< 疲れた日本のオトナたちを「元気100倍アンパンマン」にしてくれる 激しく涙腺刺激の2つの歌 >
散歩コースの閑静な住宅街。とあるご立派な一軒家はたっぷりの緑で周りを囲っています。
薔薇の葉でびっしり覆われたアーチ形の門のテッペンには大きな「アンパンマン」の顔。
花の季節にはバラの花に囲まれた笑顔のアンパンマンが見えます。
どこで売っているのか分かりませんが、直径60、70cmぐらいありそうな、ま~るい笑顔。
昼にしか通りかかりませんので夜の様子は分からないんですけど、アンパンマンの顔は点灯するのかもしれない気配があります。根拠ないですけどね。
門の下からは芝生の中を正方形のブロック石がくねりながら点々と奥へ延びていて、その両脇にもさまざまな種類の庭樹や草花が繁っています。
手入れが大変だろうなあって思いますけど、とにかく緑に囲まれているアンパンマン屋敷。
あふれる緑は表通りからの目隠しの意味もあるんだろうなあと思いながら、通るときはアンパンマンに「よおっ」って心の中で声をかけながら通り過ぎていました。
で、ついこの前通りかかりますと、そのアンパンマン屋敷に造園屋さん、庭師が3人ほど入っておりまして、パチパチと好い音をさせながら作業中。
揃えるっていうか、ずいぶん大胆に緑をカットしておりまして、目隠しの役目を果たしていた庭樹や草花がスカッとなっちゃって、なんとお屋敷の一部が見えちゃってます。縁側の大きな窓が見えるんでありました。
いや、あのね、それだけだったら別になんてことはない、ちょっとだけ正体を現したアンパンマン屋敷ってだけなんですけど、そのね、縁側の大きな窓には、なんと3人もアンパンマンが立っていたのでありますよ。
顔だけじゃなくって全身の「アンパンマン」
真ん中のアンパンマンは1m50ぐらいはあるんじゃないでしょうか。大きいアンパンマン。
そのりょうわきのアンパンマンはその半分くらいの背の高さ。それでも充分に大きいですけどね。
それぞれ違うポーズを決めていて、窓の外にニコニコした正義の目を見張っています。
庭師さんたちもアンパンマンたちに見られながら作業するのは、ちょっといつもと違ってやりにくかったりしていたのかもです。知らんけど。
しかしですね、チラッと見ただけですけど顔が1つと3人のアンパンマンたちです。
建物の中にはもっとたくさんいるのかもですよねえ。アンパンマンたち。
そのお屋敷にはどういう年齢層の人たちが暮らしておられるのか、もちろん知りませんが、3人のアンパンマンが窓の外を向いているっていうことは、お孫さんを迎える体制なんじゃないだろうかって考えられますよね。
アンパンマンのファンがお屋敷の中に居るんだとすれば、縁側の窓に外向きに並べたりしないんじゃないでしょうか。
それともその日の庭師さんたちから、家の中を目隠しする意図?
いやあ、違うでしょねえって勝手に妄想します。
たぶんですね、その家には若いお祖父さんお祖母さんが住んでいて、何人でしょうか、お孫さんがいますね。
3人か4人ぐらいでしょうか。
お孫さんたちみんな同じぐらいの年頃で、そんでもってみんながアンパンマンが大好き。
そうなりますとお祖父さんお祖母さん、はりきって揃えちゃいそうですよね。大小さまざまなアンパンマン。
アニメを含めた商品としてのアンパンマンのメインターゲットは2才から3才ぐらいなんでしょうね。
あの丸い顔は就学前の子どもたちには安心感を与えるんだそうでして、アンパンマンが嫌いっていう子どもはほぼいないんだそうです。
日本のおチビちゃんたちが最初に認識するヒーローキャラクターこそがアンパンマンなのかもしれません。
そして5才ぐらいになると、子どもたちはアンパンマンから卒業していくっていう分析があります。
なんにしても、日本人に一番認知されているヒーローってことになるんじゃないでしょうか。
テレビアニメのスタートは1988年だそうですから、アンパンマンの第1世代は2024年時点で30代半ばになっているってことですね。
ただ、認知度の年齢幅はもっとかなり広がりますよね。
未就学児と一緒にアンパンマンのアニメを見る親御さんがいますし、アンパンマンが大好きなお孫さんを可愛がるお祖父さんお祖母さんも、アニメは見ないかもしれないですが、おもちゃ売り場でしっかり認識することになりますもんね。
そうした親子3世代の年代から外れている大人たちで、アニメを見ていない年代の人たちでも、ほぼ全世代の日本人がアンパンマンを知っているように思います。
かくいうワタクシも、家族の連関とかありませんけど知っているでありますよ。
最初にアンパンマンを知ったのは、歯医者の待合室に置いてあった絵本でした。
アニメの始まっていない頃。
1968年に初登場したアンパンマンは人間の姿をしていたらしいですね。
歯医者で見たのは今のアンパンマンの姿でしたから、それは1973年、フレーベル館から出された絵本だったんだろうって思います。
1973年に出版されたばかりの、新品の絵本を見たっていうんじゃなくって、もうだいぶくたびれていた絵本を見たんですね。
いつ見たのか。それは覚えていませんが、もうアニメが始まっていた頃のような気がします。
1988年から2000年頃だったでしょうか。ワタクシはもうすっかりオトナになっていましたです。
アニメを見てはいませんけれども絵本によってアンパンマンを認識してはいたわけです。
で、その頃はテレビを持っておりまして、やがて何かの時にアンパンマンを見る機会がやって来ました。
アニメのオープニングが流れ始めて、ちょっとビックリした記憶があります。
歌詞にです。
アニメ「それいけ!アンパンマン」のオープニングソングは「アンパンマンのマーチ」でしたね。
知ってますよね。いまでも放送している「それいけ!アンパンマン」
自然に歌える人も多いんだろうと思います。
♪そうだ うれしいんだ
♪生きるよろこび
♪たとえ 胸の傷がいたんでも
ええ~!? って思いました。
アンパンマンを夢中になって見ているであろう未就学児にとって、意味の通じる歌詞なんでしょか?
ところが「アンパンマンのマーチ」は、さらに深い歌詞を展開していきます。
♪なんのために生まれて
♪なにをして生きるのか
♪こたえられないなんて
♪そんなのは いやだ
どっひゃあ! です。
こんな歌詞って、未就学児どころか小学校の高学年、いや、中学生にだって意味が通じないんじゃないの、ってそのころすっかりオトナのワタクシは思ったんでした。
深い! 深過ぎでしょ、アンパンマン!
ところが、それから間もなくの夕方でした。
近所のスーパー近くの歩道をお母さんに手を引かれて、ようやく歩き始めたくらいの足取り、2才になったかならないかの女の子が、声高く真剣な表情で歌いながら通り過ぎてきました。
♪そうら うれしいんら
♪いきるよころび
女の子は口が早いっていうのもあるかもですけど、子どもはあっという間に覚えちゃうんですね。
意味がどうのっていうことじゃなくって、自分のものにしているってことなんでしょうね。
あの時の女の子もやがて「アンパンマン」を卒業して、なんでしょうか、プリキュアとか、そういうのに移行していったんでしょうかね。
そして今は、バリバリに働いている頃でしょうか。
小さいころにアンパンマンを見て育った世代の女性が、生活の忙しさの中で、ふと立ち止まった時「アンパンマンのマーチ」が天から降って来て、号泣したっていう話を聞きました。
今の日本社会は、かなり安定しているような職場環境でも、突然ブラックな日々が訪れることが珍しくなくなっているような感じがあります。
たとえば、突然決まった定率減税経理処理の膨大な手間と時間のなさに絶望を感じている担当者も少なくないそうです。
一瞬で職場環境がブラックになってしまった経理部署。
とんでもないボリュームの事務処理と、さっさと終わらせなければいけないっていうプレッシャー。
始発で出勤、帰りは最終。土日返上とかで、そんな生活が2週間も続くと、自分のしていることが、一瞬、理解できなくなってしまう。
認証不正問題なんかですと、ラインが止まって働けなくなるっていう人たちと、全く正反対に是正改正に向けて夜も寝ないで、汗と涙で、早急な解決策を策定している人たちもいるんですよね。
サイバー攻撃を受けたり、通信障害なんていうのが突然発生しますと、復旧するまで作業を中断することなんてできませんね。
規模にもよりますが復旧に駆り出される人員は相当な数になります。
ハードウェア、ソフトウェアの修繕、交換。社内の言い訳文書作成。これが意味なく膨大な作業になったりするんですよね。
ライフラインに関わるような障害であれば、復旧作業だけじゃなく、官庁対応、メディア対応なんかも出てきます。関係部署は突然、まさに言葉通りの社畜のごとく休みもなく働かないといけなくなっちゃいます。
男性はヒゲがどうのとか、女性はメイクがどうのとか、言っていられない状況になっちゃうですよねえ。
緊急事態。突然のブラック化。
肉体的疲労感もさることながら、精神的プレッシャーも相当なものです。
マジメな性格の女性は、とにかくなりふりかまわず、こなさなければならない作業に没頭します。
肉体的、精神的疲労が閾値を越えると、あれ? 自分、なにしてんだろ? っていう瞬間が訪れるでしょねえ。
なんなの、自分?
そこへ降って来るのが「アンパンマンのマーチ」
ちっちゃな子どもの頃、意味を理解して歌っていたわけじゃないけど、記憶の中で熟成されていた歌か、突然、歌詞が全理解状態で降って来る。アンパンマンの顔が浮かんでくる。
♪そうだ うれしいんだ
♪生きるよろこび
♪たとえ 胸の傷がいたんでも
「よころび」じゃなくって、ちゃんと「よろこび」って歌えるようになったのはいつ頃だったろうか。
笑っているあの頃の自分が、そこにいるのが感じられる。
♪なんのために生まれて
♪なにをして生きるのか
♪こたえられないなんて
♪そんなのは いやだ
意味がしっかり伝わって来ます。
くっ! ってなります。
突然ブラック環境に放り込まれちゃうのは、なにも女性だけじゃありませんし、「アンパンマンのマーチ」を聞いて号泣しているのは男性も同じなんだと思います。
ただ言わないだけ。
♪ああ アンパンマン
♪やさしい君は
♪いけ! みんなの夢 まもるため
仕事環境の中だけじゃなくって、こういうケースもあるんだそうです。
母娘2代のアンパンマンファン。
1才を過ぎたばかりの娘がいつまでも泣き止まず、原因不明。
ミルクもおむつも問題ナシ。
やさしく抱きしめても泣きじゃくって止まらない。
心配だけれど手立てがない。
お母さんも泣きたくなってきちゃう。
ようやくなだめて、眠らせて、スヤスヤ寝ている娘の顔見ながら、あ、なんか自分、独りなんだなあっていう空気感にとらわれてしまう。
そんな時、いつも娘と歌っていたあの歌が突然降って来て、いつもは歌詞の意味なんて意識しないで、ただ娘に合わせて歌っていただけだったのに、言葉の意味として、突然伝わって来て、心にしみて、大泣きしちゃった。
それはエンディング曲の「アンパンマンたいそう」
♪もし自信をなくして
♪くじけそうになったら
♪イイことだけ イイことだけ 思い出せ
曲もイイんですよね。
やっぱりアンパンマンを知っていればこそ、見ていたからこそ、心の奥深くしみてくるんでしょねえ。
♪アンパンマンは君さ 元気を出して
♪アンパンマンは君さ 力のかぎり
♪ほらきらめくよ 君はやさしいヒーローさ
ちっちゃい子どもの頃。誰もがみんな元気でしたよね。
しみて来て、泣きだしちゃうと、ちょっとじゃなくって、けっこう大泣きしちゃう。
涙って「情動性分泌物」なんだそうですよね。
泣くっていうこういは、エンドルフィンを放出して精神を落ち着かせるし、流される涙には体内の毒素も含まれていて、苦しさを和らげる効果がある。
副交感神経を優位にする効果もあって、リラックスさせてくれる。
つまり、ストレス解消の効果は抜群なんですね。
なにもアンパンマンじゃなくたってイイんでしょうけど、大泣きできる「ワザ」を持っておくのは、自己防衛につながるってことでしょねえ。
♪もし自信をなくして
♪くじけそうになったら
♪イイことだけ イイことだけ 思い出せ
♪そうだ うれしいんだ
♪生きるよろこび
♪たとえ 胸の傷がいたんでも
アンパンマンはみんなの心の中にいる正真正銘のヒーローだったんですねえ。
ちなみにアンパンマンの餡は「つぶ餡」だそうです。
オトナになってしまった子どもたちよ、大泣きしてストレス解消して、しなやかに生きていきましょうねえ。
バイバイキーン!
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