ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!

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ーー 居酒屋トークの ネタブログ ーー

【マクロビランチ】いかあっすか~! って大声で呼び込みしているオネエサンがいました

< いかがですか って言うより いかあっすか~ って言う方が大声出しやすいってことなんでしょうかね >

2023年のお正月気分も、いつのまにかどこかへ行ってしまって、まあ、いつもの日常ってやつになってきているんですけどね。日銀の金利政策もちょっと変わったことによって、日本の中小企業はだいぶ変化の激しい年になるんだそうですよ。知らんけど。


ここ3年間でけっこう街並み、駅近、オフィス街の景観にも変化が出ていますが、それがもっと激変するかもしれないってことなんですよね。


店舗経営がシビアになっちゃう。特に飲食店の閉店が相次ぐんじゃないかっていう予測も出ています。
都心にたくさんあるオフィスの中では働き方改革なんて言ってですね、本格的にリモートワークをメインにする企業も出て来ていますし、そもそも支店を引き払って都心から離れる中堅企業っていうのも少なくないそうなんですよね。


そうしてこれまでいた人数がその街からいなくなっちゃうと、もろにあおりを食うのが飲食店ってことになりますからね、働き方改革っていうんじゃなくって経営方針を変えないといけないっていう店舗が少なくないってことになるんでしょうね。

 

 

 


コロナ前までは夜だけの営業だった呑み屋さんが、昼のランチをやり始める。
あるいは昼の時間と夜の時間で別経営にして、家賃っていう固定経費を半分にして、店舗に対する客の認知度アップも図るってなことをやっている話しもけっこう聞きます。
個人経営での企業努力。


「マクロビランチ、いかあっすか~!」


って大声をあげているオネエサンも、やらされている感じゃなくって、やらなければ感が出ているように思いました。必死、っていうほどではないんですけど、声に説得力がこもっています。
ちゃんと人を見ながら声を張り上げておられますねえ。


よく通る場所なんですけど、そこにお店があるってことに気が付いてもいませんでした。
ただ通りかかるだけっていう場所にはけっこうそういう店舗っていうのがあったりします。


マクロビランチって、なに?


「へっへっへ~。あたし、夜の担当なんでよく分かんないんですよねえ」
はああ? そんな気合い入れて大声出してるくせに、分からんの?


「身体にイイ食事なんですよお、マクロビですから。きょうは自家製の納豆と、あと、なんだっけな、とにかく野菜の丼なんですう」
なんやねん、このオネエチャン。なにがとにかくやねん。明るいのはイイんですけど、そんな説明で客が入って来るんでしょか?


「メニューは1種類だけなんで迷わなくてイイですし、1000円でハーブティーも付きますよ」
マスク顔の目がニコニコしていますけど、マクロビ、なんなのか、知らんでしょねえ。


ん~。このオネエチャンは夜の担当ってことですから、夜はアルコールの店になるってことなんでしょうかねえ。昼間しか通らない場所なんで今まで夜の店の存在に気が付かなかったのかもしれません。


コンクリートのビルの中に無理矢理のウッディ感を演出した入り口のお店です。
まあね、話を聞いたいきがかりじょう「マクロビ」っていうのがなんなのか分からないまま入ってみました。
なんとなく聞いたことのあるような気がする「マクロビ」なんですけど、なんなんでしょ。


長いカウンターだけの店内は、厨房側に金宮の四合瓶がずらりと並んでいます。他には様々な焼酎の一升瓶も見えますね。
呼び込みをしているオネエサンの担当はこっちの方ってことなんでしょう。
厨房は小さいタイプの呑み屋さん。


カウンターの中には紫色のエプロンを付けた中年の女性2人。
カウンター席では6人の女性が食事をしていて、空いている席は4つでした。


「あたしたちはランチだけやらせてもらっているんですよ。外の女性はね、このお店のオーナーさんなんだけど、手伝ってくれているんです。始めたばっかりなもんですから」


ちょっと赤味のある玄米ご飯に、自家製の納豆、自家製のナムル、ワカメ、レンコンが乗っけてあって、お好みで使ってくださいってことで、これまた自家製の豆板醤が添えてあります。
大きめの木のお椀に豆腐とネギのみそ汁。っていいますか、これは味噌を使っていない感じの味付けでしたね。
それに小さめのさつまいもを蒸かしたのが小皿に乗せられていました。


ご飯は圧力なべに入っていて、味噌を使っていない感じのみそ汁の鍋がコンロに乗せてあるだけで、あとの具材は盛り付けるだけにしてありますね。
本格的な調理をその場でするんじゃなくって、別の場所でこしらえて来て、ランチ提供っていうスタイルなんでしょう。


まぜまぜしながらいただきます。
玄米ご飯は、しっかり噛まないといけないタイプで、けっこう食べ応えがありました。旨いです。

 

 

自家製って言っていた納豆なんですけど、口に入れるとたしかに納豆なんですけど、糸をひきませんし、関西人の嫌う納豆臭がまったくありませんでした。


ナムルにいたっては味付けっていうのがほとんど感じられない、素材を食べている感覚が満足なランチでした。


自家製の納豆とナムル。しっかりとした食べ応え。
ひと口、30回は噛みましょうとか言いますけど、よく噛むっていう感覚を思い出しましたね。
しっかり噛むと満腹中枢も刺激されて、食べ過ぎずにならなくってイイんだそうですけど、丼メニューですからね、お代わりっていう食べ方でもありませんし、大盛りを頼んでいる人もたぶん、いませんね。


ランチは火木土だけの営業なんだそうでした。


呼び込みのオネエサンは出たり入ったりしていましたが、


「はい、黒豆とごぼうハーブティーです。どうでしたか? おいしいですよね」


って相変わらずマスク顔の目をニコニコさせてカップを持ってきてくれました。
なんかね、とっても満足な丼でしたよ。


で、いつものごとくですが、あとから調べてみますと、マクロビっていうのは「マクロビオティック」っていうのが正式名称だそうでして、食べものの種類の名前じゃなくって、長寿健康法っていうことなんでした。


で、マドンナ、トム・クルーズデミ・ムーアだとかのビッグネームがマクロビの信奉者だってことですんで、アメリカ発祥なのかなって思ったらですね、なんと日本発祥!
ええ~!? 日本発祥なのに、なんで英語の名前やねん。


なんかね、日本ではあんまり流行らなかった食事を中心にした長寿健康法っていう考え方が、ヒッピー文化のアメリカで受け入れられて、一定数のアメリカ人に信奉者が出て来て、その中に有名スターさんも居たっていうことからなのか、2000年ぐらいから日本に逆輸入されてきたっていうのがだいたいの流れみたいです。

 

 

 


語源的には「マクロビオス」っていう古代のギリシア語。


健康による長寿っていうようなニュアンスの言葉らしいんですが、18世紀にドイツの医師、クリストフ・ヴィルヘルム・フーフェラント(1762~1836)がハッキリと長寿法っていう意味で使いはじめたんだそうですね。


このクリストフっていうお医者さんの書いた本は、幕末の日本で、適塾を開いた緒方洪庵(1810~1863)によって翻訳されて、日本の医学に大きな影響を与えているってことで、この本の中にすでに「マクロビオス」っていう考え方が紹介されていたのかもしれませんね。江戸時代末期です。


その「マクロビオス」との関係性は分かりませんが、福井県出身の石塚左玄(いしづかさげん)(1851~1909)っていう陸軍の軍医さんが玄米食を基本にした「食養学」っていうのを著わして、1907年には「食養会」っていう会を創設していたらしいんですね。
「食よく人を養うも、またよく病を医す」っていうのが基本思想。


その食養会に参加して活躍した桜沢如一(さくらざわゆきかず)(1893~1966)っていう思想家は、後に「食養会」の会長も務めた人なんですが、「マクロビオティック」っていう言葉を作り出したのはこの人だそうです。
1928年ごろから「マクロビオティック運動」を始めたみたいですね。


つまりあれですね「マクロビ」って、玄米食を中心に据えた思想、哲学、考え方ってことなんですね。


石塚左玄の「食養学」に、桜沢如一が独自の陰陽論をアレンジした、食材や調理法のバランスを考える食事法ってことになるんでしょうかね。


方法論ですから、今現在はいろんな分派があるんだそうです。
たくさんの分派っていっても「マクロビオティック」っていう考え方は概ね変化なく伝承されているって評価みたいですね。


マクロビオティック」の3大キーワードっていうのがあってですね、どういうのか、やっぱり食事法っていうか哲学っぽい感じですね。


身土不二(しんどふじ)」
今でいう地産地消ですね。「身体と住むところは切り離すことができない。住んでいる土地のものを食べることで、土地に適した身体になり健康を保てる」ってことだそうです。


「一物全体(いちぶつぜんたい)」
食材はなるべく丸ごと食べる。


「陰陽調和(いんようちょうわ)」
食べものにも陰陽があって、体を冷やす陰性の食べ物と、暖める陽性の食べ物がある。
陰は遠心的なエネルギー、陽は求心的なエネルギーってことで、その時、その状態に合わせてバランスよく食べる工夫が肝心。


マクロビオティック」っていう考え方には、こうでなければダメっていうことはないみたいです。
思想とかっていうことになると、どんなことにも原理主義みたいな信奉者が出てきそうな感じですが、要は、身体は食べたもので出来ているんだからバランスを考えて食べなさい! ってことに尽きるのかもしれないですね。


ベジタリアン、ビーガン、マクロビアンとかね、自分で信じることに邁進するのは結構なことだとは思いますけど、原理主義的に妄信するのはかえって害になるってことも多いらしいですよね。


今回初めて経験してみて、うむ、身体に良さそうだなって感じた「マクロビランチ」ですが、それをたまあに食べるっていう参加の程度にさせていただきますです。


ベジタリアンの中には、時々は肉類も食べちゃったりなんかして、おおらかにいきましょうよっていう「フレキシタリアン」っていう人たちもいるらしいですけど、そこからも遠く離れて、サムタイムニストってことで、ってそんな言葉、ないんでしょうけどね。

 

 

 


米食ねえ、っていう感想でございました。旨かったですよ、気持ち的にも旨かったです。


この気持ち的に旨いっていう食事。そっちの方が大事なのかもですねえ。知らんけど。


マクロビランチ、いかあっすか~!

 

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