< DNAレベルの研究じゃダメで ゲノムレベルで考えないといけないっていうのは聞いてましたけど >
恐竜の羽毛をウンとこヤッとこかき分けて皮膚の柔らかい部分にたどり着いた。
このばかデカイ生き物は、少しばかりの血液ならゴミのような吸血生物にわけてやってもイイだろうという寛大さなのか、単に神経がまわっていないのか、たどり着けさえすれば自由気ままに振る舞える。
叩き潰されたり、追い払われることはない。
たっぷり血液を吸わせてもらって満足した1匹の蚊が、あまりにも重くなってしまった自分の身体をいつも通りに飛ばすことが困難になって、ふらふらする。
とある草むらで休憩することにした。
巨大な松の樹の下生えの葉に、ぶつかり落ちるようにして停まった。
息絶えだえだったが、満腹感でニンマリとしていた。
と、松の枝からとろりと降ってきたのが樹脂の一滴。
至福の気持ちのまま、一瞬にして蚊はすっぽりと樹脂に包み込まれてしまった。
蚊は自分で気が付かないうちに琥珀の中に閉じ込められて、そのまま1億5千万年が経ったのである。
大富豪に雇われた科学者に手渡された琥珀の中のニンマリした蚊。
恐竜の血液は何に邪魔されるでもなく非常に良好な状態で取り出されて、恐竜のDNAが解析された。
琥珀の中の吸血昆虫は次々に研究所に持ち込まれて来る。
中米、コスタリカ沖の孤島、イスラ・ソルナにジュラ紀の恐竜たちが蘇った。
ギャース!
っていうのが、1993年に公開された映画「ジュラシック。パーク」でしたね。
現実社会の遺伝子解析っていうのはどんどん進化しています。
DNA解析からゲノム解析になってきていて、ティラノザウルスの復活は難しいとしても、近年に絶滅してしまった種の動物であれば、復活可能なレベルになっているんだそうです。
狩りによって1990年代の終わりには絶滅してしまった大きな角を持つ野生のヤギ、ピレネー・アイベックス。
フランス、スペインの科学者たちは、凍結保存されていた1匹のメスの細胞から、新しい胚のクローンを作ることに成功しました。
完成した核を普通のヤギの卵子に注入。60匹のメスヤギの体内に戻して実験続行。
7匹のメスヤギがクローンを妊娠。
そしてそのうちの1匹が、なんと無事出産。
ピレネー・アイベックスが復活したわけです。
ですが、産まれたクローンは、完全体じゃなくって、10分後には死亡が確認されたんだそうです。
絶滅種の復活は10分っていう時間ではあったんですが、実現してはいるんですね。
これが2003年のことです。
遺伝子研究は世界中で行われていて、2011年にフランスのエマニュエル・シャルパンティエと、アメリカのジェニファー・ダウドナの2人の女性科学者がゲノム編集の方法を発表しました。
ゲノムの解析じゃなくって編集。
2020年にノーベル化学賞を受賞した2人の発見は、遺伝子を断ち切る「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)」っていう酵素なんだそうです。
このゲノム編集の新発見は、恐竜を復活させようっていう目的で研究されたものじゃなくって、人間の疾患治療に役立てようっていうのが前提のもの。
不都合をきたしている細胞の修復を目的としたものなんですが、研究者たちがあっという間に参集して「CRISPR-Cas9」は、すぐに次世代へと進化しているんだそうです。
「CRISPR-Cas9 2.0」のゲノム編集技術は、ただ断ち切るっていうんじゃなくって、DNA塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現を制御するっていう「エピジェネティック編集」になってきている。
いや、まあ、素人にとっては細かい部分になると理解不能なんですけど、近い将来には、思うようにDNAレベル、ゲノムレベルで疾患に対処できる可能性があるってことなんでしょうね。
メッセンジャーRNAのロジックによって、21世紀の人類は大きな恩恵を享受してきたわけですけれども、外部から侵入してくるウイルスに対しても、大きな働きを持つ治療薬を開発するうえで「CRISPR-Cas9 2.0」の技術が役立ってくれそうですよね。
AIの発達、量子コンピュータの実用化だとか、同時進行して発達していく科学がもたらしてくれる疾患対策には大いに期待したいところですが、そうですよね、「CRISPR-Cas9 2.0」って、マジに恐竜復活っていうことを考えている科学者たちにとっても、かなり優良なツールってことになるわけですね。
4000年前に絶滅したって考えられているマンモスを復活させようっていうマジな計画があるんだそうです。
コロッサル・バイオサイエンスっていう会社が考えているのは、マンモスとは呼ばずに「北極ゾウ」って言うんだそうですが、構想を話した途端、いろんな方面から20億円もの資金が集まったらしいんですよね。
北極ゾウ、マンモス復活計画に興味を示す人が、世界にはけっこういるっていうことですね。
実際にマンモスが復活したとすると、地球環境にはどんな変化がおとずれるんでしょうね。
本気で考えてみれば、なんか、楽しそうとか面白そうとか、そんなんじゃなさそうな気もしますね。
「ジュラシック・パーク」は娯楽映画でしたけれども、イスラ・ソルナ島の厳重な檻が解放されてしまうんでしたよね。
恐竜たちが自由に歩き回れるようになってパニック! っていう内容でした。
現代に復活した恐竜たちと人間は、食うものと食われるものっていう関係でした。
マンモスは人間を食べないでしょうけれど、ツンドラ地帯があるとはいえ、現代の地球環境でマンモスが生きて行けるんでしょうかね。
そもそもマンモスって何を食べるんでしょう。
象と同じような、って考えちゃいますけど、ツンドラ地帯ってそういう食性、なさそうですよね。
1997年公開の「ロスト・ワールド ジュラシック・パーク」
イスラ・ソルナ島では恐竜たちが自然繁殖していて、金儲けを企む連中が、ティラノザウルスをサンディエゴへ移送させちゃって、街がパニック。
ん~、っていうようなストーリー展開だったんですが、恐竜と人間は仲良くなれませんね。
2001年公開の「ジュラシック・パークIII」
すっかり恐竜の島になっているイスラ・ソルナ島にパラセイリングで不時着したっていう息子を助けに行く。
まあね、ヒット作の続編っていうのは商売でね、作らされるっていうところもあるでしょうからね。
人間と恐竜の関係に変化はありません。
そりゃそうですね、パニックにならないといけませんからね。
もうここまででしょうか、って思っていたら2015年公開の「ジュラシック・ワールド」
パークからワールドになりました。島もイスラ・ヌブラル島になってましたね。
球体の乗り物が登場して来て、人間は恐竜見物っていうことなんでした。
ワールドで一儲けしたい運営者が、高い知能を持つ新しい恐竜を作っちゃうんですよね。
どのへんが高い知能だったのか分かりませんが、乗り物のガラスが割れて、そうですね、パニックです。
人間が恐竜を進化させているっていう内容でした。
新恐竜とティラノザウルスの争い。肉食獣同士ってことで、やっぱしねえ、争うんでしょうかねえ。
2018年公開の「ジュラシック・ワールド 炎の王国」
イスラ・ヌブラル島の火山爆発。
ふむ。自然の猛威の前には人間も恐竜も同じ。一緒に逃げるですよねえ。
パニックの内容がちょっと変わりました。
2022年公開の「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」
島から逃れた恐竜たちは地球上にちらばって生活していますよおっていう、内容でした。
人間と恐竜の関係は、特に変化なさそうでしたね。
ネタバレにならない程度に、恐竜と人間の関係の描かれ方を総ざらいしてみました。
マンモスはですね、2013年にロシアで完全な形の、化石じゃなくって、保存状態が完璧なマンモスの「死体」が発見されていて、なんと液体の状態のマンモスの血液が採取されているんですよねえ。
北極ゾウプロジェクトはアメリカですけれど、どうなんでしょう、ロシアとの協力関係があるんでしょうかね。
数千年、あるいは数万年前の遺伝子情報って、地球環境にどうやって役立てていくんでしょうか。
食料問題としては「あらゆる危機に耐えうるように設計された終末の日に備える北極種子貯蔵庫」
ノルウェー領のスヴァールバル群島にある「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」がありますよね。
こっちは、素直に理解できます。
役立つことがないようにすべきなのが、現代人の努めではあるんでしょうけれど。
にしても、マンモスの血液もですけど、人類はいろんなものを保存しているんですねえ。
リアルジュラシックパークって、必要なんでしょうか。