< 少し調べてみたらカタカナばっかり出てきますよ >
2022年3月22日、東京都の「まん延防止等重点措置」が解除されました。
前日の21日は桜の開花が宣言されたんですが、解除当日は朝から冷え冷えして雪が降りましたね。
さらには電気の使用量が供給量を上回るっていうような供給不足状態になって、エアコンの設定温度は20度にしてちょうだいっていうアナウンスが流れました。
地震による被害が発電施設に及んでいるとはいえ、日本の設備、システムの脆弱性を実感させられますねえ。
都内の飲食店は制限が解除になるんで、細工は隆々、さあお客さんいらっしゃい! ってなことでこの日を迎えたはずなんですが、節電にご協力くださいってことなんで、看板や赤ちょうちんに灯りを入れるのにもちょっと遠慮がち。
店内の照明も数を減らしたりなんかして、暗めの店内では、客も店側も、なんだか後ろめたいようは妙な気分になっちゃいましたからね、解除初日は盛り上がりませんでしたねえ。
まあね、そうなったのはお天気のせいばっかりじゃなくって、客側の意識変化っていうのもあるらしいんですよね。
よし、解除だ。コロナ前に戻って楽しく呑もうよ、って人ばっかりじゃないってことなんです。
そもそも都内のオフィス街に人の数が減っているのは事実です。
東京の新規感染者の数は減少傾向とはいえ、まだまだ安心できるレベルじゃありませんし、メディアではコロナ前の生活、オールドノーマルには戻れないんですよっていう声が大きいですね。
ニューノーマルっていう意識を持ってください、ってことなんですけどね、なんなん? ニューノーマルって。
そりゃ単純に「新しい常識」っとか、そういうことなんでしょうけれど、コロナ前にも聞いたことがあるような、そんな気がしたんで、はい、ちょこっと調べてみました。
以前にも聞いたことがあるような気がしたニューノーマルっていう言葉ですけど、それを聞いたとしても何か変わったって感覚はありませんよ。個人としても周りの空気感としても。
ニューノーマルっていう言葉が初登場してきたのは、まさに21世紀を迎えたころのことみたいです。
世紀が変わったからニューノーマルってことじゃあないんですよね。
1990年代後半あたりから、主にアメリカのIT関連企業に対する過剰投資によって引き起こされた「インターネット・バブル」「ドットコム・バブル」はニューエコノミーとか言われてウハウハだったんですが、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が2001年初頭に利上げを決めると、IT関連企業の株価は急落。
そして2001年9月11日の同時多発テロです。
多くのベンチャー企業が倒産して「ITバブル崩壊」っていうことになってしまったんですね。
シリコンバレーを中心とした失業者数は100万人に達したっていう説もあって、この時に言われ出したのが「ニューノーマル」っていう概念です。
世界経済の中心って言われていたツインタワーが文字通り消えてしまったショックは大きなものでした。
生活様式を変える必要があるっていうことなわけですが、どうでしょうか、日本にはダイレクトには伝わって来なかった印象です。
日本はITバブルの恩恵をたいして受けていなかったっていう事情もあるんでしょうね。
ITバブルの崩壊によって大きなダメージを受けなかったことはラッキーだったという評価もあるでしょうけれども、ここに日本の「デジタル後進国」たる由縁も潜んでいる感じなんですね。
つまりIT分野、世界のコンピュータ業界の中で日本の企業は投資対象に成っていなかったっていうことだからなんです。
ハードウェア、そしてOSを含めたソフトウェア分野でも世界のITはアメリカに集中しているわけです。
儲からないからお金をかけない、っていうことだったのかどうかはハッキリしませんが、気が付いたらすっかり置いていかれていたっていう日本産業界の現実。
まあ、そんなこんなで21世紀初頭のニューノーマルは響いてこなかったんだろうと思います。
ITバブルを招いたマネーゲームはその後も消え去ってしまうようなことは無くって、投資先を変えただけだったんですね。
お金持ちメエッ! って思ってしまいます。縁が全くないし。
世界は2008年に「リーマンショック」を迎えてしまいます。
あっという間に大不況になりましたよね。
不思議です。リーマンブラザーズなんて全然知らない会社ですけどね。
この時に、ほどなく世界金融は例年の平均的な状態に戻るっていう意見が経済学者から多く出ていた中で、世界は構造的に大きな変化を迎えているとして警鐘を鳴らした1人の経営者がいます。
その人モハメド・エラリアンが2010年に行った講演「産業諸国におけるニューノーマルをナビゲートする」の中でニューノーマルっていう言葉が使われて広く知られるようになったんですね。
エラリアンは「この言葉を使うのは、この危機が肉を傷つけただけの傷だという思い込みを超えた議論をするため」「この危機は骨まで断ったのです」と言っていました。
最初のニューノーマル提言からほぼ10年っていうタイミング。
そしてさらに10年後、今回のコロナパンデミックです。
IT業界、金融、不動産業界っていう特定のジャンルがトリガーになったわけじゃなくって、地球規模のコロナウイルス禍。
ニューノーマルが喧伝されるようになりましたねえ。
アフターコロナのニューノーマルは仕事のやり方、投資の考え方とか、そうしたビジネス面での「新しさ」よりも、普通の生活様式、人との関わり方だとか、生き方そのものに関しての「新しさ」
クオリティ・オブ・ライフについての考え方ってことになるんだろうと思われます。
でもですね、なんだかハッキリとはしていない感じですね。
何をどう変えていくべきなのか、具体的なイメージが湧かないです。
3月現在で、出口の見えていないロシアの暴挙も、混乱に拍車をかけている要因になるでしょう。
今の段階でメディアに出てきているニューノーマルは明らかに一過性のものか、そうでなければ過渡期そのものでしかない、具体を伴っていない概念ばかりなように見受けられます。
そりゃまあ、簡単に結論の出るようなものじゃないんでしょうけれどね。
方々に出てきている言葉に「デジタルトランスフォーメーション(DX)」っていうのがあります。
この言葉はコロナパンデミックの前、2004年にスウェーデンの大学教授「エリック・ストルターマン」っていう人が提唱し始めたんだそうで、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」っていう定義らしいです。
今の段階では、そうなるように目指しているっていう感じの仮説、とも言える概念ですね。
ただ、コンピュータの利用方法は確実に人間生活を変えてきていることは事実ですもんね。いろんな人や企業がそれぞれに新たな定義をして、進めていっている段階ですね。
仕事のやり方もテレワークが普通になるだろうし、レジャーの分野でもデジタルレジャーが人々の支持を集めるだろう、とか、ある程度は実現されてきているニューノーマルを喧伝している向きもあるんですけれども、どうもね、世界的にみて、そうできる人もいるだろうけれど、やれない人も相当数に上るだろうことばっかりだなあって感じます。
それとも、今提言されているニューノーマルに日本だけが取り残されているから、そう感じてしまうんでしょうか。
2022年3月23日に「みずほ、GoogleとDX分野で提携」っていうニュースがありました。
DXです。
この時点では具体について何も公表されていませんが、仮説なんじゃないかって思えるDXにみずほさんは何を期待しているんでしょう。
ん~。なにがどう進展していくのかは誰にも見えていない状況でしょうけれど、世の中は金融ばかりで成り立っているわけじゃないのに、どうもね、あらゆるニュースソースが金融、経済の枠に閉じ込められちゃっている感じも受けます。
内閣官房の「ニューノーマル時代のIT の活用に関する懇談会最終報告書」っていうのが公開されていますけれど、2020年時点の内容ですね。
だろうだろうのオンパレード、カタカナばっかりです。
要は個々人でデジタルのリテラシーを持つしか自衛できないっていうのが現状なのかもしれません。
アフターコロナってまだ先でしょうけれど、ニューノーマルに具体性を持たせるべきタイミングは、今、来ているんだと思いますんで、この辺りにはこれからもアンテナを張っておこうと思っているのであります。
でもねえ、カタカナばっかり出てきますよ、ホントに。。。