ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【SNS疲れ】盛るわ盛られるわ そらええわ 映えるカワイイやり合ってたら そら疲れるわ

< Z世代って言われる若者たちも 気が付いてみればそろそろ社会の中堅に差し掛かってますね >

まあまあ中堅規模の大きさの居酒屋さんなんですけど、カウンター席の背中側、一番奥まった4人がけテーブルに壮年の女性1人と、若い派手ハデな女性が2人。なにやらスマホでの撮影大会状態になっておりました。


ちょうど斜めに見える位置のカウンターに座っていたんですが、レインボーカラーのロングヘア、真っ赤なホットパンツ姿の若い女の子が椅子の上に立ちあがって、正面の金髪、ひらひらピンクドレスの女の子を撮影しているんですね。


壮年の女性は、こちら側に背を向けて、なにやら細かく指示している様子。
黒髪のショートカットでベージュのパンツスーツ姿ですね。


夜の10時を回った時間帯で、店内はそこそこの混み具合。ガヤガヤしているんでどんな指示をしているのかは聞こえません。
3人とも中肉中背。


金髪の女の子は胸の前にフローズンストロベリーサワーのグラスを両手で握りしめて、少し口を開けてニッコリ。


この居酒屋さんは、フローズンフルーツのサワーシリーズっていうのをやっていて、イチゴだけじゃなくってオレンジ、グレープフルーツ、マスカットだとか、凍らせたフルーツにリキュールと炭酸水。


大きめのグラスで色合いがキレイなんで女性に人気のメニューだっていうのは、この店に来ている人であれば周知の事実。ではあるんですが、こんなに本格的に撮影会をしているのは初めて見ましたです。

 

 

 


ガタガタと椅子を動かしているような音がしばらくしていましたが、まあね、ジロジロ見るようなことでもありませんからね、カウンターから厨房の仕事ぶりを眺めながら黒糖です。


「れんと」ですねえ。
ブルーの一升瓶。音響熟成っていうんですけど、クラシックを聞いて熟成するんだそうですよ。
フローズンなんとやらは、いかないっす。


と、その金髪の女の子が脇に並び立って、

 

「マスター、どうもお騒がせしましたあ。またゆっくり来ますねえ」


「イイ写真撮れたの?」


「はあい、谷間ドレス着ているうちにと思ったんで、バッチリですよ。これからお客さんにバシバシ送りますう。じゃあ、またあ」


ショッキングピンクのドレスをひらひらさせながら、3人とも店内全体に笑顔でペコペコしながら愛想よくご退場になりました。


谷間ドレス? なんなん?
でもしゃべり方はハキハキしていて、真面目なトーンでした。


いろんな色彩がわしゃわしゃと店の外へ出て行くのを、目線で見送って、カウンターの中に戻すと、目が合ったマスターがニコニコと説明してくれました。


「この通りのちょっと先にあるミニキャバクラ。行ったことあります?」


うんにゃ、ございませんです。興味もご合いません。っていうか、ミニキャバクラとかって、あんの?


「小さい店らしくって、スーツの人が経営者。女の子が10人ぐらいって言ってましたかね。客の囲い込みでLINEとかInstagramとか、ほら、映えるってやつの撮影なんですよ。ときどきここでやってんです。いろいろ制限なくなったんで張り切ってるみたいで。今度行ってあげてくださいよ」


うんにゃ、行かないってば。

でもまあ、なるほど。自分のお客さんに、また来てねアピールの写真を送るんですねえ。営業のお仕事中ってことだったんですねえ。谷間ドレスねえ。


酔っぱらっているようには見えませんでしたが、水商売っていうのもなかなか大変ですねえ、って思いました。

 

 

 


ん? 今、水商売なんて言わないんでしょうかね。


でもまあ、通じることは通じるでしょう。
お水の花道」っていうのがありましたね。


1997年から2002年までマンガ雑誌で連載された作品で、1999年にはテレビドラマ「お水の花道 女30歳ガケップチ」2001年「新・お水の花道」が放送されています。
小説も出ているみたいですからね、「お水の花道」ってZ世代のど真ん中じゃないでしょうか。


キャバクラっていう営業形態が出てきたのは1980年代の半ばだそうです。ミニキャバクラっていうのも同じころに出来たんでしょうかね。


スナック、クラブと違って料金が時間制っていうのが特徴なんだそうですよ。


行ったことがありませんので詳しく知りませんが「キャバ嬢」っていう単語は、いろんなシチュエーションでよく聞きます。


オヤジばっかりじゃなくって、年若い男子たちにもけっこうファンがいるみたいです。


焼き鳥屋さんで隣り合った女の子から「あたしキャバなんです」って言われてこともあります。


Z世代のキャバ嬢はSNS使いなんですよね。
ずっとスマホを手離しません。


ま、Z世代じゃなくたって、今の時代、SNSを使いこなせないとお水の花道、歩けないのかもですけどね。


「映える」っていうことが大事みたいで、居酒屋で撮影会をしていたキャバ嬢たちも、いかに映えさせるかをいろいろ工夫していたんでしょうね。


自分を指名してくれるお客さんが、しょうっちゅう来てくれるようにアピール写真。


メールに写真を添付するっていう方法もあるんでしょうけど、もっぱら、Instagram、LINE、Twitterなんでしょうね。


SNSは、お水の人たちにとって、便利必須な営業ツールですってことでしょねえ。

 

 

インスタ映え」っていう言葉は、Instagramとかやっていなくたって知ってますよね。


顧客の囲い込みがダイレクトに個人の収益に結び付くシステムのキャバクラではとくに、その使い方の巧さが直接生活レベルにつながりそうですもんね。


もちろん水商売以外のユーザー、圧倒的に女性だと思うんですけど「映える」ってことにこだわった「撮影術」あるいは「盛る」っていう加工技術が大流行りです。


コロナ前の2018年、三省堂の「新語大賞」が「映える」でした。


コロナパンデミックがなかったら、また別のムーブメントがあったのかもしれませんが、この時が「映える」のピークだったんですかねえ。


同じ年、2018年の「大辞泉が選ぶ新語大賞」に選ばれたのは「空白恐怖症」でした。


予定表が埋まっていないことに恐怖を覚えるってう「空白恐怖症」もまたZ世代の特徴として捉えることが出来るのかもしれません。


スケジュール表が埋まっていないことを気にするのは、水商売の人ばかりじゃなくって、それ以外の仕事の人の方に強く表れやすい心理なんじゃないかっていう気もします。


スケジュールの空白を埋めようとして、何かしらの誘いかけを仲間に発信する場合に、どうしても「映える」「盛る」っていうことに流れていくっていう世の趨勢。
それがずっと続いていたんですよね。


「映える」「盛る」っていう技術は、キャバ嬢にとっては商売道具、個人こじんにとっての必要なスキルっていうことになるのかもですけど、顧客の囲い込みとかを目的とするんじゃなくって、仲間内のコミュニケーションに使っている学生やら勤め人たちにとっては、本来、そうしなければならない理由なんてないですよね。


「盛る」アプリで顔のパーツを変化させたりするのは、面白くはあっても、いつも同じじゃ飽きちゃいます。
一過性の楽しさでしょうし、加工された「映え」を演出するのって、結局、長くやり続ければ疲れるんだと思いますね。


でもなんだか、日本では特になのかもですけど、「映えさせる」「盛る」っていうことをするのが当たり前。


だって、みんなやってるから。


「映える」っていうのは、そんな集団ヒステリー的なコミュニケーションになってしまっていた部分があるのかもしれません。


で、コロナ禍の生活になって、ふと、集団ヒステリーから解き放たれた。強制的にね。
楽しかったはずのSNSに、実は疲労を感じていた自分に気が付いた。


自分だけかと思ったら、つながっていた仲間たちのほとんどが同じ思いだった。


水商売の女性たちは、お客さんに楽しい酒の時間を提供するプロです。「感情労働」っていう表現もあるぐらいですからね。
自分を「盛る」っていう演出は、客の好みのイイ女であることを見せる「仕事」なんですよね。


仲間同士のコミュニケーションに本来は不必要なものかもね、って、2023年になってトレンドに変化が出てきたみたいなんですね。


日本よりもヨーロッパ、アメリカで先行している、SNSアプリ「BeReal」

 

2020年、フランス発のアプリだそうですけど、2022年に入ってからダウンロード数が急増しているんだそうです。


名前の通り、リアルでいきましょう、っていう使い方。


登録すると、1日に1回、ランダムな時間にアプリからの通知が来ます。
通知を受け取った人は、2分以内に、自分の身の周りの「何か」を撮影、投稿しなくてはなりません。


そこにゲーム性があるんでしょうけれど、2分っていう時間制限がありますんで、「映え」を気にしたり「盛る」なんていう加工も出来ませんよね。
それが「BeReal」ってことなんでしょう。


で、2分以内にその場の身の回りのものの写真を撮ると、同時にセルフィ―側の写真も撮られて、その両方が1枚の写真として投稿されるって仕組みだそうです。


仲間内だけに公開、っていう設定で遊ぶのが定番ってことになるでしょうけれど、今、オレ、こんなだよ。あたし今、これ食べてる。それと、それを撮っている今の自分の顔っていうリアル。

 

 

 


2022年の後半ぐらいから日本でも広まって来ているらしいですから、もう使っている人もいるでしょうね。


個人的に「BeReal」をお勧め、ってことでは全然ないんですけど、SNSとの関わり方に大きな変化をもたらす可能性のあるアプリではあると思います。


なにせZ世代のアンテナはデジタルに長けていますからね。


日本でもコア世代になってきているわけですから、Z世代がSNSで疲れちゃうっていうのは、損失ですもんね。
元気でやっていっていただきたいです。


キャバ嬢のみなさんも、元気に「映えスキル」を伸ばして、お客さんをしっかり捉まえて、お水の花道まっしぐらしてくださいませえ。


繰り返しますが、「BeReal」をお勧めしているわけではございません。
もちろん否定しているのでもないのです。


他人に合わせて疲れるより、この記事が自分をもっと大切に考えるきっかけになればと思うだけであります。

 

Z世代以外の人もですね。

 

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