< 人類は宇宙の4%ほどしか解明できていないし 海のことも5%ほどしか解っていないらしいです >
♪海は広いな大きいな~
ってことで、全ての海はつながっていて、その広さは誰でも認識しているところだと思いますが、海っていうのは深くもあるんですよね。
海の深さっていうのを区分する方法に「漂泳区分帯」っていうのがあって、深さごとに5つに分けられています。
海面から200メートルの深さまでが「海面表層」
有光層っていうふうにも言われている、光合成が可能な太陽光が差し込んで来る領域。
魚介類、海洋植物、海洋動物の大部分がこの領域で生きているそうです。
ま、一般の人が200メートルも潜ることはないでしょうけれど、普通に海って言えばこの「海面表層」のことになるんじゃないでしょうか。
200メートルから1000メートルの深さが「中深層」
この領域にはメカジキ、イカが生きているそうです。
メカジキってまあまあ深いエリアで泳いでいるんですね。あの長い角みたいな上あごって、深い海を泳ぐのにも役立っているんでしょうかね。
1000メートルから3000メートルの深さが「漸深層」
この領域は太陽光が全く届いていない真っ暗闇。
そんな領域に生きているのがアンコウ、そしてダイオウイカ。
マッコウクジラはこの深さまで真っすぐに潜ることがあるんだそうです。
3000メートルから6000メートルまで深くなると「Abyssopelagic」って言って、「底なし」っていう古代ギリシャ語由来の名前が付いていて、日本語だと「深海層」
当たり前のことですが水圧が高くて海水温も冷たいんだそうです。
でも、こんな領域にも生き物がいて、ナマコやウミグモの仲間が生きているみたいです。
この領域の生き物たちには目がないんだそうですよ。
ホントの真っ暗闇の世界ですから、意味がないってことなんでしょうね。
想像を絶する世界です。
そんな「底なし」って言われているような深さからさらに深い6000メートルを超える領域が「超深海層」
「Hadopelagic」っていう名前はギリシャ神話の「ハデス」に由来しているんだそうです。
「ハデス」は冥府の神ですから、「超深海層」って「あの世」ってことですよね。ひょえ~、って思います。
「超深海層」は「海溝」の最深部にしか無いんだそうです。
「海溝」っていうのも聞いたことはありますけど、なんなんでしょ。
「海底が細長い溝状に深くなっている場所」が「海溝」
海の底って大きな凸凹になっているんでしょうから、細長い溝っていってもかなりの広さがあるんでしょうね。
6000メートルを超える深さの領域が「海溝」なのに対して、6000メートルより浅いエリアの同じような細長い溝は「トラフ」っていうんだそうです。
「南海トラフ」ってこれなんですね。
駿河湾沖から遠州灘、熊野灘、紀伊半島沖、土佐湾沖、日向灘まで700キロメートルも日本列島に並行して続いている、深さ4000メートルぐらいの細長い溝が「南海トラフ」
「底なし」って言われる領域の中では比較的浅いんですね。
にしても、デカイ、っていうか長いっていうか。恐ろしい響きにしか聞こえない名前です。「南海トラフ」
地球の中で一番深い海ってどこなんでしょう。
って調べてみましたら、太平洋マリアナ諸島東部の「マリアナ海溝」が世界最深。
ふむ、聞いたことありますね。深さは10928メートル。
11キロメートル弱ですけど実感しにくい深さですね。
エベレストの高さが8849メートルだそうですから、マリアナ海溝はエベレストの1.2倍てことになります。
ん~。エベレストだって登ったことがあるわけもなく、やっぱり実感は湧きませんが、世界最高の山の高さより世界最深の海の方が深いっていうことですね。
主な海溝っていうのは理科年表で16が数えられています。
そのうち13が太平洋、2つが大西洋、1つがインド洋にあります。
まあね、太平洋が一番広い海ですから数が多いのは当然なのかもですけど、海ってかなり凸凹しているんですね。
日本の近辺ですと「伊豆、小笠原海溝」が9801メートル。
「千島、カムチャツカ海溝」が9550メートル。
「日本海溝」が8020メートル。
「琉球海溝」が7507メートル。
4つもありますよ。
エベレストに登るのも大変でしょうけど、海溝に潜るのも大変で、実測されている深さは度々更新されているのが現状みたいです。
例えば「伊豆、小笠原海溝」はこれまで9780メートルが最深部ってされていたんですが、2022年8月13日に、日本の深海調査グループが「リミッティングファクター号」で潜って記録を9801メートルに更新したばかりです。
っていいますか、この記事を書くトリガーになったトピックがこれだったんでした。
東京海洋大学、名古屋大学が中心になって行っている深海調査なんだそうですが、9801メートルまで潜った「リミッティングファクター号」っていう有人潜水艇は、日本製じゃないんですね。
この「リミッティングファクター号」に乗って記録更新をしたのは、名古屋大学大学院の道林克禎教授と退役海軍士官で潜水艇パイロットのヴィクター・ヴェスコヴォさん。
このヴェスコヴォさんっていう人が、まあ、なんて言いますか、タダモノじゃないんですね。
1966年生まれのヴェスコヴォさんは、これまでにエベレストを含む7大陸すべての最高峰に登頂していて、北極点到達、南極点到達っていうとんでもない偉業をやり遂げている探検家。
で、そのヴェスコヴォさんが「リミッティングファクター号」のパイロットを務めるのは、この高性能有人潜水艇がヴェスコヴォさんが作ったものだからなんです。
そうなんです、ヴェスコヴォさんは太平洋、大西洋、インド洋、北極海、南極海の「5大洋最深部」に到達している経験の持ち主。
しかも、この世界的な偉業を2018年12月から2019年8月までの9か月間に成し遂げているんですね。
山も海も制覇。スーパーマン!
2018年12月19日、大西洋のプエルトリコ海溝に「リミッティングファクター号」が2時間半かけて潜っていって8376メートルの地点に到達。単独潜航だそうですよ。
2019年2月5日、南極のサウスサンドウィッチ海溝へ移動した母船の「プレッシャードロップ号」から降ろされた「リミッティングファクター号」
ヴェスコヴォさんは単独で7434メートル地点に到達。
「プレッシャードロップ号」が海底地形マッピングでサウスサンドウィッチ海溝最深部が8266メートルであることを確定。
この最深部への潜航をチャレンジしたかったヴェスコヴォさんでしたが、南極の悪天候により断念。
次に向かったのはインド洋、ジャワ海溝。
2019年4月11日、7192メートル地点に到達。
このジャワ海溝の潜航では深海魚クサウオの新種が発見されて話題になったっていうことなんですが、ん~、記憶にないです。ニュースにはなっていたんでしょうけどねえ。
そしていよいよ太平洋へ移動。
マリアナ海溝への潜航が行われます。
2019年5月7日、ヴェスコヴォさんが単独で操縦する「リミッティングファクター号」は10928メートルの地点に到達。
3時間半かけて潜航。
世界で最も深い10928メートル地点に4時間滞在。
また3時間半かけて浮上。
なんかね、やっぱりスーパーマンです。
「プレッシャードロップ号」は南太平洋、トンガ海溝へ移動。
ヴェスコヴォさんの単独操縦で「リミッティングファクター号」は10823メートル地点に到達。
太平洋では2つ目の潜航ですね。
そして「5大洋最深部」最後の海溝は北極海のモロイ海溝。
2019年8月25日、5550メートル地点に単独潜航で到達。
こういう偉業を成し遂げて、今回、小笠原海溝に「リミッティングファクター号」を潜らせてくれたってことなんですね。
宇宙研究も「アルテミス計画」だとかで盛り上がっていますし、どんどん進展していっていますが、地球最後のフロンティア、海底探査も進化していっているんですね。
精密な海底地図作りは科学者たちの待ち望んでいるものだそうですから、「リミッティングファクター号」をさらに進化させた潜水艇の開発も進められていることと思います。
将来に向けて期待の持てるトピックだったんですが、ヴェスコヴォさんがマリアナ海溝で発見した新種の生物は4つだとされています。
そして新種の生物と同時にマリアナ海溝で「発見」したのが、ビニール袋とキャンディの包み紙。
地球最深部に、既に「プラごみ」があるんですねえ。
エベレストに登ったり、日本海溝に潜ったりは出来ませんが、地球の未来のために、出来ることがありそうですね。
キャンディの銘柄は公表されていないみたいです。