています。
でも歴史的にはきりたんぽ鍋より、だまこ汁の方が古いって言われいるそうです。
ついこの前ね、秋田料理を得意にしている居酒屋さんでいただきました。初めて。
急に冷えてきた夜に、のれんをくぐりますと、
「寒いね、だまこ汁、いってみる?」
って言われて、何が何だか分からないまま、汁物のアテとして1品目にいってみました。
1人前の小鍋で出てきました。アツアツの米だんご鍋、みたいな感じで、めっちゃ旨かったです。
以前にきりたんぽ鍋を食べた時との最大の違いは、大量の「セリ」でした。
しかも緑色の部分より、白い根っこの方が長いぐらいなセリなんです。
最初は、ええ~、これ食べんの? って感じもしていたんですが、なんでしょう、これ。
きりたんぽ鍋にもセリは入っていましたけど、こんなんじゃなかったですねえ。
ところが、だったんでありました。
しょう油味の鍋だったんですが、セリの根っこが旨いんですよ。シャキシャキとした歯ごたえがイイんです。
でも、これ、セリ鍋じゃないです、はい。
だまこ汁っていう鍋料理。
だまこって、なんなん?
って思いますけど、ふむ、これがだまこなんだろうなっていうのはすぐ分かりますね。
直径にして3cmぐらいの米団子です。3つ入ってました。
米の形が残っている感じの団子です。いわゆる「はんごろし」ってやつですね。
ちょっとだけ焦げてます。
秋田出身の大将が得意げに説明してくれました。
「きりたんぽよりさ、作るのが楽なんだよね」
まあね、たしかにきりたんぽは棒に巻き付けるっていう手間がありますもんね。
「どこの何を入れてもイイんだけどさ、うちのは秋田オールスターズなんだよ」
鍋に入っている具材は、だまこ、セリの他に、
白菜、ニンジン、大根、ささがきごぼう、里芋、長ネギ、マイタケ、しめじ、鶏肉っていうニッコリ具沢山。
秋田オールスターズって?
「セリはさあ、秋田県の湯沢、三関(みつせき)ってとこのセリなんだよ。茎よりもさ、根っこが旨いわけよ。その辺のセリとは違うんだぜ」
その辺のセリって、どの辺のセリなのかは分かりませんが、ホント、根っこが旨いって、なんかヘンな感じもするんですが、シャキシャキ感が茎とはまた違って、旨いです。
「野菜は全部、秋田。農協から直接送ってもらってるんだよね」
大将のお兄さんが秋田の農協にいるんだそうで、そういうお付き合い、ってことなんでしょうね。
弟の店に協力してくれている兄貴。ふむふむ、です。
「鶏はもちろん比内地鶏。出汁もそうなんだよ。比内地鶏はなんたって出汁なんだよ、ダシ」
ほほう、そなんですか。
天然記念物の比内鶏を品種改良して、食用として流通させているのが比内地鶏だそうで、「比内地鶏」「さつま地鶏」「名古屋コーチン」が日本三大地鶏。
出汁だってことですが、肉も旨いっすよ。出汁が効いているからってことなのかもですけどね。
「味付けは秋田のしょっつる」
ほほう、しょっつるですか、そですか。
なるほど、秋田オールスターズなんですねえ。旨いですねえ。
「だまこは、もちろん、あきたこまち。旨いだろ」
はい、旨いです。ハフハフ食べて額から汗が。。。
農林水産省のページでも「第6回 ヤヱおばあちゃんと廣子さんの「だまこ鍋」【秋田県南秋田郡】」として紹介されていますけれど、炊き上げたあきたこまちをはんごろしにして、くるくるって丸めたら、さっと塩水にくぐらせると、煮崩れしないんだそうです。
だまこ汁、ボリュームです。
「あのさ、評判イイんだけどさ、商売としちゃあ、あんまし良くないんだよ」
なんのこっちゃねん?
「だまこ汁食べちゃうとさあ、後は何にも食べてくんないんだよね、みんな」
そりゃそでしょねえ。これで充分満足ですもんねえ。
でもまあ、寒い時期は、このだまこ汁目当てに、みんなリピートして店にくるでしょう。
「いや、セリがさ、三関のセリ。あんまり入って来ないんだよねえ」
むううん。「その辺のセリ」ではやりたくないっていう、こだわりの大将なのでした。
秋田の寒風に吹かれてから食べると、なお一層旨いんでそうで。
ま、機会があればですね、寒風に吹かれに行ってみるのも一興だとは思いますけどね、だまこ汁もあれば、きりたんぽ鍋もありますからねえ。
それと、やっぱり、確かめに行ってみる必要があるでしょ。
♪秋田の女ごは 何してキレだと きくだけヤボだんす
♪小野小町の生まれ在所を おめはん知らねのげ
♪キタカサッサー コイサッサー コイナッ!