＜ セミさんも言ってました ここんとこ いつ地上に出たらイイのか分からんのだよねえ ＞
地球温暖化ってやつなんですってよ、って説明しても、セミさんたちにとっては、知らんがな！ ですよねえ。
呑み屋さんで偶然隣り合わせたオヤジさんなんですけどね、もう引退して埼玉県の熊谷郊外に住んでいるらしいんですけど、その日は元の会社の謝恩会に呼ばれて久しぶりに都内へ出て来たってことなんでした。
謝恩会っていうから、呑ませてくれるのかってワクワク参加したのに、立食パーティーで、しかもアルコールはナシだったそうで、疲れるだけですよホントに、って嘆いておられました。
で、そのまま帰るのは癪なので、ちょっと移動して、初めての店に入ってみた、らしいです。
呑み屋さんの店内はクーラーが効いていましたが、いかにも酒焼けフェイスのそのオヤジさんは、2合徳利のぬる燗をやっていましたねえ。
暑い時期でも、いつも温かい日本酒？ ですか？
「いやあ、ほら、熊谷、知ってるでしょ。とにかく暑いんですよ。平成の頃から急に暑い街って言われ出したんだけどね、昔から暑いんですよ、熊谷は。最高気温の日本記録を狙ってるなんていってね、ヘンなとこにこだわっちゃって、夏場になると、庭先に七輪並べてね、１度でも気温を上げてやろうってしてるジジイがいるとかなんとか、そんな噂が立っちゃってね。誰だ、そんなことしてるのは。ぜひ応援してやろうじゃないかってね、荒物屋で七輪が売れてるなんてていう冗談がね、冗談かどうか分からないっていうんですよ。なにせキャッチフレーズが、暑いぞ、熊谷っていうんでね、イヤんなっちゃいますよ。それでね、あんまり暑いもんでね、今が暑いのか寒いのか分かんなくなっててね、夏でも燗してもらってんです」
はあ。暑い時期にぬる燗とか、不思議な気がして聞いてみたんですけど、それにしてもまあ、よくしゃべりますね。
実際は、もっといろいろしゃべってましたです。
体温も、高い方なんでしょうかね。
でも、これで止まりませんよ。
「それでね、この前、っていってもまだ５月末のね、暑い日が２、3日続いたころだったんだけどね」
途切れずにしゃべりますねえ。
「ウチは街なかからはチョット外れたところにあって、田舎っていえば田舎なんですけど、近所に鎮守の杜があってね、諏訪さんのね、そこで、1匹だけね、セミが鳴いてたの、ミンミンゼミ。まだ5月なのに」
ふむう、時々そういう話も聞きますけどねえ。
ちゃんと息継ぎしながらしゃべってくださいねえ。
「あのね、もうみんな知ってると思うんだけど、熊谷ってとにかく暑いわけですよ。5月から25度以上の日なんてざらにあるしね。5月から夏日ね。人間もなんだけど、セミもね、もうマヒしちゃってるんだろうって思うんだよね、マヒ。今の季節がいつなんだか、全然分かりゃしないの。それでもまだ人間は会社行くからね、クールビズなんてのがあんでしょ、あれで一応今の季節がいつかって、だいたい分かるってもんなんだけど、あれもね、今、5月からになってるでしょ。昔は衣替えの6月からスタートだったでしょ、ね。でも今はほら、5月から充分暑いからね、クールビズも5月からでしょ。だからセミもね土の中で暑さは暑いし、人間世界も夏の装いだしっていうんで、出てきちゃうね、そそっかしいヤツが出てきちゃうんだよね」
しかしホントによくしゃべりますねえ。溜まってますか？ いろいろと。
「でも可哀想なのはね、そいつ一匹だけなんだよね、勘違いしちゃってるヤツ。メスは鳴かないんでしょ、セミっていうのはね。同じく勘違いして、5月から飛び回ってるメスがいないとも限らない、なんてね、そんなふうなこともあるかなって、一瞬、思うんだけどね、ないんだね、これが。ヤツはひとりぼっちなんだね」
ぬる燗、クイッといきましたね。
「なんで分かるかっていうとね、ミンミン鳴いてたの2日ぐらいなの。2日でミンミン鳴く声が聞こえなくなっちゃったんだよね。気がついちゃったんだろうね。気の毒にね。世界に自分がひとりだけっていう状況。堪えるよねえ。7年だか土の中にいるんでしょ、セミって。それが1ヶ月半とか2ヵ月間違えちゃってさ、日の当たる世界に出て来たわイイけど、一番乗りっていうんじゃなくって、マチガイなんだからね。泣いても泣ききれないっていうんで鳴かなくなっちゃったんだろうね、きっと。意地でもさ、1週間ぐらい鳴き続けりゃいいのにって思うんだけど、メスもいないし競争相手もいないっていうんじゃ、張り合いがないのかね。2日で止めちゃったんだよね。また土の中に戻るってわけにもいかないしね、ほんと気の毒だよねえ。で、熊谷のオヤジたちも暑くって気の毒なわけですよ。もう疲れちゃっててね。年中夏バテ。あははは」
最後の結論は、なんだかよく分かりませんでしたけれども、オヤジさん、そんだけしゃべれれば、充分元気でしょ。夏バテとかじゃないでしょ。
暑熱順化っていいますけどね、これまで経験していないレベルの暑さを、こんなに毎年経験して来ると、人間もそんな気温に慣れちゃったりするもんなんでしょうか。40度超えとか。ムリでしょねえ。
世界中で言ってますもんね、記録破りの暑さとか。
で、このところの問題は、5月の声を聞く前から、ジメっと暑い日が出てくるってこと。
セミじゃなくたって、今、何月？ って身体のカレンダーがおかしくなっている気がします。
梅雨どきの暑さね。30度超えちゃってるとこもありますもんね。
あのオヤジさんの熊谷もそうだったかもです。そう言ってましたもんね。
梅雨だるってやつに、やられちゃいますよ。
それでもって梅雨が明ければ、間違いなく猛暑、酷暑で夏バテの季節になるわけです。
春先から花粉症ウツになっちゃって、梅雨だる、夏バテ。
もうね、なんだかイヤになっちゃいますね。ぐったりですよ。
クールビズが終わるはずだった、昔の衣替えの10月になっても汗だくだくなもんだから、今は10月いっぱい、クールビズスタイルが認められています。
暑さ対策になるかどうかよく分かりませんが、ネクタイなんてやめればイイのにって思いますね。
首からわけの分からん布切れぶら下げて、なんでフランス王の真似とかしなくちゃいけないのか、さっぱり分かりません。たいていの日本人には似合ってないでしょ。ネクタイなんて。
ってことでですね、今は1年のうち半分ぐらいは暑いっていう日本になってしまっているんでございますよ。
梅雨時から熱中症で救急搬送っていうニュースは引きも切りません。
暑いのが苦手なので、げんなり暮らす期間が長過ぎて、なにか、もうちょっとシャキッと生活できるような工夫はないもんだろうか。
そんなことをイジイジと探ってみますとですね、普段からの薬膳意識っていうのが大事らしいんです。
もちろん意識だけすればイイっていうんじゃなくって、実践を伴わないと意味ないんでしょうけどね。
暑い期間をシャキッとして乗り切るための薬膳。
梅雨だる、夏バテっていうのは、自律神経が疲れるからなっちゃうんだそうで、原因は解ってるみたいなんですよね。
ですので、自律神経にイイ食べもの、食べ方っていうのが梅雨だる、夏バテ、改善、予防にイイってことで、一応の信憑性は担保されているみたいです。
ま、信じる者はなんとやらでございますですよ。はい。
要は、暑い時期には暑い時期の食材を摂るようにするってことみたいです。
つねにそういう夏の薬膳っていうことを意識して食べる、っていうことが大事。
眉根を寄せて取り組むんじゃなくって、お気楽極楽なところから。
コンビにごはん。
「とろろ蕎麦」
ありますよねえ。麺類の棚に並んでます。これならお手軽お気楽に食べられます。ネバネバ系ってイイって言いますもんね。
「夏野菜（トマト、キュウリ）の入ったサラダ」
「春雨スープ」
へええ、春雨スープって夏用の薬膳になるんですねえ。これまたお手軽でしょねえ。
「赤飯、鮭のおにぎり」
赤飯はよく噛んで食べましょうってことでしょうね。
「緑茶」
ってことはですね「とろろ蕎麦」と「緑茶」あるいは「赤飯おにぎり」と「春雨スープ」とかの組み合わせで、そこそこな対策がムリなくできそうですね。
「夏野菜の入ったサラダ」を一緒にたべれば、なかなかな強化対策。
それとですね、夏場にイイですよっていうメニューの中に、かなり採用されているのが「牛乳」でした。
季節の食材。いわゆる旬のものを摂って、牛乳を飲む。
っていうことですんで、今晩の焼酎のアテには冷やしトマトを食べて、帰りには牛乳を買って来ようと思います。
信じる者は。。。でしょねえ。
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