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【扇子】と【団扇】の使い分け 扇子は日本発祥の凄いヤツです 「吹けよ風 呼べよ嵐」

< 扇子は持ち歩いて出先でそよそよ 団扇は家の中でバッサバッサ >

とある晴れた夏の日の昼下がり。とある駅の小さなロータリー。


一台の黄色いスクールバスがやってきて、中から30人ほどでしょうか、小学校の3年生か4年生と思しき制服姿の男女の一団が降りてきました。
今どき、制服姿の小学生の群れ。


これがなんとも不可思議な光景だったのは、その子供たちは全員が手に手に真っ白い扇子をもってパタパタ扇ぎながらワイワイと楽しそうにはしゃいでいることでした。


ちょっと想像してみてください。
どこの学校なのかは知りませんが、男女ともお揃いの白い制帽、夏服半袖シャツ、男児は紺色のパンツ、女児は紺色のスカート姿で、白い扇子をパタパタやっているんですよ。みんなで。


そのうち引率の先生が降りてきて点呼を取り始めて、白いパタパタは止んでしまいましたので、横目にしながらもその場を離れました。


クラス単位の工場見学とか、その帰りにぶつかったのかもしれません。まだその場に留まっていれば、2台目3代目のバスが来たのかもしれません。


何に対しての強いインパクトといいますか、違和感を感じたのか考えてみますと、いくつか思い付きます。


私立校なんでしょうけれども、制服と扇子、というバランスの悪さ。
そして、子供たちの使っていた扇子がみな一様に真っ白だったこと。


もちろん、近くでまじまじと見てみれば、透かし模様があったりとかするのかもしれませんが、いかにも正規品ではありませんよ、と主張しているかのような不愛想な白い紙に見えました。


それになんといってもですね、今どきの子供たちと扇子という組み合わせです。
なあんかね、似合わないですよ。
使ってワルイ、とかそういうことじゃないですけれどね。


でもあれですかね、これって、今どきの子供に扇子が似合わないっていうんじゃなくって、そもそも小さな子供には似合わないってことなんでしょうかね。


夏の暑い時期に、じっとして自然の風を待っていても埒が明かないので、自力で風を起こそうっていうんで、団扇、扇子に頼るしかない時代があって、やがて扇風機って電気時代がやってきてですね、やがて温度調節なんかロクにできなかったけどクーラーの時代があって、今やどこでも、もれなくエアコンですよ。ね。


エアーをコントロールしちゃうっていうエアコンです。今の小学生たちって100%エアコン世代ですよね。
自力で風を吹かせようなんて、自然の風にあたろうなんて、思いつきもしない。


そういう世代が、全員で白い扇子をパタパタやっている。そういう違和感だったのかもしれません。

 

 

 


そんなことを考えているうちに、扇子ってかなり不思議な道具だなって思えてきました。


折りたたみできるんですよ。しかも、何回やってもしっかり開くし、ちゃんと閉じる。
単純なようでいて、なかなかに複雑な折りたたみノウハウがあるのかもです。


身近なもので考えますと、扇子以外だと、ベビーカーと傘ぐらいじゃないでしょうか。


ベビーカーも傘も、折りたためないものもありますよね。扇子はどうかと考えますと「団扇」っていうのがありますね。折りたためないヤツ。


ベビーカーは赤ちゃんを連れての移動に必要な道具で、電車に乗ったりすると乗客スペースの問題もあるし、座席に座れたりするときには、赤ちゃんを直接抱きますもんね。そんな時には省スペースにしたいということから折りたためるように改良されていったんでしょうかね。


傘は、一時雨っていう予報に備えて、長い傘を持ち歩くのは面倒だし、結局降らないってこともけっこうあって、なんだかなあっていうことにならないように、カバンの中に入れて置けるように開発されたんだろうと思いますね。


最近はどんどん小さくなっていますよね。折りたたみ傘。
普通に降ってきたらぬれるやんっ! ってぐらい小さい折りたたみ傘。


で、扇子はなんだって折りたためる必要があったんでしょうかね。団扇があるのに。


団扇ってまあ、そんなに大きなものでは無いですよね。


例えば、夏の浴衣には断然、団扇です。白地の花柄浴衣に、赤い下駄、腰の帯にはお尻側に団扇を差し込んでっていう、いわば、夏のいなせなオネエチャンって、定番ですよね。
絵や写真にもなっています。


浴衣に扇子は、なんだかねえ、似合いません。


じゃあ、団扇でイイじゃん。

 

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いやいや、浴衣で出かけるのって花火大会とか、限られた時と場所でしょ。何処へ出かけるのにも団扇っていうのは、持ち歩けませんよ。ってことなんでしょうか。


そもそも団扇と扇子ってどっちが最初?
そりゃまあ、団扇でしょうねえ。って根拠なく思いながらも調べてみますと、やっぱり団扇の方が古いみたいです。


団扇って弥生時代からあるらしいんですね。ま、紙なんてないでしょうから形状は今と違うんでしょうけれどね。


そっか、そういえば「西遊記」に出てきた「芭蕉扇」っていうのがありました。羅刹女のアイテム。
西遊記自体は16世紀ごろの成立らしいですが、中国にも古代から団扇ってものがあったんでしょうね。


芭蕉扇は涼むために自分を扇ぐものじゃないですけれど、日本では遺跡から見つかるっていう木製の団扇っていうのがあるそうです。


しかしまあ、日本は弥生時代から暑かったんですねえ。
って思ったら、最初は自分をあおぐための道具ってわけじゃなかったらしいです。


一般の用途としては、ハエだとか蚊だとかの虫を「打ち」「払う」ものとして木製だったり、羽を使ったものだったりしたみたいです。で、「打ち羽(うちわ)」っていう名前。だったろうってハナシ。


打ち払う対象は、虫に限らなくって、疫病や敵を打ち払うっていうことにも使われていて、軍配っていうもののルーツも打ち羽ってことなんですね。


諸葛孔明さんのイラストによく出てくるのは、羽を束ねて持ち手を付けた軍配ですよね。あれって打ち羽ってことになりますよね。
それ! 敵を打ち払え! っていう号令のウチワ。


ん? でも、今現在のうちわって「団扇」って書きますよね。「打羽」じゃないです。

 

なんで?

 

 

 


そもそも「団扇」っていう漢字を「うちわ」って読むの、無理がありますね。


こういうのって「熟字訓(じゅくじくん)」ってやつで、1字1字の漢字に対して読みを当てはめるんじゃなくって、熟字単位に対して読みをあてた使い方なんですね。


「熟字訓」っていうことを知らなくたって、普通に使ってはいるんですね。
「昨日」「今日」「明日」は「きのう」「きょう」「あした」って読んでいますけれど、1字ごとの漢字の読みでは、そうは読めない読み方です。熟字訓です。


「さくじつ」「こんにち」「みょうにち」という読み方もしますね。日本語の難しいと言われる部分かもしれません。


さらには「今日」という漢字表記は「きょう」と読めば「本日」という意味合いになって、「こんにち」と読んだ場合は時代的な大きな流れの中で「ここ最近」という意味になります。
ま、普通に使い分けしていますよね。


ってことはですね、「団扇」って最初から熟語として存在していたってことですよね。
そうなんです「団扇」っていう単語は中国語みたいです。


発音を聞いてみますと「ファンシャン」って聞こえますが、ピンインの1文字目は「T」です。「トゥアンシァン」かもしれません。中国語の発音って、全然聞きなれていませんので、難しいです。


ま、発音がどうであれ、漢字表記として中国語由来の「団扇」ってことです。
それをウチワって読む。


「団」は「まるい」って意味で、「扇」は「羽のように開閉する観音開きの扉」なんだそうです。
パタパタする丸い風起こし、っていう感じなんでしょうかね。


団扇っていう言葉が日本に入って来たころは、木製だったのかもですが、その頃には、虫を払うっていう使い方よりは、風を起こして涼む、になって来ていたのかもしれません。


元々「うちわ」って呼んでいた道具に後から入って来た「団扇」という漢字をそのまま当てはめて、熟字訓、っていう流れだったんじゃないでしょうか。


やがて紙を張った今のと同じ団扇になって、その後「扇子」が、日本で作られたっていう歴史があるみたいです。


扇子は日本発祥の扇ぐ道具。


今、手元にある扇子をまじまじと見てみますと、凄い道具だなあって感心しますね。
さすが日本発祥って思います。


手元に2本の扇子があります。2,000円のと100円の。


2,000円のはもう10年以上使っています。紙には香が焚き込んであって、今でも薫りますし、姿もシュッとしてますね。そんなに高級品じゃないですけれど、しっかりしています。


100円の扇子は、もちろん100円均一。前の100円扇子が2シーズンで壊れたので、今年新たに買ったものです。


たたんだ状態の姿を比較してみますと、2,000円の扇子は上側3分の1辺りが一番横に膨らんでいて、要部分と先端部分の幅は同じぐらいです。


対して100円の扇子は要部分から先端に向かって徐々に幅が広くなっています。指でギュッと押さえてみても、要部分と同じ幅にはなりませんね。徐々に広がってしまったのではなく、最初からそういう幅。


100円の扇子の骨が26本なのに対して、2,000円の扇子は33本。


両方とも右利き用の普通の扇子ですが、開いて、要部分を軽く握ってあおいでみると、2,000円の扇子がスムースに仕事をするのに対して、100円の扇子はギシギシと音を立てて踊るように、少しだけ、要部分が動きます。


ま、文句はないです。100円で売っているということには、ホント驚かされます。


骨の数が少ないっていったって、しっかり細工されていて、薄く加工されていますよ。凄い時代ですよね。


ランチ散歩に出るときは、汗で濡れるってこともありますので、100円の扇子を胸ポケットに入れて出かけます。胸ポケットに団扇は入りませんからね。
やっぱり、こういう持ち運びの利便性を追求して、団扇を改良したのが扇子なんでしょうか。
それとも、全く違うルーツがあったりするんでしょうかね。


チョチョイっていうレベルのアイディアや手間で出来るもんじゃないですよねえ。


で、そういえばって感じで思い出したのが、ウチにも団扇あったはず。駅前で配っていたのをもらった記憶があります。数年前だったですかね。パチンコ屋新装開店のチラシ団扇。


で、探し出してみたら、ああ、そうだよねって思いました。骨がプラスティックです。
ずいぶん前から団扇の骨ってプラスティックでしたね。


で、骨がプラスティックの扇子ってあるんでしょうか。ん~。見た記憶はないですね。
扇子の骨をプラスティックにすると、なんか不都合があるんでしょうか。


プラスティック骨の団扇は、家の中で思いっきりバサバサやっても壊れちゃう気遣いは無いと思いますが、エアコンの普及した現在の環境だと、活躍の場は少ないのかもですね。プラスティック、関係ないけど。


その点、扇子は外へ出て、暑い中を歩いてエアコンの効いた部屋の中に入っても、最近はどこでもエアコンの温度は抑えめですからね、すぐに涼しくなりたいときは、扇子の出番ですね。


団扇と比べて活躍の場面は多いのかもしれません。
ん~、それだから100円均一でも売っているんでしょうね。需要があるってこと。

 

 

 


そういえば「ひだり団扇」って言いますけれど、「ひだり扇子」って言いませんね。


ここまで見てきた感じで言いますと、「ひだり団扇」って成金的な印象があるような気もします。
扇子を使っている人って、最初から余裕があるって感じでしょうかね。


でもあれか、100円均一の扇子じゃ、余裕とか、そういう範疇じゃないってことでしょねえ。


焼き鳥屋さんの「渋団扇」ここしばらく見ていないです。バタバタ炭をあおぐっていうのも最近は見なくなって、店の壁に飾ってあったりする赤黒い団扇。あれ、デカいですよね。四角いし。


団扇も扇子も関係ないですけれど、2021年夏、焼き鳥で生ビールって、やれていません。寂しい夏です。

 

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