< 日本では昔から「稲妻」っていって 有り難くも恐ろしい存在として認識されているんですもんね >
気象庁の「落雷害の月別件数」によりますと、日本の落雷は年中発生していますが、その30%が8月に集中しているんですね。
しかも太平洋側で発生しているのが65%っていうことで、地域的にもかなり偏りのあるものなんですね。
2022年の「全国年間雷日数ランキング」っていうデータがありまして、それによりますと、もっともカミナリの発生した日が多かった都道府県は、年間128日の新潟県。
太平洋側で65%だっていうのに、トップは日本海側の新潟県なんですね。
で、第2位が、年間120日で沖縄県。
第3位が、年間119日で北海道になっています。
その年によって違うんだろうなあってことで、他の年のデータを見てみますと、
2021年は、
第1位、新潟県、131日。
第2位、北海道、114日。
第3位、鹿児島県、105日。
2020年は、
第1位、新潟県、133日。
第2位、鹿児島県、129日。
第3位、北海道、119日。
2019年は、
第1位、鹿児島県、124日。
第2位、沖縄県、112日。
第3位、新潟県、102日。
2018年は、
第1位、沖縄県、119日。
第2位、新潟県、118日。
第3位、鹿児島県、111日。
この5年のデータだけを見ますと、カミナリの多い地域って、ほぼ固定されているみたいですね。
北海道、新潟県、鹿児島県、沖縄県。ほぼこの4道県です。
ただですね、落雷発生日の数がこうだったとして、4道県の面積。かなり違いますよ。
北海道は8万3450平方キロメートル。
新潟県は1万2580平方キロメートル。
鹿児島県は9187平方キロメートル。
沖縄県は2281平方キロメートル。
同一面積で比較するとなると、沖縄県のカミナリ発生は、北海道の37倍ってことになっちゃいますですねえ。
台風の通り道ですからね、沖縄県、鹿児島県はカミナリ県って言えるのかもしれません。
でもねえ、あんまり気持ちのイイことじゃないでしょねえ。
逆に北海道の人たちは、カミナリの発生が多いんですよって言われても、ああ、広いからねえってな感じで、余裕かもしれません。
古くからの米どころ新潟県と、最近売り出し中の米どころ北海道にカミナリが多いっていうことは、「稲妻」っていう言葉を思い起こさせますね。
日本でカミナリ発生が多いっていう8月。稲の穂が膨らみ始める季節です。
雨の恵みも必要でしょうけれど、稲が実を付ける、妊娠するのに必要なのがカミナリ。っていうのは古代日本の信仰だったそうですよ。
それで、カミナリは「稲妻」なんですね。
尤も、「妻」っていう女性を表す漢字をあてているのは、わりと現代に近い時代からだそうなんですね。
古代の日本では、恋人同士、夫婦のあいだでは、相手のことは男女の別なく「つま」って呼んでいたらしいんですよ。
どう考えても稲の穂が妊娠するんだっていう発想からすれば、カミナリは男の役割りですもんね。
「稲夫」って書いて「いなづま」って言っていたんでしょう。
で、だんだんに「つま」っていう発音は「妻」っていう女性のことを指すようになっていって「稲妻」になったんでしょねえ。知らんけど。
カミナリを「いかづち」「いかずち」とも呼んで、恐ろしい霊的なものっていう捉え方もしていた古代の日本人。
恐ろしいけれども、稲を実らせてくれる。
荒ぶる神っていうやつの代表的なものだったのかもしれません。
カミナリさま、って言って、サマを付ける風習は今でも続いていますもんね。
「カミナリを まねて腹掛け やっとさせ」
っていう有名な川柳があります。
カミナリさまに、へそを取られちゃうぞおっていう風習、なんなんでしょう。
どうやらですね、それは「菅原道真(845~903)」らしいです。
政争に敗れた菅原道真は901年、太宰府に流刑になってしまいます。
2年後、ほぼ飢え死にしてしまったって言われているんですよね。
無念の死を遂げた菅原道真は、その恨みから都に祟りをなして、政敵たちが次々に、病死、事故死して、930年には清涼殿に落雷があって大勢の死傷者を出したっていう伝説がありますよね。
この時の落雷がもとで、醍醐天皇も崩御されています。
菅原道真の祟りだっていうのが伝説ですが、たくさんの人死にが出ているのは事実なんですよね。
なんと恐ろしいことか。
947年、菅原道真は、京都市の北野天満宮に天神様として祀られたんですよね。
学問の神さまでもありますけれども、雷神、カミナリさまでもあるわけです。
でも、なんでへそを狙うんでしょ。
カミナリの多い夏場に、子どもが腹を冷やさないように、怖いカミナリさまがおへそを取りに来ちゃうからって言いながら、無理にでも腹掛けをさせるっていう庶民の知恵、民間風習の方が先にあって、天神様は後付け、なのかもですけどね。
へそとカミナリの関係は、なんだかよく分かりませんが、カミナリの研究っていうのも、まだ解明されていないことが多いらしいですね。
カミナリの電圧は200万ボルトから10億ボルト。
電流は1000アンペアから50万アンペア。
もの凄い幅があるんですね。
なんにしてもバカデカイ数値で、これが一瞬で起きる現象なわけですから、研究っていっても、簡単なことじゃないですよね。
ピカッと光って、ドドーン! と来るわけですが、光は一瞬で目に届きますけれど、音は秒速340メートルで遅れてきます。
ピカッていうのを感じてからドッカーン! ズドドドッ! っていう音が聞こえるまでに3秒だったとすると、その時自分のいる場所から、3秒 × 340メートルで、約1キロメートルしか離れていないところに落雷したっていう計算になります。
そんな近い場所にカミナリが落ちたとすると、なにかしら身近な場所に火災の発生だとかの影響があるかもしれません。
やたらにカミナリの鳴っている時は、光から音までの時間差を腹の中で数えておく、っていうのも心がけておいた方がイイでしょねえ。
カミナリは、雲から地上へ落ちてくるものだけじゃなくって、雲から雲へ、空の上でゴロゴロと横滑りしていくカミナリもありますよね。春先に多いでしょか。
さらにはですね、なんと、宇宙空間へ飛び出していくカミナリ「ブルージェット(超高層雷放電)」ってうのも観測されているんですね。
カミナリを発生させる雲の下の方にマイナスの電荷が溜まって、それが地上のプラス電荷をめがけて落ちてくるのがカミナリだっていうことだったですよね。たしかね。
っていうことは、雲の上の方はプラスの電荷が集まっているはずです。
いわゆるカミナリ雲から宇宙空間へ向けて放電している現象っていうのは、まったく別のカミナリシステムっていうのがあるのかもしれません。
なにせ地上からは観測できないわけですから、まだまだ、ナゾ、があるんでしょうね。
カミナリの不思議っていう点では、2023年の春に、カミナリの化石とでも言うべき「フルグライト(閃電岩)」の中から、地球に存在しない鉱物がフロリダで発見されたっていうニュースがありました。
カミナリの化石!?
フルグライトっていう言葉さえ聞いたことがありませんでしたけれど、ホント、いろいろあるんですねえ。
カミナリの化石、フルグライトは砂漠地帯で見つかることが多いんだそうです。
石英を多く含んだ砂漠の砂にカミナリが落ちて、二酸化ケイ素を多く含んだガラス状の鉱物が出来ちゃう。
それがフルブライト。
成分はまだ調査中なんだそうですけれど、フロリダのフルブライトは樹木の根っこに蓄積していた鉄分の反応もあって、特殊。
発見されているのは、地球にはない成分ッ!
隕石だとかに、似たような成分が見つかることがあるそうで、カミナリのパワーと、小惑星同士の衝突のエネルギーの相似性も視野に入れて、まだまだ研究を進めていく必要があるんだそうですよ。
原始の海にめっちゃたくさんのカミナリが落ちたことは間違いないんでしょうから、その圧倒的な一瞬のパワーによって、無生物の世界に生命を誕生させるチカラっていうのが、あるのかも、っていう声も出ているみたいです。
研究者のセンセ方。ちゃんと腹掛けをしたうえで、天神様にお伺いをたててみるのも、ひとつのテかと。。。
カミナリって不思議ですよね。
人類と電気の出会い、なのかもですしねえ。