< その形状が「金」の「字」に似ている「塔」だから「金字塔」なんですってさ >
って、いつの時代の訳語なんでしょう。
金の字に似てるって、なんだか大雑把ですよね。金っていう漢字に意味を持たせたんでしょうかね。
いや、日本発祥の言葉じゃなくって、元々は中国語でしょっていう説もあるそうです。
たしかに、中国語でもピラミッドのことは金字塔っていうみたいです。
でもあれですね、今、21世紀の日本で、ピラミッドをわざわざ金字塔って言う人、いませんよね。ピラミッドはピラミッドって言うでしょねえ。
でもまあ、とある人物、あるいは組織が、打ち立てた金字塔っていう表現を見聞きしても違和感なく受け止めて、なにも考えずに分かったような気になっていましたけれど、改めて、金字塔ってなんやねんって聞かれたら、なんでしょねえって言うだけで、ピラミッドだとはちっとも思っていませんでした。
ピラミッドって言えば、日本だと、なんといっても吉村作治さんってことになるでしょうねえ。
エジプト考古学者。
ピラミッドについて、いろんな発見をして、テレビや書籍でピラミッドのミステリーを楽しませてくれたセンセです。
2023年で80歳になられたそうで、2021年から東日本国際大学の総長に就任しているみたいですね。
後継者って言いますか、エジプトの研究を推し進めて、世界中にピラミッドの謎を明らかにしようっていうバリキのある日本人学者って、今、いるんでしょうかね。
ナゾの人工物の代表ですもんね、ピラミッドって。
「春分と秋分の日にのみ、ピラミッドが8面体に見える」
これはギザのクフ王のピラミッドについてのことらしいんですけど、見えるっていうか実際に8面体で、春分の日と秋分の日にはそれが際立って、上空から観察できるってことみたいです。
四角錐の形状をしたクフ王のピラミッドなんですが、その4面のそれぞれが真ん中辺りがへこんでいるように見える写真はいくつか公開されています。
でもねえ、春分の日、秋分の日、に限ってそう見えやすいっていうのは、どうなんでしょうね。
ギザの他の2つのピラミッドには見られない特徴なんだそうですけどね。
建造方法を解明するにあたっての1つのヒントにはなりそうに思えますけど、実は、8面体ってうことに特別な意味があるのかどうか、ちょっとね、想像の及ぶ範囲じゃないです。
「ピラミッドの底面積で、四面の面積を割ると黄金比になる」
「ピラミッドの高さで2辺の和を割ると円周率が出てくる」
そういう精密さで建造された紀元前2500年ごろの人工物、っていうことなんですけど、無限小数なのに精密っていうところが、なんでそう表現されるのか理解できませんです。
1980年ごろだったでしょうか、「ピラミッドパワー」っていうのが流行しましたよね。
それとは関係ないと思いますけど、1989年にフランス、ルーヴル美術館の中庭にガラスのピラミッドが設置されて話題になりました。
ピラミッドの形状そのものにパワーがある、っていうことだったんですけど、いつのまにか話題にも上らなくなっていますね。パワー、どっかいっちゃったんでしょうか。
ピラミッドは王さまのお墓ですって、ずっと言われていて、でも発掘調査がどんどん進むと、いや、ピラミッドはお墓じゃないかもよ、って言われ出しました。
お墓じゃないっていう説が出てきた根拠は、ピラミッド内部で石棺は見つかっているけれど、ミイラが見つかっていないっていうことなんだそうですね。
じゃあさ、お墓じゃなかったら、なに? いったい何のためにこんなでっかいモノを作ったの?
ってことになって、ピラミッドは何のために作られたのかっていう新たなナゾになってるんですよね。
でも、クフ王のピラミッドで見つかった石棺って、蓋も見つかっていないし、埋葬品も見つかっていない。
素人考えでは、そりゃ盗掘にあったからでしょ、って思っちゃいますけどね。
つまり、ピラミッドはやっぱり王さまのお墓でしょ、って思うです。
正式に認められている言い方じゃないそうなんですけど「世界三大墳墓」っていうのがあります。
紀元前2500年ごろのエジプト「クフ王のピラミッド」
紀元前200年ごろの中国「秦始皇帝陵」
5世紀半ばごろの日本「仁徳天皇陵」
その当時の王さまは、生きているうちから自分のお墓を作り始めるらしいんですよね。
いかに自分が偉大な人間であったかを後世の人々に、また、そうした大規模建造物を見せることによって、国の文明の高さを外国に対して示す。
そんなことから、巨大なお墓を作るっていうのは権力者にとって、ごく当たり前のことだったんじゃないでしょうか。
ピラミッド、お墓でしょ!
ピラミッドの外壁は、今の状態じゃなくって、言ってみれが化粧石が前面に貼られていて、一説によれば白く輝いていただろうって言われているんですよね。
風化してなくなってしまった、んじゃなくって、それもやっぱり盗まれたんじゃないでしょうか。
時が過ぎれば、前代の王さまなんて、ちっとも敬わない。
王権が代わってしまえば、権威もなにも、無視されちゃうようなことって、古代だけじゃなくって、わりと近世までどこの国でも続いてきたことですもんね。
あるいは次の王朝の権力者によって破壊、あるいは取り除かれてしまうほど豪華なものだった可能性だってあるかもですよね。
クフ王の石棺の蓋だって、外壁以上に飾り立てられたものだったかもですしね。
埋葬品は文字通り「宝物」でしょうから、現代人にピラミッド自体が「発見」される前に雲散霧消してしまっていることって、普通なんじゃないでしょうか。
浜の真砂は尽きるとも、でしょねえ。
秦始皇帝陵は1974年に発掘調査が始められて「兵馬俑」が発見されていますよね。
でも2022年の時点で、発掘作業は全体の3割ぐらいしか進んでいないんだそうです。
日本の仁徳天皇陵については、発掘調査なんてしてません。
言ってみれば現在も続いている王権のお墓ですからね、王墓の周辺を少しばかり調査しただけで、本格的な発掘調査は「畏れ多い」ってことで、しないんですね。これからもしばらく調査されるようなことはないんでしょう。万世一系だそうですからね。
ピラミッドの発掘調査については、吉村作治さん率いる早稲田大学チームがいろいろと新発見をして、実績を上げていますよね。
中国の調査チームがどういう体制で行っているのか、詳細は分かりませんけれど、エジプトは外国の力も借りて調査を続けているわけです。
ピラミッドの盗掘って言っても、埋葬品は分かるとしても、王さまのミイラまで持ち出しちゃうの?
って気がしないでもないんですけど、ミイラは万能薬として使われていた歴史があるみたいなんですよね。
ミイラそのものを分解して食べる。
エジプトのミイラは、作るときにプロポリスが大量に使われているんだそうで、ミイラ本体っていうより、大量のプロポリスが薬効を示すってことは充分あり得るのかもです。
鎖国状態の江戸時代、日本にもミイラが薬として入って来ていたみたいなんですよ。
貝原益軒が「大和本草」の中でミイラの「効能」について書いています。
当然、長崎の出島経由ってことなんでしょうけれど、オランダ、あるいは中国も、ミイラを薬として認識したっていうことになりそうですね。
ミイラ、薬。ふむむ。
いつの時代からエジプトのミイラが、そんな使われ方をしていたのか分かりませんが、王さまのミイラともなれば、埋葬品に負けないぐらいの値段を付けられそうに思います。
むしろ宝物よりも価値が高かったのかもです。
となれば、王さまのミイラが持ち出されても何の不思議もないですよね。
石棺が見つかっているけれど、その中にあるはずの王さまのミイラがないからお墓じゃないっていう説は、どうもね、説得力がないように思います。
まあね、王さまのミイラが見つかっていなくたって、お墓じゃなくたって、その偉容は変わることはないんですけどね。
なんにしても「金字塔」であることは、永遠に変わることはないでしょねえ。