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【試食販売復活】2023年 試食のニュースタイル 対 試食販売おばちゃんの神業

< 3年ぐらいのコロナ禍なんかじゃ失われるはずもない うまいもんへの欲求 >

2023年の夏。試食販売が復活し始めているそうです。
イイことでしょねえ。


気がついてみますと、このところずっと見かけなかった気がしますよね、試食販売って。


昭和の時代には、4つのデパ地下を回って1食分を試食で済ませた、なんてことを居酒屋さんで自慢タラタラ、勢い込んで話しているアンポンタンもいましたけどね。


その頃のデパ地下には、1つのデパートにも1カ所じゃなくって、3カ所とか4カ所ぐらい試食販売をやっているコーナーがあったんですよね。
大きなデパートの食品売り場だけじゃなくって、普通のスーパーなんでも2カ所ぐらいで「お味見、いかがですかあ」なんてね、やっていたもんでした。


そういう時代のデパートを4つも回れば、試食販売を20ぐらい周れることもあったでしょうからね、厚顔無恥さえ決め込めば、1食分を試食で賄うってことは充分可能だったと思いますです。


でも、売り上げにつながらなかったものかどうか、だんだんに減って来ていたのかもしれないですね。コロナ前で既に。

 

 

 


今回、コロナ感染が5類に移行したっていうこともあって、試食販売を再開するっていう動きが報じられています。


ただね、報じられている試食販売のスタイルは、以前とは様変わりしているみたいなんですよね。


「試食専門店 試食屋」なんていうのが報じられていますよ。

 

食品売り場の一角で「お味見いかがですかあ」っていうスタイルとは全く違っていそうです。


無料で食べ放題、って言ってますですよ。
これまでの試食販売っていう概念とはまるで違います。試食の専門店、なんですもんね。


これまでの試食販売と大きく違うところは、その場で商品購買を図るっていうスタイルじゃなくって、マーケティングデータを収集するっていうところに主眼があるような感じです。


試食っていうのは、無料で食べさせてくれるボランティアじゃなくって、商売ですからね。
無料で食べ放題、っていうのにはちゃんとわけがあるってことですね。当たり前ですけどね。


「試食専門店 試食屋」では、店舗に用意してあるいろんな食品の「試食カード」っていうのを取っていくんだそうです。


で、試食したい食品の「試食カード」を集め終わったら、それをスタッフさんに渡す。
そうすると、その分の試食品をトレーに乗せて渡してくれる。


ってことで、爪楊枝で刺してその場で食べるっていうんじゃなくって、テーブルでじっくり食べられる。


ここでは「じっくり味わって食べる」っていうのが重要になりそうです。
何故かって言いますとね、食べた試食品についてのアンケートに答えなきゃいけないからあ~。


そりゃそうでしょねえ。
そういうシステムだそうです。


利用者がね、この前、試食して旨かったから、ってことで1つの食品の「試食カード」を10枚取ってスタッフさんに手渡したら、「あのねえ」って反応されるかもですけど、無料の飲食店としての利用をする人なんて、まあ、いないでしょうけどねえ。


もちろん、「試食専門店 試食屋」の店舗に行って、初めて食品の顔ぶれを知るっていう利用の仕方もあるでしょうけれど、スマートなのは、事前にネットで用意されている食品の顔ぶれを知っておくっていうような利用の仕方になるんじゃないでしょうか。


昭和時代との大きな違いとして、利用者側のネット環境があるでしょうね。
インターネット前と後では、世の中、全く変わってますからね。


それと、食品を試食品として提供する側が、大手メーカーばかりじゃなくって、地方の中小メーカー、あるいは生産者個人であるとか、都市生活者をターゲットにした需要拡大を狙った販売方法も、ネット利用で充分可能になっているわけですからね。
情報格差なんて、ないんですもんね。


試食してもらう対象は、普通に食材っていうこともあるでしょうけれど、加工品だとかであれば、味付けの好みであるとか、これまで大きなメーカーでしかできなかった、ターゲット地域の好みの特徴なんかも、試食のアンケート結果として個人でも得られるでしょうからね。


情報を得られるっていうことは、スーパーの食品売り場の横の方で、「お味見いかがですかあ」ってやっていた頃と全く違っているんですね。

 

 

 


「試食カード・アンケート方式」とでもいうような、令和の試食販売は、食品の流通自体に変化を起こして、作る側にも食べる側にも、利益をもたらそうとするチャレンジなのかもしれません。
「試食専門店 試食屋」以外にもいくつか出てきているみたいですしね。


でもねえ、個人的には、試食品販売の昭和スタイルもねえ、復活して欲しいなあと思うでありますよ。


いろんな試食販売の人、いたですよ。


カセットコンロにフライパンを乗せてね、その場で調理して「お味見、いかがですかあ」ってやるのは、だいたい共通しているんですけど、なんていうんですかね、その人によって、周りとの空気感のコントロールが出来る人と出来ない人がいるんですよね。


ま、どんなジャンルでも、うまい人と、そうじゃない人っているんですけどねえ。


個人によってしゃべり方とかが違うわけですけれど、そのスーパーに買い物に来ている人たちの空気感、つまり、その土地のリズムみたいなものをつかむのが巧い人がいるんですよねえ。


試食販売をしている人には、おばちゃん、おねえさん、おっさん、がいますよね。
なんたって、おばちゃんが最強だったと思います。


メーカーのエプロンを着けて、栄養満点の笑顔満開。
食べものの宣伝をする人って、痩せているより、ふっくらしている方がイイですよねえ。
勧めている食べものが、旨いっていう感じにリアリティが出ます。

 

 

 

スーパーの店員さんたちとも、あっというまに仲良くなる術を心得ている、そんな感じの試食販売職人。
昭和の時代にですけどね、いらっしゃいましたよ。


啖呵売の香具師みたいな感じで、テンポよく試食品を作って客を捌いていたおばちゃん。


なにしろね、声が大きくって響くんです。


カセットコンロをカチッ、カチッ、ってやって、火が点かない。


「あららら、最近のガスボンベは根性がないよ。さっきまで1000人分しかお客さんに提供してないっていうのに、もうガス欠。用意してきた30本のボンベがもうカラになっちゃった、早すぎない、ね?」


って、目の前を通るお客さんに問いかけちゃったりするんですね。


そうしますとね、スーパーのオバチャンが掛け合いみたいに出てきて、


「今、2階から6本入りのパック持って来るから、ちょっと待ってて。その間に1万人分ぐらい厚切りハム用意しといて」


「弱っちゃったね、あと8000人分しかないよ」


「なに言ってんのよ。あんたの後ろにハムは売るほど用意してあんだから、じゃんじゃんやってちょうだい」


スーパーのオバチャンが走っていくと、


「そりゃあ、ここはスーパーなんだから、ハムは売るほどあるに決まってるわよね。それを宣伝しに来てるんだよ、あたしゃね。見りゃ分かるよね」


って、また、目の前のお客さんに問いかけ。


とにかく、ずっと大きな声で、なにかしらしゃべっているんですよね。


ジャージャーってフライパンで炒めている音も、気のせいか大きく感じちゃう、そういう職人ワザ。
目の前の奥さんのカゴに卵のパックを見つけると、


「奥さん、旦那の朝ごはん、ハムエッグとか作る? あの薄っぺらいハムもイイけどね、この厚切りね、これがね、ちゃっちゃと手早く焼けて、食べやすくって、旦那の背中も朝からシャキッとするのよ。夜だって効き目あんのよ、ホント、あっはっはっは」


まあね、こういうおばちゃんが苦手な人は苦手でしょうけど、存在自体が面白い、ホント香具師みたいな試食品販売人っていたんですよね。


「はい、焼きあがりましたよ。今が食べどき、旨いとき、はい1つどうですか。おいしいんだから」


「荷物いっぱいで両手ふさがってるからイイわよ、遠慮しとくわ」


「なにをおっしゃるうさぎさん、そんならあたしが食べさせてあげましょう。はい、あ~ん」


ここまでやられると、ふさがっているはずの手が伸びてきて、爪楊枝ごと受け取りますね。


「うん、たしかにね、おいしいけど、ちょっと高いわね」


「高い! ん~、困ったわねえ。店員さ~ん、この客さんに、ハム、ちょっとまけてあげてちょうだ~い」


担当の店員さんが駆けつけてきますよ。店長さんでしょうかね。


「お客様、まいどありがとうございます。こちらの商品、きょうは特別値引きでご用意させていただいておりまして、はい」


遠巻きに見ていると、楽しかったんですよお。

 

 

 


「試食カード・アンケート方式」もイイですけど、香具師みたいなワザを持った、試食販売のおばちゃん、プロの復活っていうのも、併せて望みたいところですねえ。


バラエティ番組とかじゃなくってね、日常の笑いを、市井から取り戻していけるような、ね。


暮らしの中の余裕っていうのを、自然に取り戻していきたいものです。