＜ 東京都23区 南西に位置する目黒区には 27の町名があるのであります ＞
「【「町」の読み方】あなたが住んでいるのはチョウですか？ それともマチですか？」で、日本全国の「町」の読み方について、ちと調べてみたわけですが、全体として「町」の読みは「チョウ」の方が多かったのでした。
でもこの結果は市部や区部の中の「町」は対象外としてのデータでしたので、差し当たって、東京23区の区部の中の「町」の読みについて調べてみようと思い立ったわけです。
市町村合併などによって失われいく地名も少なくない現状ですが、「チョウ」と読むか「マチ」と読むかという以外にも、「町」という字の付かない「町」というのもありますし、知らない町名、不思議な町名というのも少なくないだろうと思います。
東京都23区、いよいよ第23回目は、「目黒区」です。
目黒区の面積は14.67平方キロメートル。23区の中で16番目。
人口が28万6千人余り。
区の木はシイ。区の花はハギ。
令和現在の目黒区は、区外から通勤して来る人の数の方が若干多く、昼間の人口は夜の人口のおよそ1.1倍。
住みたい街ランキングで、ずっと上位に名前を見せているのが目黒区の「自由が丘」ですね。
一時期通っていた街なんですが、「丘」っていうわりに低い感じなんですよね。
昔は荏原郡碑衾町大字衾って住所で「衾沼（ふすまぬま）」っていう沼地だったそうで、そこを埋め立てた街が自由が丘。
衾沼から自由が丘って、凄い変身ですよね。たぶんおそらく、沼の時代には人気の地域じゃなかったろうと思われますね。
1927年に東急東横線の「九品仏駅」が出来たときに、地域に「自由が丘学園」っていうのが開校したそうです。これが自由が丘の名前の始まりになるんですが、このころ、戦前ですが、この地域を代表するのは九品仏だったってことでしょうね。
9体の阿弥陀様を安置していることで知られている浄土宗の「九品仏浄真寺」は世田谷区奥沢にあるんですが、自由が丘の西隣りですね。1678年の創建らしいです。
東急東横線の「九品仏駅」が出来て2年後の1929年に、東横線と交差する形で東急大井町線が開通して、出来た駅は九品仏浄真寺のすぐ近く。ってことで、新しい駅が「九品仏駅」を名乗ることになって、東横線の方の駅は名前を変えなければいけなくなっちゃった。
駅の名前を持っていかれちゃうことって、あるんですねえ。
改名するにあたっては「衾駅」になる予定だったんですが、「自由が丘学園」の名前にちなんで「自由が丘駅」になったんだそうです。
自由が丘学園って人気があったんでしょうね。私立の男子高校です。
それにしても、学校の名前から駅名になって、地名にもなるって、へええ～って思います。でもそうなって良かったですよね。
衾より自由が丘がイイでしょ、やっぱり。
自由が丘駅辺りが一番低い立地なんじゃないかって思いますが、駅の真ん前には女神さまがいらっしゃいますよ。
女神さまの名前は「あおぞら」なんとも自由が丘の女神さまらしいネーミング。毎年10月ごろには「自由が丘女神まつり」が催されています。
商店街には日本のモンブラン発祥っていう洋菓子店があって、スイーツ激戦区としても人気が高いんですよねえ。ツタがぐるんぐるんからんじゃって、パティシエとか言っちゃって、コンニャロな店もいっぱいです。スイーツ好きの女子にはたまらない街なんでしょうねえ。
酔っ払いオヤヂの似合わない街。
商店街から続く住宅地はなんとなくヨーロッパ風です。ってヨーロッパ行ったことないですけど。
目黒の名前を全国区にしているのは、自由が丘の人気よりなにより「目黒のさんま」じゃないでしょうか。
古典落語の定番って言い得る一席ですよね。
さる殿様がある日目黒へ鷹狩に出かけましたが、供の者が弁当を忘れてしまって、さあ大変。
ってところへ、近くの農家からさんまを焼く煙とにおいが。
これは何のにおいか。食欲をそそられる。っていう殿様に、供の者は、あれは下民の食します、さんまという下魚でございますれば、とてもお殿様の口に合うようなものでは、って言うんですが、
あのな、そんなこと言ってる場合じゃないだろ。鷹狩に腹ごしらえは大事、ってことで、無理矢理持って来させて殿様は初めて焼きさんまを食べました。
ンまいじゃん！
ってことがあってしばらくして、殿様はさんまを食べたくなったので所望すると、お城の料理人はさんまの脂をすっかり抜いて、骨も小骨まですっかり取り除いて、ぱっさぱさのフレークみたいになったさんまを出します。
毒見をして冷たくなったさんまフレーク。
これ、毒見。これはどこのさんまじゃ。
はい、日本橋のさんまでございます。
ふむ、それはいかんな。さんまは目黒に限る。
っていうのが目黒のさんまですね。
この落語にあやかって目黒駅前で毎秋「目黒のさんま祭り」が開催されますね。大人気です。
ま、これ一般的に「目黒のさんま祭り」って言われていて、無料で焼きさんまを振る舞ってくれるんですが、行ったことのある人は分かっていることでしょうけれど、山手線目黒駅があるのは品川区上大崎です。
目黒駅って名前なんだけど品川区の駅なんですよね。
でもって、駅前で開催されるさんま祭りはですね、
目黒駅の品川区側が、岩手県宮古産のさんまを焼いた「目黒のさんま祭り」
目黒駅の目黒区側は、宮城県気仙沼産のさんまを焼いた「目黒のSUNまつり」
なんですよお。
コロナが明ければまた復活するでしょうけれど、祭り当日はドエライ行列ですよね。しっかりその気で出かけないと、煙とにおいと、まだまだ暑い時期ですし、行列ですし、さんまにありつけませんよ。
1995年ごろから始まったみたいですねえ。
祭りの名前から考えてみますと、品川区側の方が先に始めたのかもしれないです。
品川区だろうが目黒区だろうが、宮古産だろうが気仙沼産だろうが、さんまは旨いです。
焼く方は大変ですよ。1回だけ手伝ったことがあるんですが、両方で1万匹を超えるさんまが焼かれます。
そのどれもが脂の乘ったイイさんまです。
とんでもない量の煙です。ゴーグルつけて半袖シャツで焼くんですが、そのシャツはもう着られません。
どう洗濯してもさんまの煙が取れなくなっちゃうんですね。
ゴーグルつけないとまぶたがくっ付いちゃいます。目をあけていられませんよ。
目黒区には「鷹番」っていう住所もありますし、殿様が鷹狩に目黒に来たっていうのは事実なんじゃないでしょうか。
さんまの話とは関連があるのかないのか、ま、分かりませんけれどね。
目黒駅から目黒川を越えて西側へ歩きますと、「中町（なかちょう）」辺りへ出ますけれど、ここは昔「油面」っていう名前の地域なんですね。今でも油面小学校だとかで名前が残っています。
でもこの油は、さんまの脂じゃないです。
江戸時代の菜種油。菜種を栽培してその油を税として納めていた地域だったそうで、菜種油で他の租税が免じられていたっていうことで、油免、で、油面になったって言われています。
目黒区には「大岡」っていう地名と「洗足」っていう地名があって、大岡裁きによって悪事から足を洗うって由来がある、とか言う声もありますが、大岡越前守は目黒区に特に関係はないです、という目黒区の町名の数は27。
「マチ 2」「チョウ 3」「町が付かない 22」でした。
「マチ 2」
「平町（たいらまち）」「原町」
「チョウ 3」
「中央町」「中町」「目黒本町」
「町が付かない 22」
「大岡山」「大橋」「柿の木坂」「上目黒」「五本木」「駒場」「下目黒」「自由が丘」「洗足」「鷹番」「中根」「中目黒」「東が丘」「東山」「碑文谷」「三田」「緑が丘」「南」「目黒」「八雲」「祐天寺」
秋元康、石田純一、大竹まこと、北尾まどか、周防正行、高橋幸宏、徳光和夫、仲代達矢、火野正平、藤田弓子、本仮屋ユイカ、森永卓郎、山藤章二。
まあ無理矢理な特徴をあげてみますと、なんかみんな、ニコニコしていない感じがします。無理矢理ですけどね。
＜ チョウかマチか ＞
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