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【電気ブラン】さっさと酔っぱらうためのシビレぐすり じゃないんです

< 酒の呑み方なんて それこそ個人の勝手 とは言うものの >

1976年のアメリカ映画「がんばれ!ベアーズ」って観たことあります?
原題は「The Bad News Bears」


ベアーズ最悪の日、みたいな感じのタイトルなんですが、そこをがんばれ! って邦訳した人、エライ!
なかなかね、ぐっとくる映画です。


「ベアーズ」っていう弱小少年野球チームの新監督に、元マイナーリーグの選手で、今はプール掃除人のバター・メイカーが就任するところから始まります。


バター・メイカー。アメリカにホントにある名前なんでしょか。
このバターメイカー。メジャーリーグには上がれなかったし、自分なんて、って思っているタイプのダメダメちゃんって役どころ。
ウォルター・マッソーが演じています。


半分アル中なんですよね。
さっさと酔っぱらうために酒を呑んでいます。
少年野球チームの監督っていう役割にも、たいして興味を示していないんですね、最初は。


出だしのシーンが忘れられません。
バドワイザーの缶を手に、公園のベンチに座ります。この時から既に酔っぱらっているような素振り。


と、バドワイザーの缶を思い切り振ります。
つまらなさそうな顔をしたまま、缶ビールをシャカシャカ振るんです。


で、プシッと開けると、当然のことながら、あわわ~ってなりますよね。ドバドバとバドワイザーの中身がこぼれ出ます。
濡れた手を服にこすりつけて拭きます。


今度はポケットからウイスキーの小瓶をつかみ出して、トクトクと缶の中へ注ぎ足します。


で、呑む。


「ダイナマイトって言うんだ。ビールの勢いでウイスキーを呑むのさ。これが酔っぱらうのに一番早いからな」
みたいなことを言うわけです。


つまり、酒を楽しんで呑むんじゃなくって、酔っぱらうために呑む。

 


酔っぱらってでもいないかぎり、人生に耐えられない元マイナーリーグのプール掃除人。そういうデモンストレーションです。
ま、これは映画ですからね。


缶ビールの中にウイスキーを入れて呑むっていうような呑み方をするにしても、ホントの酒好きなら缶ビールを振って、あわわ~ってこぼして公園の土に呑ませるようなもったいないことはしませんね。
静かにプシッと開けて、ガーッと一口呑んでからウイスキーを注ぎ足せばイイわけですもんね。


映画の演出。ウォルター・マッソーは名優です。あわわ~ってやるの、巧いんです。


このシーンまででは何も始まっていませんので、ネタバレにはなっていませんですよね。
酒呑みの映画じゃなくって、少年野球チームの意地の話です。イイ映画ですよ。
テイタム・オニールが大活躍しています。


キング・オブ・ビールっていうことで名を馳せていたアメリカのバドワイザーでしたけれど、2008年、ベルギーの会社に買収されてしまいましたね。


生産は変らずに続けているみたいなんですが、最近は見かけなくなりました。あの特徴的なデザインの缶。
バドガールなんてのも居たりしましたけどねえ。こちらもさっぱりお目にかかれませんです。


アルコール度5%のバドワイザーを、たぶんおそらく40%のバーボンで割るっていう、なんだかよく分からない本末転倒の、さっさと酔っぱらうためのダイナマイトっていう呑み方を真似してみたこともありますが、ま、別々に呑む方がイイですね。


やってみたのは缶のキリンラガーとサントリーホワイトだったですがね。

 


さっさと酔っぱらってしまおうっていう呑み方、お薦めできませんが、なんかね、そういう酒の呑み方にチャレンジしてみたい日々も、あるっちゃアルですよね。


アル中ってレベルではないけれども、ハッキリとした酒呑み。
物理的に呑む酒がその場に無いとなると、メチル、化学アルコールまで呑んじゃう。


それで失明しちゃったり、命を落としたなんてことも実際にあったらしいですからね。戦後の日本ですね。


そんな怪しげなヤツなんでしょ、って誤解されてる代表みたいな酒が「電気ブラン」でしょうかね。


電気で痺れる、っていうイメージを持っちゃうのは分かる気もしますけれど、戦後のどさくさに登場してきたようなパチモンじゃないんです。


電気ブラン1893年明治26年頃に、神谷傳兵衛が浅草で売り出した「ブランデー・カクテル」


商品改良はどんどん進められていますが、当初はブランデー自体がクスリ扱いだったそうですから、漢方薬なんかもブレンドされていた健康カクテルだったみたいです。カクテル。
でもアルコール度数は45度。


明治です、文明開化です。ブランデーとは何者じゃ! っていう時代です。
一気に西洋文化が入って来て、みんながザンギリ頭になった日本全体大変遷の時。


「ハイカラ」っていうのがいわば流行の最先端。洋服の襟のカラーの高いのが流行ったらしくって、ハイカラ―を取り入れた人をハイカラさんって言ったのが始まりなんでそうですが、その頃、電気も入って来ましたね。


たぶんおそらく、電気ブランの電気っていうのは、ハイカラと同じ意味なんだと思いますよ。


たしかに、明治の日本人にとってアルコール度数45度っていう酒は、電気のように痺れるものだっていう表現をしたくなるシロモノだったって可能性もありますけれどね。
日本酒に比べてかなり高い度数です。


初めの頃、神谷傳兵衛さんは浅草で電気ブランを一杯売りしていたらしいです。これが大評判。

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これを東京のさる店で呑んで、衝撃を受けたっていうのが丁稚時代の鳥井信治郎


後のサントリー創業者、鳥井信治郎がまだ洋酒作りを始めていない頃の話ですね。明治です。


神谷傳兵衛が1856年、安政3年から1922年、大正11年の人で、鳥井信治郎が1879年、明治12年から1962年、昭和37年の人ですから、西洋に触れていなかった江戸時代が終わってすぐに取り組んでいたわけですね。


神谷傳兵衛は電気ブラン発売の前、1881年明治14年に「蜂印香竄葡萄酒(はちじるしこうざんぶどうしゅ)」っていうのを発売していて、「はちじるし」が日本を席巻していたらしいんですね。


神谷傳兵衛から四半世紀遅れて生まれた鳥井信治郎は1907年、明治40年に「赤玉ポートワイン」の発売を大阪で始めます。
日本の洋酒はワインから始まったんですね。


東の神谷、西の鳥井っていう図式が出来上がったのは明治時代ってことなわけです。


神谷傳兵衛は東、東京浅草を拠点にした商売を始めたとはいえ、愛知県、三河の人です。


「蜂印香竄葡萄酒」に続いて電気ブラン1893年明治26年頃に売り出して、1912年、明治45年には、浅草に「神谷バー」を開業します。


そうなんですよ、今でも観光名所として人気の神谷バーは明治時代から続いているんですね。


ワインの方は、今現在「オエノングループ 牛久シャトー」になっています。


電気ブランに遅れること36年にはなりましたが、鳥井信治郎は国産ウイスキーの第1号「サントリーウイスキー白札」を1929年、昭和4年に発売しています。
サントリーホワイトですね。


宣伝、コマーシャルに長けていたのは鳥井信治郎の方だったのかもしれませんが、神谷傳兵衛という人も日本の酒呑みにとっては巨人ですね。発明家です。


「蜂印香竄葡萄酒」「電気ブラン」そして「赤玉ポートワイン」「サントリーウイスキー白札」


両方とも改良に改良を重ねて、今や数多くの種類をそろえて、酒呑みたちを楽しませてくれています。


サントリーが原酒を確保して不足の無い供給を再開してくれるのがいつのことになるのか、見当もつきませんが、世界に伍していくメーカーですからね、これからも期待していきたいところです。

 


電気ブランのチェイサーにはビールが合いますよっていう、なんといいますか、流行りのような呑み方もあるようですが、電気ブランって元々がカクテルですからね、そういう呑み方もオッケーなのかもしれません。
バドワイザー・ダイナマイト、ってのと変わりませんね。


チェイサーにアルコールっていうのも面白いとは思いますけれど、それって、単にチャンポンって呑み方なだけですよ。


これが粋なんだよ、旨いんだよっていうのは、言ってしまえばオコチャマです。
別々にちゃんと味わって呑むのがイイですよ。


神谷バーは手っ取り早く酔っぱらうための店じゃないですしね。


チェイサーっていうのは、水を身体に取り入れるっていうのもありますけど、口の中をニュートラルにして、いつでもウイスキーの味を、電気ブランの味をクリアに感じるために飲むんであります。


ストレートか、せいぜいロックでやる時ですね。


神谷バーからちょっと離れた「ホッピー通り」
コロナ禍でも元気にやってますかねえ。浅草もしばらく行ってないですねえ。

 

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