<ああ、カリが鳴いて 南の空へ 飛んで行かあ っていう国定忠治との関係 は無いです>
大勢で囲んでワイワイやるのが楽しい「鍋」ですが、今は、思うようにできませんね。
外食産業では「独り鍋」というメニューを、インフラから作り直してなんとか集客しようと頑張っているとのことです。
鍋はいろんな種類がありますが、今回は【おでんの歴史】に続いて、もう一度「おでん」について探ってみようと思います。
特に今回こだわってみたのは「がんもどき」なんですが、みなさんは何が好きですか? おでん種。
2021年4月28日付の「みんなのランキング おでんの具ランキング」というデータがあります。
「具」っていっているところが気になります。おでんはタネでしょ、おでん種!
ま、どっちでもイっか。
ランキングを見ていきます。
1位:ダイコン
やっぱりね、大根です。不動のトップって感じですね。でも最近のダイコンは小さくなった感じ。
2位:たまご
おでんに限らず、たまごって種類無いですよね。ニワトリっていろんな種類居るのに、たまごにそういうブランド持って来ないのはなんででしょ? 烏骨鶏のたまごとか、名古屋コーチンのたまごはあるか。。。
3位:もち巾着
もち以外の巾着も旨いですけれどね。焼いた納豆巾着を鍋に突っ込むのも旨いです。家おでんですね。
ま、ここまでは、例年のランキングで変わらない顔ぶれ。
4位:牛すじ
ん~。これ、本場は関西で、最近は関東でもありますけれど、どこにでもあるってもんじゃないですね。
5位:コンニャク
6位:シラタキ(糸コンニャク)
ほほう。コンニャクとシラタキが連続順位ですね。これはどうなんでしょ。コンニャク派とシラタキ派に分かれていて、相容れない好みなのか、それとも、形が違うだけとして、両方ともオッケーということなのか。コンニャクにも白と黒がありますし、家おでんのときは玉コンニャクも旨いですね。
7位:ハンペン
これも人気ですよね。高級なハンペンじゃない方が旨いかもです。すんごくふくらんじゃうヤツとか。ハフハフ旨いです。
8位:チクワ
おろっ? チクワブじゃなくって、チクワがベストテンランクインですね。ホントかなこれ? ホントにチクワ? チクワブじゃなくって?
9位:がんもどき(がんも)
ん~。個人的にはもうちょっと上位でイイんじゃないかって気もするんですがね。おでん屋さんによって味が違う種としてはナンバーワンじゃないでしょうか。
10位:厚揚げ
これは意外なランキングでした。厚揚げ、好きですけれど、トップテン入りする?
ま、ベストテンまでの順位はこんな感じでした。
個人的には、ダイコン、がんも、ウィンナー巻きって順位ですかねえ。
ところで、例えばコンビニで、あるいはおでん屋さんで注文するとき、「がんもどき」ってフルネームで言いますか?
もちろん、がんもどきっていうのが正式名称だってことは、みんな知ってますよね。
でも、普段、呼ぶときには「がんも」って言っているような気がします。
コンニャクをコン、とか、ハンペンをペンとかは言いませんが、がんもどきは「がんも」
名前を縮めて呼ぶおでん種って「がんも」だけじゃないでしょうかね。
ところで、「空を飛べども鳥でなく、人語を解せど人でなく、しかしてその実体は?」
っていうの覚えてます?
30代以下の人は知る由もなし。すびばせんです。
1980年代のマンガ「Gu-Guガンモ」です。アニメも放送されました。
主人公の名前が「がんも」なんですが、がんもどきに手足のついたようなんじゃなくって、丸っこいニワトリ、みたいな生きものなのでした。物理学的に言えば、絶対空を飛べような体形じゃありませんでしたね。
卵の段階で拾われてきた家の、長女の名前が「つくね」長男が「半平太」、あだ名が「ハンペン」
でもって、ニワトリもどきなもんだから、もどきつながりで「がんも」ってことなんでした。
ところで「がんもどき」に限らずなんですが、物の名前って不思議です。「がんもどき」ってなんなん?
ってことを調べますと、すぐに出てきましたね。
「がんもどきの名前の由来は、雁(がん)の肉に味を似せて作ったから」
ほほう、単純明快です。雁擬き、で、がんもどき。つまり偽物の、ニセモノの、雁。
でもですね、大きな問題は、がん、雁って食べたことないです。雁の味に似せたってことですが、がんもどきが雁の味なのかどうか、さっぱり見当もつきません。ですよね。
個人的に、そば屋さんで好んで食べるのは「鴨せいろ」
「カシワせいろ」って正直にメニューを出しているところもありますが、昔はともかく、今はホンモノの「鴨」を使っているそば屋さんがほとんどですの、鴨の味は知っていますが、雁の味は知りません。
「がんせいろ」とかって聞いたことないです。
ここで、ふと考えますと、雁、鴨、どう違うんだろう? ってことさえよく分かっていませんでした。
食べものとして、だけじゃなくってですね。
wikiさんによりますと、
「雁(がん、かり、異字:鴈)は、カモ目カモ科ガン亜科の水鳥のうち、カモより大きくハクチョウより小さい一群の総称」
「カモ(鴨、鳧、英: Duck)とは、カモ目カモ科の鳥類のうち、雁(カリ)に比べて体が小さく首があまり長くないものの総称。分類学上のまとまった群ではない」
ふむふむ。雁も鴨も決まった1種類の鳥ではないんですね。
にしても雁と鴨って、どっちもカモ目カモ科。味も大差ないのかも、ですね。どうなんでしょ。
ただですね、「がんも」を食べて鳥肉を感じませんけれどねえ。
そもそも「雁」の味を期待して「がんもどき」を食べていないんじゃないでしょうか。
豆腐、ニンジン、レンコン、ゴボウですよね、がんもどきって。雁? 鳥? って感じです。
ん~。雁は謎です。がんもどきは不思議です。
ちなみに京都辺りではがんもどきを「飛竜頭」と書いて「ひろうす」と言ったりするようですが、その呼び方はポルトガルの「フィリョース」という油で揚げたお菓子からきているらしいです。
ポルトガル由来ということは、京都ばかりじゃなくって長崎辺りでも言うんですかね。そこについての記述は見つかりませんでしたです。
ちと外れますけれど、長崎のおでんって、長崎っぽい特徴があったりするんでしょうかね? なんとなくですが、知らない種がありそうな期待感があります。知らんけど。。。
それはそれとして、日本でいう雁は、ほとんど「マガン」という種類なんだそうです。渡り鳥ですね。
昔はたくさん、日本中に飛んできていたらしいです。国定忠治の芝居のセリフに出てくるときは「ガン」じゃなくって「カリ」ですね。
当たり前に渡って来ていた「雁」ですが、飛来地の沼地が開発によって急激に減ったこと、食用として乱獲されたことで、年々減っていって1971年からは狩猟が禁じられたそうです。
というわけで、今は日本人のクチには入らないってことになっているんですね。合法的にはね。
雁が食べられなくなったから、味を懐かしんで「がんもどき」が作られたのかというと、全然そうじゃんくって、がんもどきはかなり古い時代からの「精進料理」がルーツらしいです。
肉も魚も食べてはいけないという戒律に則って作られる精進料理の、その工夫の1つらしいんですね、がんもどきって。
雁の味に寄せて作ったということになるんですが、やっぱりお坊さんたちも、禁じられているとはいえ、食べたかったってことなんでしょうか。
「もどき料理」っていうカテゴリがあって、
昆布とつくね芋で作る「アワビもどき」
赤コンニャクの「マグロもどき」
豆腐、椎茸、人参などで作る「寿司巻きもどき」
っていうのが紹介されています。
どれも知りませんです。もちろん食べたこともありません。みなさんは知ってます? 「もどき料理」
刺身コンニャクは旨いと思いますが、別に「マグロ」に見立てなくたって、イイんじゃないかと。。。
渡り鳥の雁について、もう一つ興味深い話があります。
長旅、お疲れさんってことでやって来た雁をお風呂に入れてあげる、っていうんじゃなくって、人です。
旅人などに風呂に入るように勧める風習なんだそうです。
風呂をたてることが雁の供養になるという不思議なもの。津軽地方に飛来してくる雁は、旅立つにあたって木片、棒きれをくわえたり、足でつかんだりして運んでくる。長い渡りの途中で疲れたら木片を海に落として、それに乗って休む。
その木片は日本に近くなれば不要になるので海に落としたままにしておくんだけれど、木片は流れに乗ってやがて津軽の海岸に流れ着く。
そうして長い渡りを続けて日本までやってくる雁たちが、春になって帰っていくとき、流れ着いた木片をまた持って帰っていくが、最後の雁が日本を飛び立ったあとに海岸にまだ残っている木片がたくさんある。
それは日本で死んでしまった雁の数だけある木片。
そこで雁の供養のために、その木片を使って風呂をたてて、旅人などに振る舞う、という風習。
津軽の長い冬が終わるという風物詩なんでしょうね。
伝説っていうぐらいですから、実際にあったことなのかどうかは不明だそうですが、渡り鳥の苦労に思いを馳せる津軽人というイメージは、なんとなく否定できない感じもあります。
流木で炊いた風呂。たぶん、外風呂なんでしょうねえ。
「けふからは 日本の雁ぞ 楽に寝よ」
昭和の一時期に激減したという日本へやって来る雁ですが、近年では数を回復しつつあるそうです。
つぎから「がんも」を食べるときは、ちょっとしみじみしちゃって、がぶりといけないかも、です。
んなこと、ナイか。豆腐だもんね。