< 自分自身がよそ者になる 自分こそが外国人になる そゆのが ひとり旅でしょねえ >
コロナ禍の前からひとり旅の需要っていうのは年々増加傾向だったんだそうです。
2023年になって行動規制がなくなると、コロナ禍によって抑えられていた旅への欲求が解放されて、国内、海外、どちらも旅行業界は捌くのに苦労するほどのリクエストに嬉しい悲鳴を上げているっていうニュースが頻繁に報道されています。
中でもひとり旅に人気が集まっているんだそうですね。
まあ、ウィズコロナっていうんですか、通常の行動を取り戻していかないと、いろいろ生活の基盤が成り立っていかないんだっていうことは、かなり明確になりましたし、2023年中盤から2024年の前半にかけて、コロナ前とは違った社会構造っていうのが出現してくるような気配もあります。
旅行業界に限ったことじゃなくって、各産業界の中で経済基盤を取り戻していく「新たな」工夫が必要になって来るんだろうと思われます。
まあ、別にコロナ禍を経験していようがいまいが、今の世のなか、ストラクチャー的な変化は常にしていると思いますけどね。
旅行業界のデータ集計、分析の速さは、なかなかなものだと感じます。
その精確性に関しては調べようもありませんけれど、デジタル後進国、日本の中では割りにこなせている業界なんでしょうね。
飛行機や新幹線だとか、季節によってシートごとの値段を変動させるシステムですから、世界各地、日本各地のイベントや、天候情報なんかも含めて統合的な判断が必要になるわけですね。
デジタルに対する取り組みが、永田町なんかに比較されるようなレベルじゃないことは確かだと思います。
ただですね、旅行業界のひとり旅人気の情報に接して、疑問に思うことがあるんですね。
発表しているひとり旅っていうのは、パッケージに組み込まれている旅だっていうことなんでしょか?
もちろん各旅行会社は商売ですから、ひとり旅の需要が高まっているとなれば、ひとり旅のパッケージを用意するでしょうね。当たり前です。
っていう当然のことではあるんですが、ひとり旅のパッケージっていうのに、なんかね、小さくない違和感がありますよ。
ひとり旅のパッケージに申し込んだ個々人が、ある一定数集まって、例えば同じバス、同じ飛行機で、同じ場所へ行く。
現地に着いてからの行動は個々人の自由なのかもしれませんけれど、そこにはやっぱり、安全面を考慮したチェックポイントみたいなものがあって、集合時間だとかが行動の途中にあったりとかして、お勧めグルメだとか、ビューポイントだとか、そういう予め用意された世界観みたいなものがあるようなイメージを持ってしまいますね。
そういうのって、ひとり旅、なんでしょか?
とくに、ひとり旅に慣れているとか、経験が豊富ってわけじゃないんですけど、パッケージされたひとり旅っていうのは、本来的なひとり旅のコアが無いんじゃないかなって気がします。
いや、パッケージで、新たな旅仲間との出会いっていうのもあるじゃないですか。っていう意見もあるでしょうけど、現地で出会う人じゃなくって、一緒に旅する人なわけですよね。
直接的な利害関係はない、って言ってもですね、いわゆるひとり旅っていうのとは、ちょっとね、違う気がします。
ん~。人それぞれ。パッケージのひとり旅が悪いってわけじゃないんですけどね。
そもそものひとり旅って、なんとなあく、ふらっと出かけるもんじゃないのかなって気がします。
このところは泊りがけでひとり旅することはなくなっていますが、日帰りでなら時々やっております。
どっかいこうかな。どこいこうか。ま、電車乗ってから考えよ。
とかね、こんな気ままなことが出来るのが、ひとり旅の特徴なんじゃないでしょうか。
誰か、一緒に行く相手がいたら、ここまで無計画に出かけるって、出来ないですもんね。
旅行会社の「ひとり旅の手引き」みたいな案内には、まず、旅のテーマを決めましょうってあるんですよね。
まあ、これは用意してあるパッケージへの誘い方なのかもですけど、テーマとか、そんなダイソレタこと考えて旅に出るのって、まさにパッケージツアーの特徴なんじゃないでしょうか。
テーマ? って考え始めたら、こういうテーマにはこういうイイところがあってね、とか、そういうことに興味があるんだったらココがイイですよ。
宿はこういう素敵なところがあって、こんなビューが楽しめて、ここのグルメはチョー有名です。
とか、うがった感じ方かもしれませんけれど、そんなふうに思ってしまいます。
有名な観光地の人気イベントなんかは、特に海外のがそうですけど、テレビで見ている方が良くね? って思っちゃいます。
わたしは、群れたくないタイプなんでしょねえ。
なんでだか早く起きちゃった日とか。ローカル線の始発ぐらいに乗っちゃって、降りたことのない駅で降りてみたら、乗り換え線があったんで、ま、乗ってみるか、ってんで乗り込んでからドア上に表示されている停車駅を眺めて、聞いたことのある駅を目指すもよし、聞いたことのない駅で降りてみるのもよし、です。
車窓からはいつもの、じゃない風景が見えますね。
だいたい、そういうあたりでも、もう満足感があります。
ことさら特別なビューを求めているんじゃなくって、いつもとは違う日常、それがひとり旅、って思います。
また乗り換えたりなんかして、けっこう遠くまで行きますと、なんとなく電車の中の人たちの雰囲気も違ってきます。
ヒューマンウォッチャーに徹しますね。
これまた、面白楽しい、日帰り旅の満足感です。
電車の案内板で「深谷」っていう駅名を見つけて、深谷って、深谷ネギの土地だよねえ。
ってことで、深谷まで行ってみました。埼玉県ですね。
でももう群馬県に近い地域です。
昼前について、ネギマでしょねえって思っていたんで焼き鳥屋さんを探したんですけど、昼からやっている焼き鳥屋さんは駅前にはありませんでした。
ま、思い付きのひとり旅なんてこんなもんでしょ。
で、町中華に入ってラーメン食べながら、近くに深谷ネギのネギマやってる焼き鳥屋さんありませんか? って聞いたら、あのね、今、ネギの季節じゃないし、この辺の焼き鳥屋は普通のネギ使ってるよ、って教えてもらって撃沈。
深谷駅に戻って案内図を見ていたら「忍城」っていう名前を発見。
何て読むの?
で、埼玉県のローカル線に乗り換えて行田市へ。
「おしじょう」って読むんでした。
読み方を知ったら思い出しました。
豊臣秀吉の小田原征伐の時に石田三成の水攻めにあって、落ちなかったっていう城が忍城だったですねえ。
資料館に行って、刀を見た帰り、麦畑に通じる土の道で、2メートルは超えていた青大将と遭遇。
目と目が合って、お! って青大将もわたしも、静止!
こんちわっていったら、上半身を持ち上げたまま青大将が草むらの中に消えていきました。
長さのわりには胴回りの細い大将ちゃんでしたよ。
草っぱら! 久しぶりに見ました。
帰って来て地元の焼酎バーで吞みました。
「きょうさあ、青大将見たよ」
「え!? どこで?」
「行田市」
「なにしに行ったの?」
「ん~、ただ、なんとなく」
「ふううん」
って、こんなんでもイイんじゃないですかね。ひとり旅って。
季節がネギの時期だったら、深谷ネギのネギマじゃなくっても、深谷市の焼き鳥屋さんで呑んで、どこかビジネスホテルでも探して泊ったかもなひとり旅でした。
「最初ね、深谷ネギのネギマ食べようって思って深谷市へ行ったんだけどね」
「けっこう遠いでしょ」
「ま、ほら、ホモ・ヴィアトールだから」
「なにそれ?」
「旅する人」
「旅? 旅ってほどの距離、かなあ」
「じゃあホモ・ルーデンスってことで」
「ん?」
「遊ぶ人」
「ああね」
「ああねって、どゆことやねん!」
「さあねえ、はいお待ちどう、ネギマ。八百屋の普通のネギ」
ある程度の元気とお金があれば、またその辺へ「ひとり旅」しようと思いますです。
wakuwaku-nikopaku.hatenablog.com
wakuwaku-nikopaku.hatenablog.com