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【江戸城本丸】江戸城に天守がない理由

< 外人さんに聞かれて何もまともに答えられなかった件 >

梅雨の中休みに、友人と連れ立って上野駅からぶらぶらと、台東区かっぱ橋道具街に行って来ました。
風がそこそこ吹いている日でしたけれど、蒸しっと暑い曇天の日。


その友人の母親が腱鞘炎になってしまって、野菜の皮むきがうまく出来ないので、なんとかいうスーパーな切れ味のピーラーを買うっていうんで、付き合いで一緒に行ったんですね。
情報はしっかり把握していたみたいで、目的のピーラーはすぐに見つかりました。


刃の部分が斜めになっているピーラーでしたね。チカラを必要としないんだそうです。


ただの付き添いですからね、ピーラーについては、ふううんっていう感想だけだったんですが、久しぶりに来たんだからっていうことで、浅草まで足をのばしてみようかってことになりました。


足をのばすって言いましてもですね、かっぱ橋からちょっと東へ行けば地下鉄の浅草駅ですし、そこから続くホッピー通りを行けば雷門はすぐそこです。
海外旅行客の規制もなくなって、浅草近辺はごった返しているんだろうなっていう予想はしていました。


していたんですが、一歩、浅草圏内に入りますと、ビックリするほど海外の人が目立ちます。
欧米系の人が多いんですね。


しかもですね、車道を人力車が連なって走って行きます。


浴衣姿の外人さんを乗せて、いなせな車夫姿のお兄さんたちが、タッタッタ。


人力車って、当たり前ですけど駆動は人力です。お兄さんたちが、自分の足で走るんです。
だいたい2人連れを乗せて軽快に走っていましたが、いやはやなんともご苦労様でございます。


暑い、なんてもんじゃないでしょ。


これまでインバウンドが抑えこまれていただけに、ここはひとつ、ってんで気合も入っているんでしょうね。
体力には自信の、っていうお兄さん方ではあるんでしょうけれども、熱中症にお気をつけあれ。

 

 

 


陽射しの下では暑さも暑し、人混みの熱気もむんむんしていましたんで、すぐに引き上げることにしまして、浅草駅へ向かいました。
ホッピーも、おごってもらうはずだった電気ブランも諦めて、退散です。


と、浅草駅の間近で、大きなリュックを背負った2人とも金髪のカップルに声をかけられました。
旅行ガイドでしょうか、ちょっと厚めの冊子を広げて持っています。


「スミマセン」


お、日本語、しゃべれる外人さんですね。はい、なんでしょう。


エド、ジョウ、イキタイデス。ドコアリマスカ」


って言いながら、背の高い男性が開いている冊子を指さします。同じくらいの背格好の女性が盛んに頷いています。


江戸城ねえ、って思いながら、彼の指さしているページを覗き込みますと、そこには復元図と思しき江戸城の「絵」と、すぐ下には皇居の写真がありました。


ですんで、皇居に写真を指さしながら、江戸城って説明しますとですね、


「ノーノー。コキヨ、デスネ。チガイマス。エドノ、オシロ、イキタイ。ドコデスカ」


日本語堪能なカップルなんですけどねえ、説明、かなり難しいですよ。


いや、もとい。説明が難しいんじゃなくって、説明できるほど知らないんでした。


友人は、こんな絵みたいな江戸城天守なんて、昔からないよね。っとか、全然頼りになりません。


日本のことをうまく説明できないっていうことに、愕然としましたね。


この冊子の絵は、資料に基づいて予想復元したもので、今、っていうかずいぶん昔から江戸城天守はなくなっているんですよ。
でも、いつごろ、なんで天守がなくなっているのか、知りませんよ。たぶん、火事でしょねえ。


そんな説明しかできません。情けないです。
カップルは納得したのかどうか、微妙な表情でしたね。

 

日本の歴史に興味を持ってくれているカップルだったんでしょうけれども、スウビバセンねえ。英語もしゃべれないし、江戸城のこともほぼ知りませんですう。


でも、負け惜しみを言わせていただければ、たとえ英語が堪能な日本人だとしても、今の皇居がそのまま江戸城なんだけど、天守がない理由を説明できる人って、少ないんじゃないでしょうかね。


日本第一の城であるはずの江戸城天守がないのって、なんでだか、知ってます?
天下第一の徳川さんなのに。不思議ですよね。


はい、いつものごとくですけど、完全に後付けで調べてみましたです。


ま、あのカップルに再会することはないでしょうけれどね。


江戸にある城だから江戸城なんですよね。って、当たり前過ぎる話から入ります。


原初の東京湾西岸は、かなり入り組んだ入り江がたくさんあったそうなんですね。


漁船が入るような入り江、湊を「津」って言っていたらしいんですが、人が多く集まる場所を津っていうのは、草津、津、直江津だとか、今でも地名として残っていますよね。


その津が「戸」に変化して地名として残っている特徴が東京湾の西岸エリアには今でもけっこうあるんですよね。
今戸、亀戸、奥戸、青戸。そうした戸の1つが江戸で、平安時代の終わりごろにはあった地名らしいです。

 

 

 


その平安時代の終わりごろ、現在の埼玉県秩父地方の豪族、秩父党が南進して来て勢力を張ったそうです。


11世紀ごろ、秩父党の「秩父重継(しげつぐ)(生没年不詳)」が、江戸郷近辺を相続して、桜田の高台に居館を構えたっていう記録が遺っているみたいですけど、桜田の高台っていうのは、現在の警視庁辺りですね。
警視庁を「桜田門」っていうのは、江戸時代の桜田門正面だからですが、桜田っていう土地の名前は平安時代からあったっていうことですね。


桜田の高台っていうのが、どれくらいの広さだったのか分かりませんが、そこに建てられた居館、城館っていう表記も見られますが、それが江戸城の始まりみたいです。


江戸郷に建てた居館が完成して、本拠地にすするとともに、4男坊だった秩父重継は自らの名乗りを「江戸四郎」に変えて、ここに江戸氏が誕生するんですね。


江戸四郎の息子「江戸重長(しげなが)(生没年不詳)」は、鎌倉幕府御家人となって、江戸郷の地頭を勤めていたっていうのが、江戸氏って名前が文書に出てくる最初だそうです。


鎌倉幕府が滅びると、江戸氏の勢力は衰えて、江戸郷を追われるような形で地方に散在していったみたいです。


江戸氏の代わりに江戸郷に入って来たのが、室町幕府関東管領の上杉氏。


扇谷上杉家の江戸郷管理を任されたのが「太田道灌(1432~1486)」なんですね。


太田道灌は江戸氏の居館跡に「江戸城」を築くわけですね。1457年の完成だったっていう説があります。
人望のあった人なんだそうで、京都が応仁の乱で荒れ果てていたんで、太田道灌を頼って江戸郷に移り住んでくる学者やお坊さんたちが大勢いたらしいですね。


徳川家康の入府前の江戸は、荒れ果てた寒村で、江戸城も貧弱なものだったっていう説もありますが、文化的にも一定の影響力を持った地方都市ではあったんでしょうね。江戸。


太田道灌は謀殺されてしまうんですが、その後、扇谷上杉氏の当主「上杉朝良(ともよし)(1473~1518)」が江戸城に入ります。


上杉朝良江戸城に入ったのは、山内上杉家との争いに敗れて本拠の川越城を明け渡してしまって、いわば江戸城に閉じ込められたってことみたいなんですね。
1504年のことだそうです。


大田道灌が殺されてから、けっこう間がありますけど、その間も江戸城は守られていたってことですね。


文弱だったってされている上杉朝良なんですが、扇谷上杉氏は、太田道灌を殺してしまうような身内での争いが続いていて、どんどん衰退していって、1524年には小田原北条氏に江戸城を奪われてしまうんですね。


そして、その北条氏が豊臣秀吉小田原征伐で滅んでしまったのが1590年。
徳川家康の入府もこの年のことですね。


太田道灌江戸城を築いてから150年近く経っています。老朽化は相当なレベルだったでしょうね。


徳川家康江戸幕府江戸城ばかりじゃなくって、江戸全体を造り替えてしまうんですね。天下普請です。


そして、1607年に慶長期の江戸城天守が完成します。


5重5階建ての荘厳な天守だったそうですね。そりゃまあ、天下第一の江戸城ですからね、偉容を誇っていたでしょう。

 

 

 


エドジョウ、ドコデスカ」


の外人さんが持っていた冊子の江戸城は、おそらく、この慶長期の天守なんじゃないでしょうか。


江戸幕府の天下普請は慶長期だけでは終わらずに、元和期、寛永期、にも行われていて、寛永期で一応の完成完了っていうことになっていますが、要は、費用的にこの頃には諸藩が疲弊してしまったっていうことなのかもしれません。
ま、それが徳川幕府の狙いだったとも言われていますからね。


江戸城には本丸だけじゃなくって、二の丸、西の丸、北の丸、紅葉山東照宮、西ノ丸殿舎だとか、数多くの建物があったんですが、1657年、明和の大火で天守を含めた多くの建物を消失しちゃったんですね。


で、それ以降、戦いもないってことで、天守は再建されることはありませんでした。


ちゃんちゃん、って、そういうことなんであります。


こんなふうに説明出来たらよかったんですけどね。
そりゃまあ、ないものねだりっていうことでしょねえ。

三日たったら、こうして調べたことも忘れてそうですしねえ。


かっぱ橋で買ったピーラーは、すこぶるイイ調子、らしいですう。

 

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