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【かわず茶番】ふんどしダイエット なんてえのがありますけどね

< さらしのふんどしじゃなくって ふんどしパンツってのがあるらしいですが >

寝るときには何を着ているんですか? ってインタビューに、
「シャネルの5番を、5滴よ」
なんてね、こんな答えが似合うかどうかってね、人を選ぶってもんでしょうけれど、マリリン・モンローさんのお答えとして有名なセリフですね。


1950年代のことで、実際にあったことみたいです。


ま、ノーパンで寝るのが美容にイイとか、そんな話もありますよね。
でもまあ、ノーパンって違和感、強いよねってことで、鼠径部を締め付けなければ、リンパの流れを阻害することはなくなるんで、夜だけでも「ふんどし」がイイっていうのが、ふんどしダイエット。


これまたずいぶん前に聞いたことあるなあって思ったんですが、今でもあるんですね。
さらしを巻いて、越中ふんどしっていうスタイルじゃなくって、ふんどしパンツっていう形状になっている商品が出ています。


実行している人もいるんでしょうね。
ふええっていうふうにも感じますけど、実際に効果もあるのかもです。知らんけど。

 


友だちに浅草の商店街の息子がいて、三社祭には神輿担ぎに参加していましたが、担ぎ手たちの集合前に会ったりするときは、祭り半纏にふんどし姿でしたね。
もちろん神輿担ぎのふんどし姿は、別にダイエットのためとかじゃありませんですね。
担ぎ手たちの誇り、みたいなもんもあるわけです。三社祭ですからね、なにせ。


ふんどしが出てくる落語っていうのも幾つかありますけどね、今回は「かわず茶番」ってのを、ひとつ。


ま、ふんどしが出てくる噺ですから、上品なもんじゃありません。悪しからずお付き合いいただければと思います。


茶番っていう言葉は、イイ意味じゃ使われないですよね。
政治の世界で繰り広げられるあーだこーだに関して「茶番劇」って表現が使われることが多い感じでしょうか。


「かわず」っていうのはカエルのことですね。ガマガエルが「かわず茶番」のかわずってことになっています。蝦蟇です。


古典落語なんですけどね、テレビでやるにしても、この「かわず茶番」って噺は「お下品」ってことで、って、何も下品に「お」を付けることもないんですが、放送されるネタにはあがってきません。なかなかね。


結果、そんなに知られていない噺っていえるのかもしれません。


「かわず茶番」の茶番っていうのは、江戸の頃に流行ったらしい「素人芝居」のことををいっているみたいです。


江戸っ子っていうのは浄瑠璃常磐津だとか、稽古事がやたら好きだったみたいで、あくび指南なんていう噺もありましたぐらいですからね。
田舎歌舞伎なんてのも流行ったらしくてですね、今でいう商店会の集まりみたいなノリで、集まってやっていたもんらしいですね。芝居好きってのはね、昔っからいるんです。

 


バカバカしい噺なんですよ「かわず茶番」ってのはね。


赤いちりめんのふんどしっていうんですけどね、そんなのがホントにあったのかどうか、ね。分かりゃしません。


その赤ちりめんのふんどしの持ち主っていうのが、建具屋の半次ってお調子もんです。
ものがイイもんですからね、いや、その赤ちりめんがね、質屋に入れてるってことなんです。
ふんどしが質草です。


噺は、みんなで歌舞伎の「天竺徳兵衛韓噺」をやろうってとこから始まるんです。


「てんじくやとくべい いこくばなし」って読むんですが、いこくっていうのが「韓」って字ですからね、中国のことですね。外国の代表ってのは中国なんです、江戸ではね。


鶴屋南北の作です。


ずいぶんな評判を取った芝居で、今でも上演されている演目ですよ。


天竺徳兵衛って呼ばれた人は、どうやら実在の人物で、17世紀、江戸初期の朱印船貿易で活躍した人で、幕府が鎖国制度を敷いたあとで、諸外国の見聞録を「天竺渡海物語」として著したんだそうです。


天竺っていえばインドですけどね、ホントかよっていう内容みたいです。
で、その徳兵衛さんを日本転覆をたくらむ大立者として描いたのが鶴屋南北の「天竺徳兵衛韓噺
蝦蟇の妖術を使うってところが見せ場の芝居なんですね。


商店会の素人連中が集まって芝居するわけなんですが、みんな徳兵衛さんをやりたいんですね。
商店会ですから、みんながみんな、個人商店主です。おいらがやるんだってんでもめますね。


なかなか配役が決まらないんでくじ引きで決めます。


配役が決まれば、あとは実際の芝居の日を待つばかり。稽古なんて、しゃらくさいことはしないんです。


で、芝居の当日になって幕を上げようとしたら、役者が足りない。
伊勢屋の若旦那が来ない。


若旦那の役は蝦蟇だったんです。イイ役が回って来ると思っていたのに、カエルなんてやってられない。
ってんで、仮病です。


主催者も若旦那のことは知ってますんで、もうしょうがねえ、ってんで、店の丁稚を蝦蟇役に仕立てます。


で、いよいよ幕を上げようってなったら、今度は舞台番がいない。


舞台番っていうのは、芝居見物の客の動向を見張る役割ですね。
なにかと騒ぎになることもある芝居見物ですから、騒ぎにならないように場を抑える、体のイイ用心棒役。


この舞台番役だったのが例の赤ちりめん、半次です。


半次も半次で、何か芝居の役が付くかと思ったら、舞台番じゃあ面白くないってんでズルしてるんですね。


町内の芝居で客同士の騒動が起きることもなさそうに思うんですが、江戸っ子のこだわりでしょうかね、ちゃんとホントの形通りにやりたいわけです。
客ったって、みんなご近所ですし、そもそも客が来たんでしょうかね。

 


ま、カタチから入るタイプなんでしょう。舞台番を置かなきゃ始まらない。


呼んで来いってことになるんですが、半次はやだねってんでいうことを聞かない。


主催者が頭をひねって策を弄します。
半次がホの字の小間物屋のみーちゃん。みーちゃんが半次の舞台番姿を見たがってるっていうことにして、再度呼びに行きます。


昔っからね、男ってのは情けないもんで、みーちゃんが見たいっていうなら、粋なところを見せてやろうじゃないかってんで、その気になりますね。
そこで例の赤ちりめんです。見せたいんです。オメデタイんです。


質屋から受け出してきます。


身体をキレイにしてから行こうなんて考えた半次は銭湯へ行きます。


大事な赤ちりめんだからってことで、脱衣所に放っておくなんてことはできない。
で、番台に預かってもらうんですね。客のふんどしを預かる番台ってのも落語ならではでしょうけどね。


一方、舞台番がいつまで経っても来なくって幕が上げられない主催者としてはですね、半次の野郎、何してやがるってなもんでね、も1回丁稚を迎えにやります。


ここで丁稚が気を利かして、みーちゃんが帰っちまうよ、ってけしかけたもんだすからね、半次は着るものもとりあえずで銭湯から走っていきます。


やっと着いた半次は、誰も騒いじゃいない見物席へ向かって、


「おう、静かに、静かに」

 

なんてね、みーちゃんが見ていることを想定しながら、見得を切るようなそぶりで、着物の裾をまくって、自慢のモノを、ってね、分かりますよね。


この時、半次自慢の赤ちりめんは銭湯の番台に置いてありますよ。
ところが自分じゃあ、赤ちりめんを締めているつもり。


「どうだ、イイもんだろう」


ここが落語ですからね、客の方も目くじら立てたりなんかしないではやし立てます。


「ヨッ、半公、日本一の大道具!」


なんてやるもんですからね、半次は、あっちへ御開帳、こっちへサービス。


舞台の方では、蝦蟇の登場シーンになります。
ところが蝦蟇役に仕立てたはずの丁稚が舞台に上がってこない。


どしたんだ、蝦蟇、出ろ。
っていうと、丁稚どん、


「いや、これじゃ蝦蟇は出られません」
「なんでだ」
「あそこに、ほら、青大将が」


って、こういう噺でございます。


ヘビに睨まれたカエルは動けないっていう、まったくもって、ごリッパな茶番の噺。
お耳汚し、っていうか、お目汚しでございました。


ところでですね、GAFAの一角、フェイスブックが社名をメタに変えましたですよ。
ってことはですね、GAFAはGAMAになるんですよ。蝦蟇ですよGAMA。

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おあとがよろしいようで。