< 摂田屋サフランコーラ サフランとコーラはそのままだけど 摂田屋って屋号じゃない件 >
世の中に知らないことなんて、それこそ山のようにあるんですが「サフラン酒」って聞いたことなかったです。
知ってました? 「サフラン酒」
サフランっていう名前は聞いたことあります。花? っていうか植物? ですよね。って程度ですけれどね。
あんまり身近な感じはしないです。
で、今回、ちと調べてみましたら、サフランって紀元前からずっと調味料、香料、染料、医薬として使われ続けてきた植物なんですね。
医薬としては鎮静、鎮痛、通経作用があるものとして、日本でも認められているみたいです。
民間療法としての血の道の薬。
調味料というのか香料というのか、カレーのスパイスにもありますもんね。知らないだけで、案外身近なものなのかもしれません。
「サフラン」っていう名前に久しぶりに気付いたのは「摂田屋サフランコーラ」という広告を見たからなんですが、はあっ? って感じでした。初見ではね。
まず「摂田屋(せったや)」です。これまで聞いたことないです。でもまあ、そういうメーカーさんはたくさんありますし、新しいメーカーが昭和レトロを狙ったネーミングにするっていうこともありますからね。
ま、新しいメーカーなのかな、という程度の理解をしました。
で、「サフランコーラ」
なんやねん、また違うコーラが出たの?! って感じでした。
コロナになってからなんですが、1,000円スコッチを探して、酒屋さんをいろいろ廻って歩くようになりました。安売り店っていうんでしょうか、一般人でも入れる卸問屋さんみたいな店舗。
缶コーヒーのショート缶が30円で売っていたりする、ああいう売り場ですね。
目的は1,000円スコッチですので、該当する売り場はすごく限られていて、店舗ごとにスコッチの銘柄はバラバラではあっても、1店舗ではせいぜい5、6種類ぐらいしか置いていませんからね、あっという間に用は足りてしまいます。
で、スコッチのボトルを1本持って、店内をうろうろ。
飲料だけじゃなくって、見た事の無い物がいろいろたくさんあります。ま、買うことは無いんですが、一通り見て廻ります。
なんだこれ? の連続です。
すぐに気付くのはコーヒー飲料の種類の多さです。缶とペットボトルと、実にたくさんの種類が置いてあります。
コーヒーと缶コーヒーって、別の種類の飲料だと昔から思っているんですが、ペットボトルのコーヒーが出てきてから、そんなに甘くない系が主流になった感じで、コーヒー、缶コーヒー、ペットボトルコーヒーって、3種類って感じで捉えています。
缶コーヒーにもブラックはありますが、ブラック以外はたいていは甘~いです。ラベル、缶のデザインが違うだけのパッケージ商売かって思うぐらい、あんなに甘いんじゃ、みんな一緒です。
甘いといえば、代表はコーラ、ですよねえ。「砂糖水屋」なんて揶揄する声もありました。
で、このコーラがまた、へええ、こんなのあるんだって思うような物に、結構な頻度で出会いますよ。
500mlのペットボトルなんて、箱買い、1人で2、3箱買っていく人も珍しくないのは驚きます。
日本人もアメリカ人に負けずにコーラ好き!
でまた、コーラの種類っていうのが、たくさんあるんですよ。
ま、どこの店舗でも見かけるのは「コカ・コーラ」「ペプシ・コーラ」の2種類ですね。
「ペプシ・コーラ」ってサントリーの名前がくっ付いていますね。いつからなんでしょか。へええ、と思いつつ眺めて見るわけですが、甘い飲料にはノータッチなので、こういうのを発見すると、軽くカルチャーショックだったりします。
前からサントリーなんでしたっけ?
で、その「ペプシ・コーラ」の隣りには「ホワイト・コーラ」
ほほう、まだあるんですねえ。で、脇を見ると、「コカ・コーラ クリア」
ゼロカロリーっていうのがウリみたいなんですが、これってあれですか? 透明だからカロリー、無いです、っていうあれですか? コーラってカロリー高そうですけれどねえ。
ま、コーラの2大メーカーはどこの店舗にもいろいろ置いてありますです。
他のメーカはというと、「キリン メッツ ブラック」ん~。これ、コーラですよね。
サンガリアもありましたね。「ロサンゼルスコーラ」
なぜにロサンゼルス? でもまあ、さすがサンガリア、ではあります。
で、コーラファンなら常識なのかもしれませんが、シロートからしてみますと、「???」っていうコーラにもけっこうお目にかかります。
「伊良コーラ」「神戸居留地コーラ」「バリューラインコーラ」「狭山茶コーラ」
ホント、いろいろあるんですね、コーラって。
コーラファンの評価ってどうなんでしょう。こういうマイナーなコーラ。
で、今回の「摂田屋サフランコーラ」です。これは実物を見たわけでは無くって、広告だけです。
コーラについて、上述したような事情がありましたので、冒頭の疑問は、軽いレベルのものでした。
新しいメーカーの新しいコーラ、なんですねえ、っていう程度の理解。サフランですかあっていう感想。
ところがですね、「摂田屋」っていうのはメーカー名とか屋号の種類じゃなくって、なんと町の名前なのでした。
「【「町」の読み方】あなたが住むのはチョウですか? それともマチですか?」の続きで東京都23区の町の読み方をチマチマと調べていた最中でしたので、ほほうっ! と一気に興味をそそられた次第であります。
かなりユニークな町名ですよね。「屋」ですよ。
摂田屋は1丁目から5丁目まであります。その他に摂田屋町というのがあります。読みは「せったやまち」
旧三国街道に面したこの町は、街道を往来する人たちのための休憩所があった場所で「接待屋」がその語源だということになっているんだそうです。
でも、字面が接待と全然関係ないです。語源説、怪しいです。
かつてあった休憩所の代表的な店の名前が摂田屋だったんでしょうか。むむ~ん。その辺は不明みたいです。
室町時代から栄えた町だったそうで、江戸時代は天領だったらしいです。摂田屋エリアね。
しょう油蔵、みそ蔵、酒蔵もいくつかあって、その中の「新潟銘醸」「機那サフラン酒製造本舗」がサフラン酒を造っている。
そのサフラン酒を利用したコーラが「摂田屋サフランコーラ」ってことなんですが、コーラの方はアルコール分を飛ばしてあるそうです。コーラですもんね。
ま、個人的にはコーラよりは、アルコール分を飛ばす前の「サフラン酒」の方に興味があります。
サフラン酒ってなんなん?
ハチミツ、サフラン、桂皮、甘草、などの薬草、生薬をブレンドした「健康酒」
1884年、明治17年。江戸時代、文久3年生まれの吉澤仁太郎という人が開発したのが「サフラン酒」
あの「薬用養命酒」が江戸初期の開発だそうですから、後発ではあります。
ただ、この吉澤仁太郎という人。かなりの暴発的とさえいえるようなパフォーマーでもあったそうで、「サフラン酒」はあっという間に大ヒットして、大金持ちになったんだそうです。
そのパフォーマンス。
出来たばかりの「サフラン酒」を持って、町へ出かけて行く吉澤仁太郎さん。
薬屋を見つけると、サンプルとして「サフラン酒」を置いてもらう。
ま、サンプルとしてっていうところが、なんともパフォーマンスの「仕掛け」なんですね。
薬屋さんの方としては、ちょっと場所を取るぐらいの面倒ですから、まず、断りませんでしょうね。
サフラン酒ねエ、はあ、そこ置いてといて、ぐらいな引き受け方でしょうか。
で、仕掛けを終えた吉澤仁太郎さん、近くの宿へ泊ります。
宿へ入るが早いか、
「アタタタッ! こりゃどうしたこった。急に腹が刺されたような痛さだ。痛いイタイ、死にそうだ!」
宿中に響き渡るような大声。宿の中は医者だ坊主だ、上を下への大騒ぎになる。
すると、吉澤仁太郎さん、
「医者も坊主も役にたちゃしない。そこの薬屋にサフラン酒があるはずだから、それを持ってきてくれ。アイタタタッ!」
「サフラン酒だと? なんだそりゃ、聞いたことないぞ」
「お前さんが聞いたことあろうがなかろうが、どうでもいい。早く、サフラン酒だ、死ぬ~ッ!」
で、女中さんが慌てて駆けて行って薬屋さんに掛け合う。
サンプルとして預かっていた薬屋さんも、そりゃもう、ビックリでしょうね。
正体の分からない男が無理矢理置いていったサフラン酒とやらを、宿の女中さんが取りにくる。
「どした?」
「うちのお客さんが死にそうだって」
薬屋さん、サフラン酒を手渡しながら、二度ビックリ、ですよね。
で、女中さんはサフラン酒を持って走って帰って来る。なにせお客さんが死にそうなんですからね。大慌てです。
「おお、これだこれだ。助かった」
くいっとサフラン酒を呑んだ吉澤仁太郎さん。けろりと治ってしまう。
「わっはっは。どうだ。これがオレが作ったサフラン酒。なんにでも効く百薬の長だ」
と言ったかどうかは知りませんが、こんなことをやっていればたちまち評判が評判を呼んで、あっという間に有名人、サフラン酒も、酒どころ新潟の地元でありながら清酒を凌ぐ売れ具合。
とかなんとか、こんなようなパフォーマンスがあったみたいです。
一時期とはいえ、圧倒的に人気のあったサフラン酒が、令和の現在、あんまり知られていないっていうのはなんででしょうかね。
養命酒の独壇場になっていませんか? いや、まあ、それはそれで世の中なんですけれどね。
今回、調べてみた結果としては、サフランっていうのは女性の味方、なんでしょうね。オヤヂはお呼びじゃないのかもです。
「サフラン酒」「摂田屋サフランコーラ」
新潟って、バイタリティ、ありますよねえ。
近くのスーパーとか、ドラッグストアにも並ぶようになりますかねえ。期待しますです。