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【花の名前】その1 花に名前を付けたのって誰なんでしょう なんでその名前にしたんでしょう

< おしべとめしべでタネを作るために花を咲かせます ってだけでは花の存在理由 納得出来ません >

花との関係っていうのを考えてみますと、蝶や蜂は花の奥にある蜜っていう実利をとっていますけど、人間は観賞するだけっていう不思議な付き合い方ですよね。

 

ま、蜜を舐めれいる人もいるかもですけどねえ。


「バラは好き? 漢字で書ける? バラっていう字はね……」


そういう口説きかたがあるんだそうですけど、「薔薇」なんて、何か魂胆がないと覚えようとする漢字じゃないように思います。


作家の「伊集院静(1950~2023)」が、この手法で女優さんを連続ゲットしていたとかいないとか。


バラねえ。っぽい花もいくつかありますよね。後から人工造成された花も。

 

 

 


イタリアの作家で記号学者でもある「ウンベルト・エーコ(1932~2016)」が1980年に発表した「薔薇の名前」っていう小説。


世界的なベストセラーになりましたので読んでいるかたも少なくないと思います。


1986年には映画にもなりましたし、イタリアでは2019年にテレビドラマにもなっているそうです。

 

薔薇の名前」は、14世紀、北イタリアの修道院を舞台にした、ミステリ要素の強い魅力的な小説でしたが、背景に中世スコラ哲学の「普遍論争」が敷かれていることも有名ですね。


教皇庁フランシスコ会との間で繰り広げられた「普遍論争」っていうのは、普遍っていうものは実体として存在しているものなのか、それともその人間の思考の中にだけ存在するものなのか、っていうなかなかに面倒くさい哲学論争で、ハッキリとした結論みたいなものは21世紀になっても出ていないらしいです。


そもそものタイトルも、日本語ではアッサリと「薔薇の名前」っていうふうに訳されていますが、原題的にいえば「その薔薇のその名前」っていうふうになるんだそうですね。


論争の面倒くささを表現し得ている感じがしますですねえ。でもこれじゃあね、人気は出なかったかもしれません。


ウンベルト・エーコっていう作家さんは記号論の提唱者としても知られているセンセですからね、記号って、名前ってなんだべか!? 普遍なの? っていうような含みを持たせているタイトルなんでしょうね。


記号っていう意味からすればタイトルにする花の名前が薔薇である必然性は薄いのかもしれません。


漢字の「薔薇」は中国語表記からそのまま来ているみたいなんですが、発音は「ジャンジュエイ」
中国語の発音って難しいですからピンインを見ただけじゃ精確な発音は分かりませんけどね。


今の中国語、簡体表記だと「玫瑰(メイグイ?)」になるみたいです。なんだかぜんぜんちゃうやんけ! になってますよ。


すっきり画数は少なくなってます。ま、「薔薇」っていう漢字がそもそも画数多過ぎだっていうことではあるんでしょうけれどね。


なんでしょ、バラの花びらが複雑にごちゃごちゃしているんで、こんなに画数の多い漢字を宛てたんでしょうか。


薔薇っていう漢字を実際に書いてみると、なんだかとっても不思議な感覚になってきます。


なんでこんな漢字を考え出せたんだろう。日本語のバラっていう音の響きはどこから来たんでしょ。


「ジャンジュエイ」でも「メイグイ」でもないですし「ローズ」とも全然違います。


花に限ったことじゃないんですけど、改めて考えてみますと名前って不思議です。
「その薔薇のその名前」です。


花を咲かせる植物は地球上に20万種ぐらいあるそうですから、花の名前も20万種あるっていうことになるんだと思いますけど、別名とかあったりしますからね、花の名前の数って2倍、3倍ぐらいあるのかもです。


昔からあるから何の疑問も持たずに受け止めている花の名前ですけど、特に、なんでこういう名前にしたんでしょうね、っていうことを考えちゃう花、いくつかあります。

 

 

 


「反魂草(はんごんそう)」


魂を呼び戻すっていう名前ですもんね。そう呼ばれるようになったのにはどんな理由があるんでしょう。
夏のお盆のころに黄色い花を咲かせるキク科の多年草


花の咲く時期が時期ですから、仏花としてお盆に供えられている花なんだそうですね。
先祖の魂を招くってことで、反魂?


その昔、この葉を煎じて重病の人に飲ませて回復させる効果があったっていう説があって、それで反魂?
魂が反って来た。


風に揺れる葉っぱの様子が、まるで人を招いているように見えることから、死者を呼び戻しているように見えるっていう説もあって、それで反魂?


でも人を招くように揺れるっていうことからすると、死者の国からこの世の人を呼んでいる、っていう解釈も成り立ちそうですよね。
こわあ~。


でも、あれですよ、お盆の時期に花屋さんで「反魂草」っていう名前を見たり聞いたりした記憶って、ぜ~んぜんありません。


みなさん、普通に「反魂草」って言ってます?  お供えしてます? 別名ルドベキア
知らんですう。


いったい誰が、いつ付けた名前なんでしょう。
その答えを得ることは、ないものねだり、ってもんでしょかねえ。

 

 

 


虞美人草(ぐびじんそう)」


「ひなげし」っていう花の名前は聞いたことがあります。ありますけど、実は、どういう花なのかは知りません。


「ポピー」っていう花の名前も聞いたことがあります。これまたどういう花なのか知らないですねえ。


♪車にポピー
っていうのが昔ありましたけど、香りが強い花なんでしょうかね。


今回調べてみて初めて知ったんですが、ひなげしとポピーって同じ花なんですね。


ま、亜種とかの違いで名前が違っているようなのもあるんでしょうけれど、ひなげしとポピーは同じ花。そんでもって虞美人草っていうのも同じ花。


コクリコっていう名前でも知られている。


んえ~!? なんでそんなにたくさん別名を持っているんでしょう。


日本で虞美人草っていえば、「夏目漱石(1867~1916)」が1907年にプロの作家として書いた第1作目の小説「虞美人草」が知られていますよね。


ずいぶん前に読みましたけれど、なかなかにこんがらがった男女の心情が書かれていたですよね。けっこう感動作だった記憶です。


主人公の女性は甲野藤尾っていう名前なんですけど、クレオパトラに例えられているような描写があります。


小説では中国の史実に触れていなかったと思うんですけど、タイトルに虞美人を持って来ているのは、宿命的な自死に至る女性っていう共通点を強調したかったんでしょうかね。
甲野藤尾とクレオパトラと虞美人と。


虞美人草の花の名前の由来になったのは、古代中国「司馬遷(紀元前145~紀元前87)」の著わした「史記」の中の「項羽本紀」ですね。


紀元前221年に始皇帝が初めて中国を統一した「秦」が紀元前206年に滅亡して、中国は再び乱世の様相を呈します。


紀元前202年に漢の劉邦が再統一するんですけど、司馬遷によれば、秦を滅ぼした中心勢力で、乱世の中で最有力だったのは「西楚の覇王」を名乗った項羽だったそうです。


項羽と劉邦っていうのも、さまざま、物語りが遺されていますよね。


盗賊の首領のような劉邦に対して、集団戦に優れた力を発揮したっていう項羽は、中国で覇王といえば項羽っていうほどに豪傑だったんだそうです。


その項羽が自分の強さに自信を持ち過ぎたのか、乱世の終盤、項羽の西楚と劉邦の漢との一騎打ちになってきて、項羽が優勢に戦いを進めている中で、西楚内部のもめ事を収めるために項羽劉邦と一旦、和議を結びます。


和議が成って国内に戻りかけた項羽の軍に、和議を破棄した劉邦軍が襲い掛かります。


戦争っていうのは古代からそういうもんなんですね。


劉邦に味方する知恵者もあらわれて、西楚の軍を取り囲んだ漢の軍に項羽の国の歌を歌わせます。


取り囲まれている項羽は、敵陣の中に捕虜となってしまった西楚の兵が多いことを知って、思いがけず不利になってしまった戦いの状況を嘆きます。

「四面楚歌」っていうのがこれですね。


最早これまでか、と空腹と疲労を感じた項羽のそばには、虞姫(ぐき)っていう女性と、騅(すい)っていう愛馬が片時も離れることなく付き従っていたそうです。


虞姫っていう人が虞美人なんですけど、夫人じゃなくって愛人ってされていますね。


「美人あり、名は虞」って紹介さてています。


美人っていうのは西楚の国の側室の位階名称じゃないかっていう説もあるみたいですけど、別嬪さん、っていう理解でイイんじゃないでしょうかね。美人ね。


愁風五丈原諸葛亮公明もそうですけど、中国の歴史書にも日本でいう判官贔屓みたいな心情がベースにあるような気もします。


逃れようもない状況を悟った項羽は、その嘆きを詩に託すんですね。


力は山を抜き 気は世を蓋う


時利あらずして 騅逝かず


騅の逝かざる 如何すべき


虞や虞や 若を如何せん


山を引き抜くようなチカラがあったし、世界を覆うような気力もあった。


だが今、私に時は味方せず、愛馬の騅も疲れ果てて動こうとしない。


騅が前に進まなければ、どうすることも出来はしない。


虞や虞や、そなたをどうしてあげることも出来なくなってしまった。


虞美人はこう返します。

 

 

漢兵 已に地を略し


四方は楚の歌聲


大王の意気はつき


賤妾 いずくんぞ生をやすんぜん


どうやら漢の兵士たちは西楚の地を攻略してしまったようですね。


周り四方から楚の歌が聞こえて来るではありませんか。


こうして大王が諦めきっておられるというのに。


私ごときがどうしてのうのうと生きておられましょうか。


項羽本紀」の中では虞美人の最後までは触れられていないようですが、京劇なんかでは、詩を返した直後に項羽の刀を抜くと、真っ赤な血をほとばしらせて自ら命を絶ったってされているのが虞美人です。


覇王項羽、30歳。虞美人、29歳。


夏になると虞美人の墓には、真っ赤な鮮血を思わせるひなげしの花が咲き誇って、人々はその赤い花を「虞美人草」って呼ぶようになった。
っていうのが虞美人草の謂れ。

 

 

 


ヨーロッパでは小麦畑に生える雑草として「コーンポピー」って呼ばれているそうで、虞美人草は案外、生命力が強いみたいです。


フランスでの呼ばれ方は「コクリコ」


与謝野晶子(1878~1942)」がフランス旅行をした際に、小麦畑に咲き乱れている虞美人草を目にして歌を詠んでいます。


ああ皐月
フランスの野は
火の色す
君もコクリコ
我もコクリコ


やは肌のあつき血汐にふれも見で、の人ですからね。やっぱり血を見ていたんでしょうか。


今では虞美人草って、あんまり言わないかもですね。
ポピーか、ひなげし。でしょかねえ。


虞美人草。。。花の名前ってねえ。。。

 

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