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【マリー・アントワネットの首飾り】ブルボン朝最後の詐欺事件 その1

< 怪しいことがあればどこにでも顔を出すカリオストロのなんちゃって無駄話 >

1789年から1795年にかけて起きたフランスの市民革命は「フランス革命」として語り継がれていて、「ベルサイユのばら」なんかは、マンガ、アニメ、舞台としてずっと人気ですよね。
「ベルばら」以外でもフランス革命はいろいろ取り上げられています。


ギロチンだとかね、多くの血が無惨に流れた革命だったわけですが、市民に主権が渡された革新的な出来事として世界的な支持をされているんでしょうか。
滅んでいく貴族側に悲劇のヒロインとかがたくさんいて、その華麗なファッションが人気のベースにあるのかもしれませんね。


そのフランス革命前夜、っていいますか、既にそういう空気感のあったころのフランスで起きた金額の大きい詐欺事件が「首飾り事件」なんですが、「マリー・アントワネットの首飾り」とか言われることもあります。

 


そりゃあね、ブルボン朝最後の王妃、マリ―アントワネットの首飾りだったら、さぞ高価なんでしょうねえ、とか思って調べてみましたら、金塊1トン分ぐらいの値段なんだそうです。
金相場って動きますからね、その当時の価値と違っているんでしょうけれど、2022年時点だとだいたい「85億円」ですね。


なんかね、このところの給付金詐欺とかのニュースで金額に対する感覚がバカになっているところもあるかもですけど、ふううん、そんなもんですかって思ってしまいます。フランス王妃だったら、もっとね、って感じ。


でもね、ネックレス、85億円です。詐欺事件です。大事件です。


で、これ、実はマリー・アントワネットの首飾りじゃないんですよ。濡れ衣です。
「パンがないんだったらケーキを食べればいいのに」
とかいうセリフが伝えられていて、なんだか贅沢な女ってイメージを持たれているフランス王妃ですが、この詐欺事件に関して伝わっているところでは、首飾りの買取を求められて「高すぎます」って断っているそうなんですよね。


マリー・アントワネットの首飾り」はマリーアントワネットのモノじゃないって話です。

にゃ?

 

当然、当時の裁判になっているんですけど、この裁判にあの「カリオストロ」が夫婦で被告人として呼ばれているんですね。
あの、ってあれですよ、ルパン三世の「カリオストロの城


脚本は宮崎駿、山崎晴哉で、1979年の公開作品ですけど、ま、アニメの内容は史実と何の関連も無くって、それは当たり前なんですけど、なんとなくね、なんでもありな「怪しさ」っていうのを持っているよねえっていうイメージで「カロオストロ」っていう名前を持ってきたんじゃないかと、はい、想像しますねえ。


実際に居たんですよ。
「アレッサンドロ・ディ・カリオストロ(1743~1795)」


イタリアのパレルモ生まれってされていて、ヨーロッパ中で活躍したっていいますか、お騒がせした「詐欺師」として知られていますよね。
アレッサンドロ・ディ・カリオストロってカッコイイ名前ですけど、本名は「ジュゼッペ・バルサーモ」


素性のイイ話が遺されていないカリオストロなんですが、相当な才能の人だったことは間違いなくって、医師であって、フリーメーソンリーなんです。


詐欺師のほかに錬金術師、オカルティスト、山師だとかいう呼ばれ方をしているんですけど、頭が良くないと、そういう立ち回りも出来ないでしょうからね。
理不尽な金持ちをだまして貧しい市民に分け与えていた、なんていう逸話もあるにはある人なんです。


理不尽って言ったって、貴族社会ですからね、貴族は金持ちです。
身分社会の中で富裕層に対する根源的な怒り、みたいなものがあったのかもですけどね。義賊ね。
時代背景として、カリオストロみたいな人間に味方する人たちも、少なくなかったっていう可能性は大いにありそうな気もします。

 


さて「首飾り事件」ですが、そもそもの始まりは「ルイ15世(1710~1774)」です。
首飾りまではけっこう時間がかかりますが、ん~、ルイ15世からです。


ヴェルサイユ宮殿を造って太陽王って言われていたルイ14世崩御して、ルイ15世は5歳で即位します。
この頃は天然痘だとかで生命を落とす人が多かったみたいで、ルイ14世自身も4歳で即位した王様だったんですね。


ほんの子どもの王様が続いたブルボン朝ですが、ルイ15世は12歳でヴェルサイユ宮殿に入って、15歳の時、1725年にマリー・レクザンスカっていう21歳の女王と結婚します。っていうかさせられます。


王朝としてはなるべく早く子ども、世継ぎが欲しいって希望があって、すぐに子どもが産める年齢の王族をってことでマリー・レクザンスカがヴェルサイユ宮殿に入ったわけなんですが、なんと、このポーランド王の娘さんは11年連続で出産します。
っていうか、ここまで続くと出産させられたって感じかもしれません。なんたって若いんです、ルイ15世


10年以上、ずっと妊娠、出産生活です。マリー・レクザンスカ王妃はすっかり消耗しちゃって同衾を避けるようになったらしいです。もうやだ、って感じだったんでしょうね。


ただね、11年経ってもルイ15世って、まだ26歳です。ギンギンな人だったんでしょうね。
1734年ごろから「公的な愛妾」っていうのをそばに置くようになるんですよ。

 

コンニャロなんですけど、王様なんだもんね。今の世の中とは違いますもんね。
たくさん居たみたいですけどね「公的な愛妾」っていう女性たち。


で、1745年ごろからヴェルサイユ宮殿に入るようになったのが「ポンパドール侯爵夫人」です。
本名「ジャンヌ=アントワネット・ポワソン(1721~1764)」
俗に言う「ポンパドール夫人」も「アントワネット」だったんですね。


サービス精神の旺盛だった人で、エリゼ宮だとか、いろんな建物を造ったり、稀代のファッションリーダー的存在でもあって、政治にも積極的に関わったんだそうです。
ロココの時代です。ポンパドールファッションです。


30歳を超えたころから体調を崩したポンパドール夫人はルイ15世の寝室を離れて、「鹿の園」っていうのを建てて、自分の代わりの女性をルイ15世のためにたくさん送り込んでいたそうなんですね。こういうのってヴェルサイユ宮殿での権力維持のためってことなんでしょうかね。
閨房政治? にしてもルイ15世、お元気。


1756年、ルイ15世は7年戦争に巻き込まれます。王家同士の争いや、帝国の植民地政策のぶつかり合いだとかで、起きてしまった7年戦争ですが、実質的には最初の世界大戦だったっていう分析もあります。


1763年、7年戦争はフランス側の敗戦で終わります。ルイ15世、53歳。
ルイ14世の頃から徐々に財政難に陥っていたフランスは、この敗戦で国庫が破綻してしまいます。


そんな中、1764年、ポンパドール夫人死去。1768年、マリー・レクザンスカ王妃死去。


王妃を失くした時ルイ15世は58歳ですけど、まだまだ元気です。


1769年ごろに「デュ・バリー夫人」を「公的な愛妾」としてヴェルサイユ宮殿に迎え入れます。


洋裁店のお針子だった「マリ=ジャンヌ・ベキュー(1743~1793)」は大変な美人だったそうで、お針子をしていた時にデュ・バリー子爵の囲い者として上流社会との接点をもって、1769年ごろにルイ15世に見染められたってことらしいんですね。
なんか無茶苦茶ですね、身分制度って。どこの国でも似たようなもんだったんでしょうけどね。


別嬪さんのベキュ―ちゃんは圧倒的な寵愛を受けて、「デュ・バリー夫人」としてヴェルサイユ宮殿の中で権力を強めていったそうです。


そこへ、1770年、16歳だった後のルイ16世(1754~1793)の王妃として、ヴェルサイユ宮殿に「マリー・アントワネット(1755~1793)」が入ってくるわけです。
時にマリー・アントワネットは15歳です。


マリー・アントワネットは、ハプスブルク帝国の君主、母親のマリア・テレジアの影響もあって愛妾だとか娼婦だとかは許せない考えの人だったそうで、こうして調べてみますと、凄くまともな女性だったんじゃん、って思えますけどね。


で、当然のごとく、ヴェルサイユ宮殿は「デュ・バリー派」と「マリー・アントワネット派」に2分されて、けっこう陰湿な争いが続いたそうです。
でもまあ、この時点でのフランス王はルイ15世で、マリー・アントワネットの旦那は16歳、まだ何でもないわけですからね、年齢もデュ・バリー夫人の方がひと回りも上ですから、争いっていっても権力闘争っていうレベルじゃなかったんだろうって思いますけどね。


で、財政破綻しているっていうのに、ルイ15世は、デュ・バリー夫人の手練手管にやられたのか、首飾りのプレゼントを約束します。
そうです、ここでやっと出てきました「85億円の首飾り」です。


首飾りの制作を受けたのは王室御用達の宝石商ベーマー。


大小さまざまな大きさのダイアモンドを540個だとか550個だとか、飾り立てた首飾りだったそうで、そのデザイン画を元にしたレプリカは今でも保存されているそうですよ。
ニンマリ喜んでいたでしょうね、美人のデュ・バリー夫人は。

 


ところが1774年、首飾りが完成しようかっていう時に、ルイ15世天然痘で亡くなってしまいます。


20歳のルイ16世が即位します。
「デュ・バリー派」と「マリー・アントワネット派」の争いもあっさり決着がついて、デュ・バリー夫人はヴェルサイユ宮殿を追われてしまうんですね。


それはそれとして、「85億円の首飾り」完成しましたけど、どうしましょ、ってことになりますよね宝石商のベーマーさんは。


ルイ15世からのご注文品でして、ってことでルイ6世に話を持っていっても、マリー・アントワネットは「高すぎます。それにあのデュ・バリー夫人のための首飾りなんか要りません」
となるとルイ16世は「要らないってさ」って伝書鳩になるだけ。


ええ~!? 冗談じゃないよって、べーマーさんは四方八方手を尽くして買い手を探します。


この辺からは全くの妄想なんですけどね。
そんな話題は今も昔もあっという間に、フランス中、ヨーロッパ中に広まりますよね。
こういう高額でスキャンダラスな出来事を巧くさばいてくれそうな人は居ないもんかね、ってなると出てくるのが、そうです「カリオストロ」です。なにせ稀代の山師ですからね。


べーマーさんは聞きまわりますよ。カリオストロさんはどこにいるか、知りませんか。誰かカリオストロさんのお知り合いはいらっしゃいませんか。


と、「あたしが話を聞いてきてあげるわよ。例のあれでしょ、首飾りの件でしょ」


なんてね、妙に物分かりのイイことを言う人が出て参ります。
誰? ってことなんでありますが、それはまた、続きでってことで、よろしくお願いたしますです。


別嬪さんのベキュ―ちゃんは、どこへ行っちゃったんでしょうね。

 

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