ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【甲類乙類】いろんな名前っていうか呼ばれ方をしている焼酎の話

< その人が呑んで旨いと思えば その酒がなんと呼ばれていたってイイようなもんなんですけど >

よく行く焼酎バーは、カウンター奥の壁一面が2段の棚になっていて、当然のことながら焼酎のボトルがずらりと並べられています。


下の段には60本ほどの一升瓶。
ショット売り対応の一升瓶で、芋、麦、米、黒糖、泡盛、いろんな種類の本格焼酎です。


芋が圧倒的なんですけど、空になると同じのが補充されることもありますし、違う銘柄に代わることもあります。


客の声を聞いてって、マスターは説明していますけれど、焼酎の仕入れは配達してくれる酒屋さんからのものは少なくって、たいていマスターがあっちの酒屋、こっちのデパートを回って仕入れているみたいなんですよね。


店によって値段に差があるんだそうです。安い店を知っている。
でも教えないよ~。はいはい。


試飲させてくれる店ってうのも何件も知っていて、新しい銘柄を探すときは電車で行ったりしているみたいです。


酒呑みのカガミですね。っていうのはちょっと違うのかもですけど、熱心です。
でも教えないよ~。もう、ええっちゅうに。

 

 

 


で、上の棚にはボトルキープされた四合瓶がならんでいます。


下の段の一升瓶より種類は少ないんですけど、四合瓶もたくさんあるんですね。


で、最近、その四合瓶の傾向が大きく変わって来ていまして、上の段に並んでいる四合瓶の半分以上が、なんと1つの種類の焼酎で占められるようになっているんです。
昔からある銘柄ですけど、なんで急に、こんなに増えたの?


「今はほら、みんないろいろ割って吞むから。安いしね、これはさ、探しに行って仕入れるってヤツじゃないから店としてもラクなんだよね」


ふううん。

酒呑みのみなさんは、もう分かっているだろうと思いますけど、急増している銘柄、そです「金宮」です。
「金宮」の四合瓶がずらり、並んでいます。


って言っちゃうとですね、それ違うよ「金宮」って書いちゃったら間違いだよ。って突っ込まれそうですね。
でも、みんな言ってますよね「金宮」って。


ボトルを見せてもらうと「金宮」とはどこにも書いてなくって、書いてあるのは「キンミヤ焼酎
カタカナです。


「キンミヤ」って発音しているけれども、それはカタカナのキンミヤで漢字の「金宮」じゃない。


なんと正式名称は「亀甲宮(きっこうみや)焼酎」で、登録商標が「キンミヤ焼酎
そんでもって通称が「キンミヤ」


ラベルに金色の文字で「宮」って書いてあるんで「キンミヤ」って呼ばれるようになったってことなんでしょうね。


25度の甲類焼酎。


ホッピーとの相性がナンバーワンだっていう評判は昔からでしたね。


2010年代ぐらいから、なんとかサワー、かんとかハイっていう呑み方が主流になったみたいで、ホッピー以外でもキンミヤの人気が浸透していって、四合瓶のボトルキープは圧倒的にキンミヤになったみたいですね。


軟水仕込みなんだそうで、まろやか、ほのかな甘みっていうのが人気の秘密。


だいぶ前、神田の居酒屋さんで「シャリキン」っていうのを見つけて試してみたことがあります。
これは20度。


なんで度数が低いのかっていうと、たぶんですけど、25度より凍りやすいからじゃないでしょうか。


そです、シャリキンっていうのは90ミリリットルの小さなアルミパックで、凍らせてあるんですね。


いや、もちろんアルコールですからコチコチに凍っているわけじゃなくって、アルミパックを開けてジョッキに入れた時点で、外気に触れてシャリシャリのシャーベット状になる。
それでシャリキンって言うんでしょうね。面白いです。


でも20度。個人的には物足りないです。


店で呑まれる甲類焼酎の中ではダントツな感じのキンミヤですけど、甲類って、なに?


芋焼酎とか麦焼酎は乙類っていうんですよね。
この甲乙って、なんなの?
甲乙丙丁の甲乙なの?


甲乙つけがたい、っていう表現からすると、甲の方が乙より優れてるってニュアンスですよね。


焼酎の甲類、乙類っていう区分けを改めて考えてみますと、むしろ逆なんじゃないかって気がしますけどね。
値段的にみても、そんな気がしませんか?


で、ちょっと調べてみたらですね、これって、酒類として焼酎っていうひとくくりにしちゃってるのが、そもそもおかしいんじゃないかって感じなんですよ。


日本で売られている酒類の種別は「酒税法」ってやつで決まっているんだそうなんですね。
そ、酒って税金かかってるんですよね。(撤廃してくれえ!)


けっこうチマチマ変更されている法律みたいなんですけど、国としては「酒税法改正」って言ってます。


なあにが改正じゃ! っていう部分も多いみたいなんですけど、2023年時点では、焼酎の甲類、乙類っていうのって、税法上はナイ、みたいです。
名称変更です。あ、改正、です。

 

 

 


酒税法上の酒の種類は「蒸留酒類」「醸造酒類」「発泡性酒類」「混成酒類」の4つ。
焼酎は当然「蒸留酒類」になりますね。


この「蒸留酒類」は「ウイスキー」「ブランデー」「スピリッツ」「原料用アルコール」そして「単式蒸留焼酎」「連続式蒸留焼酎」っていうことになっています。


2006年以前に「焼酎乙類」っていっていたのが「単式蒸留焼酎」
「焼酎甲類」っていっていたのが「連続式蒸留焼酎」になったんだそうです。


へええ、って感じです。2006年過ぎたって、酒場で「単式蒸留焼酎」とか「連続式蒸留焼酎」なんて言っている人に会ったことないですよ。


1つの酒類としての焼酎に「焼酎甲類」「焼酎乙類」っていう2つの種類があったものを、酒の種類として分けたってことですけど、2つとも焼酎の名前のままです。
って、それは無理もないんでしょうね、これまでずっと焼酎って言ってきたんですもんね、両方とも。


古くから日本に在った焼酎は、たぶん「単式蒸留焼酎」「焼酎乙類」なんでしょうね。


何でかっていうと「連続式蒸留機」が日本に入って来たのが明治28年ごろらしいからです。


それに対して「単式蒸留器」っていうか単式の蒸留法で造っていた焼酎が呑まれていたっていう記録は1559年のものが確認されているんですね。


その記録っていうのは、なんと落書き!


鹿児島県伊佐市の郡山八幡神社
この神社はこの落書きのおかげ(?)で「焼酎神社」として知らているんだそうですよ。
知らなかったですけど、なんだかとっても行ってみたい神社です。


1954年に解体修理をしたんだそうですけど、その時に1559年に書かれた宮大工の落書きが発見されたっていうことなんです。


曰く「永禄二歳 八月十一日 作次郎 靏田助太郎 其時座主ハ大キナこすてをちやりて一度も焼酎ヲ不被下候何共めいわくな事哉」


鹿児島の方言ニュアンスが、古い言い方もあってよく分からないところもありますけど「座主ったらケチケチしやがって、修理工事してる間に一回も焼酎呑ませてくんなくて、むかついたよ、まったく」


ってな感じでしょうかね。
鹿児島の方々、どなんでしょ?

 

黒千代香で芋


戦国時代の後期には名称としても「焼酎」になっていたってことですし、呑ませてくんない! ってぶーたれているんですから、かなり浸透していたってことなんでしょうね。


芋焼酎、だったんでしょねえ。めっちゃクセのある、クッサイやつ。座主、独り占め。知らんけど。


「連続式蒸留焼酎」っていうのは、例えばキンミヤの場合、サトウキビの搾りかすを利用して連続蒸留するわけで、ほぼ純粋な、95度ぐらいのアルコールが出来るんだそうです。


そのアルコールに水を加えて、酒税法に従った36度未満にしたのがキンミヤに限らず「連続式蒸留焼酎」「焼酎甲類」なわけですね。


一方の「単式蒸留焼酎」「焼酎乙類」は、酒税法上45度以下に決められているみたいです。

 

甲類、乙類っていう名称は優劣っていうことじゃなくって、税法が決められた時代の会社規模だとか、申請の順番だとか、そんなんで決まったのかもしれませんが、そもそも同じ焼酎っていう名前に無理があるような気がしてきました。


蒸留の仕組みとか、なあんも知らんくせに、あーだこーだ言ってもしょうがないんですけどね。


そうそう、甲類、乙類って、普通に言っている焼酎の「種類」の中に「本格焼酎」っていうのもありますよね。


本格焼酎」っていうのは、乙類に対して言っていて、甲類には言わない感じですよね。
この「本格焼酎」っていう名前には、やっぱり、甲乙問題が絡んでいるみたいなんですねえ。


1949年の酒税法で「甲類」「乙類」っていう言い方が決まったみたいなんですが、当時の霧島酒造社長の「江夏順吉」さんが声を上げます。


「そんな言い方されたんじゃ、乙類は劣っているように受け止められてしまうじゃないか!」

 

ってことで、1957年から「本格焼酎」って呼ぶように提唱し続けて、1971年に「本格焼酎」の名前が正式に認められて、2002年の省令改正で、正式な「本格焼酎」っていうのが決められたそうです。


要するに国が決めた材料以外を使った焼酎は「単式蒸留焼酎」であっても「本格焼酎」と名乗ってはいかんぞよ! ってことになっているんだそうです。


でもまあ、ほぼ、「単式蒸留焼酎」イコール「本格焼酎」って理解で良さそうな現状ですよね。
しかも、一般の酒呑みに、不正表示かどうかなんて、分かりゃしませんよ。


ま、名前で呑むもんじゃなし、問題ないと思いますけど、キンミヤのボトル入れてる人たち、名前で呑んでないですか? ホントにその風味が好きで選んでます?


って大きなお世話でしたですね。はい~。

 

 

 


どちらさまも、ウキウキな焼酎時間を楽しんでくださいませえ~。


酒税法で決めちゃうこと自体、なんだかなあ、って思いますけど、酒税、撤廃してよ、ホントにさあ。

 

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